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「脅迫や利益誘導をしたことは一度もない」
1月末、大阪地検特捜部主任検事の前田恒彦によるフロッピーディスク(FD)のデータ改竄(かいざん)疑惑を前副部長の佐賀元明に“内部告発”したとされる男性検事は約2カ月後、大阪地裁の証言台で淡々と述べた。
特捜部が手掛けた郵便不正事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長、村木厚子(54)=無罪確定=の公判。共犯とされた元係長、上村勉(41)=公判中=が「検事に供述をねじ曲げられた」と捜査段階の供述を覆し、涙ながらに単独犯と主張したことを受け、取り調べを担当したこの検事が出廷したのだ。
取り調べは適正だったと言う検事と、検察が想定するストーリーに沿った調書への署名を求められたとする上村。大阪地裁は5月26日、捜査報告書に添付されたFDの元データなどの客観証拠を根拠に供述調書の信用性を否定した。検察側が証拠請求した上村調書を含む43通は、実に大半の34通が却下された。
検察は立証の柱を失い、村木の無罪が事実上決定づけられた瞬間だった。
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特捜部が捜査する汚職・経済犯罪は殺人事件などと異なり、客観的な物証に乏しいことが多い。供述は筋読み(事件の構図)の要となり、有罪立証の決め手になることも少なくない。
政官財界を揺るがしたリクルート事件の主任検事を務めた元東京地検特捜部長で弁護士の宗像紀夫(68)は「供述をねじ曲げて調書をとるのは、証拠改竄と同じくらい恐ろしいことだ」と指摘する。
供述の強要、誘導を防ぎ、冤罪(えんざい)の根絶にも有効な手段として近年、注目を集めるのが「取り調べの可視化」(全過程の録音・録画)だ。捜査機関では、密室で話した内容が録画され、証拠とされることへの警戒や羞恥心(しゅうちしん)、共犯者との関係などから「真実が話せなくなる」とする慎重論が根強かった。しかし今、推進派が勢いを増している。
可視化を政権公約に掲げた民主党の議員連盟は村木の無罪判決後に会合を重ね、証拠改竄事件の発覚後は「全面可視化が実現できていれば防止できた」と気勢を上げた。日本弁護士連合会も声明や会長談話を出し、攻勢を強める。
従来と違うのは、可視化を求める声が“身内”にまで広がってきたことだ。捜査を知り尽くし、かつては可視化の弊害を重視していた宗像は弁護士転身後、考えを変えた。
検察官が事件を立件するために供述者の意思に反する調書を強引に作成する実態を何度もみたからだ。宗像は言う。
「かつての特捜部は撤退すべき事件からは撤退したが、今は筋読みに合わせるために何でもやる。あまりにも危うく、外部からの監視が必要。まず特捜事件から可視化すべきだ」
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おとり捜査や司法取引といった手法が認められていない日本の捜査では、取り調べは真相究明や事件解決のカギを握る。冤罪を防ぎつつ捜査力を損なわないため、国家公安委員長の私的研究会では、可視化と並行してこうした新たな捜査手法の検討を続けている。
だが、“ミスター可視化”と呼ばれる弁護士で研究会委員を務める小坂井久(57)は「証拠改竄事件を俎上(そじょう)に載せ、議論を求める」と言う。当面、検察は劣勢に立たされ、議論を主導できる状況ではない。
犯人隠避容疑で逮捕された大坪弘道は、かつて特捜部長の就任会見で「捜査はやるかやられるか、戦いである」と語った。取り調べという“武器”の劣化を加速させる事態を自ら招いたことを今、どう思っているのだろうか。(呼称、敬称略)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/101005/trl1010050912002-n1.htm
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