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「週刊ポスト」10.8日号
平成22年9月27日(月)発売
小学館 (通知)
老人と地方と生活弱者からムシリ取る
役人いいなり菅政権 これじゃ「無差別連続増税」
気がつけばニッポン官僚独裁の暗黒国家
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三人寄れば文殊の知恵というけれど、「役人」「直人」「由人」の「三人」は、寄ると触ると悪知恵ばかり働かせる。参院選の惨敗を「消費税のせい」と総括したはずなのに、代表選で増税反対の小沢一郎氏を破ると、「こっちが本当の民意だ」と証拠を捏造して、再び国民を大増税の罠にはめようとしている。第二次菅政権は、人呼んで「官」と「菅」と「仙谷」の《カンゴク内閣》。
役人は役に立たず、直人は「改造」しても直らず、由人のもとに自由なし。三悪人に囚われた国民の冤罪は誰が晴らしてくれるのか、それとも自力で「大脱走」するしかないか──。
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左翼と官僚の「政策的親和性」
菅改造内閣には自治労協力国会議員団長を務める仙谷由人・官房長官をはじめ、大臣と副大臣、政務官を合わせて12人の旧総評系労働組合の支援を受けた左派議員がいる。菅首相自身、旧総評系の情報労連(旧電電公社労組)の支援を受けてきた。自社さ連立の村山社会党内閣以来の本格左翼内閣といっていい。
左翼政治家の発想の基本にあるのが、「結果の平等」だ。菅首相は街頭演説で、日産自動車のカルロス・ゴーン社長が高給を得ていることに触れ、「会社で首切りした社長が偉いなら日本中に失業者が溢れてしまう。リストラする経営者ほど立派というのは大間違いだ」と批判した。同社が大胆なリストラによって再建され、多くの雇用が守られたことより、「社員のクビを切って社長が高給を得ている」という結果を誇大に批判するのは、左派政治家にありがちなプロパガンダだろう。
「一に雇用、二に雇用」の菅首相得意のシュプレヒコールも、経済成長なき雇用対策の先に何が待っているかを考えない左翼思想だ。
菅政権は、企業に雇用調整助成金を出してリストラを一時的に食い止め、パートを正社員にした企業にも奨励金を出すなど、景気拡大策がないまま政府支出で雇用を支える政策を取っている。そうした無理を続ければ、当然、雇用対策の財源として増税が欠かせない。
実は、かつて消費税3%を5%に引き上げる閣議決定をし、法案を成立させたのも社会党の村山内閣だった(施行は2年後の橋本内閣)。
左翼政権は、なぜ、増税が好きなのか。元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授は、「左派」と「官僚」の政策的親和性を指摘する。
「左派政権は雇用政策なら役所から金を撒く、経済政策も役所に頼むなど、何でも役所の金頼み。民間の経済活動を刺激して市場を拡大させる政策ではなく、政府が国民から金を集め、その金で政府が何でもやってあげましょうという(大きな政府)路線になります。
富める者から取り、貧しい者に配るという社会主義的な再配分の強化という論理が増税の大義名分になる。
これは官僚にとっては非常に都合がいい。財務官僚をはじめ役所は増税で予算を増やし、自分たちの出番を増やし、権限を大きくしたい。(大きな政府)という方向性が一致している」
政府が社会をコントロールする旧ソ連や中国のような社会主義国家が官僚国家なのは、政府がなんでもやろうとすると強大な官僚システムが必要になるからだが、日本の場合、すでに強力な官僚制度があり、官僚が権限を維持するには左翼政権の方が都合がいいという「主客逆転」がある。
(写真)エコカー増税≠スばこ増税と庶民の生活を直撃
「消費税の玄葉」が昇格
菅首相が改造内閣で真っ先にやったのは、官僚との融和路線の再確認だった。
内閣改造が行なわれた9月17日、菅首相は最初の閣議で、政務三役と官僚が「一体となって政策運営に取り組む」という6月に定めた内閣の基本方針を改めて閣議決定し、新任の政務官との会合(21日)でもわざわざこう念を押した。
「この1年間の若干の反省も含めていえば、政務三役だけで物事をやろうとしすぎた。省庁には膨大な仕事がある。三役だけですべてやろうと思ってもオーバーフローする」
官僚とケンカせず、仲良くやる統・管官政権宣言だ。
そのうえで、民主党代表選の期間中、消費税論議を封印してきた菅首相は、庶民派の皮をかなぐり捨て、弱者への増税路線を露わにした。
まず下準備として内閣改造人事で二重三重の《大増税シフト》を敷いた。
玄葉光一郎・政調会長を「国家戦略相」兼務に出世させた。玄葉氏は参院選直前、首相とともに「消費税10%」を画策し、消費税増税の実施時期を「最短で2012年秋」と言い切って党内から参院選敗北のA級戦犯とされた人物だ。
新内閣の目玉大臣として片山善博・新総務相を起用した。総務相は政府税制調査会会長代理として税制論議に大きな発言力を持ち、片山氏は「消費税率の引き上げは、財政再建の有力な選択肢だ」と公言する名うての増税論者だ。前任の原口一博氏は、「今後3年間に消費税増税は絶対ありません」と語る増税慎重派だったが、菅首相はその原口氏を更迭し、片山氏を税調会長代理に据えた。
増税の司令塔、財務省の人事も増税派一色だ。
政府税調会長を兼ねる財務相には、「官僚のイエスマン」野田佳彦氏を留任させ、政府税調の座長を務める税制担当の財務副大臣に、8月に設置されたばかりの民主党税制改正プロジェクトチーム(PT)座長・五十嵐文彦氏が抜擢された。
さらに、民主党内には増税をにらんで2つ目のプロジェクトチームも発足。代表選後新たに「税と社会保障の抜本改革PT」を設立し、大物の藤井裕久・元財務相が座長に就任した。
「藤井チームは消費税を担当し、税制改正チームは環境税創設などの他の税制を議論するという役割分担だ」(民主党政調幹部)
財務省の宣伝機関と化した大メディアは、そんな菅首相を「消費税問題に、今度こそ腰を据えて取り組まなければならない」(19日付読売)、「消費税増税に向けた議論も待ったなしだ」(18日付産経)と後押ししている。すでに増税へのシナリオはスタートした。
(写真)菅増税内閣の面々(左上から時計回りに野田財務相、片山総務相、玄葉国家戦略相)
エコカー増税≠ヘ役人の悪徳商法
◆軽自動車増税が地方を直撃
総務省が12年4月の導入を目指しているのが軽自動車増税だ。
現在の自動車税は排気量1000∝未満の小型自動車が年間2万9500円なのに対し、660∝未満の軽自動車は7200円と低くなっている。政府はこの9月までエコカー補助金制度で国民に燃費のいい車への買い替えを奨励し、補助金の適用を受けて販売された軽自動車の台数は約100万台にのぼる。
ところが、同省はエコカー補助金を打ち切った直後の9月15日に、「自動車関係税制に関する研究会」の報告書を発表し、その中で、小型乗用車と軽自動車の燃費の差はほとんどないとして、税率一本化の方針を提言した。軽自動車にリッターカー並みの税率が適用されれば、税額は一挙に4倍近くに跳ね上がる。
国民に「エコだから」と買わせておいて、今度は、「たいしてエコじゃない」と増税を言い出す。悪徳商法そのものだ。軽自動車のエコカー補助金は5万円だったから、増税すれば、政府は補助金分を2年あまりで回収し、3年目からは丸儲けになる。
この増税は地方の住民を直撃する。全国に約2600万台ある軽自動車の6割は、公共交通機関の便が悪い人口10万人未満の市や郡部で保有され、ユーザーの大半は女性と高齢者。
そうした層から、容赦なく税金を絞り取ろうというのである。なぜ、「弱者の味方」のはずの左翼政権からこんな増税方針が出てくるのか。
「総務省の目的は自動車にかかる複雑な税金を一本化して全部地方税にすること。軽自動車増税に加えて、乗用車よりはるかに税金が安い営業車の税率引き上げも検討することになっている」(前出の民主党政調幹部)
◆地球温暖化対策税創設でガソリン税、電気・ガス代までアップ
民主党の税制改正PTは8月末の総会で「地球温暖化対策税」(通称・環境税)創設の準備に入った。
この税はCO2削減のためにガソリンに1兆円、その他の石油製品や石炭などの化石燃料に1兆円の合計2兆円を新たに課税するものだ。民主党はガソリン税の暫定税率(1g約25円)の廃止を昨年の総選挙でマニフェストに掲げていたから、国民には環境税を創設しても家計の負担増はわずか(1世帯あたり年間1127円)と説明していた。
ところが、鳩山前内閣はその暫定税率廃止を断念し、ガソリン価格は結局、値下げされなかった。それなのに、菅内閣は一方の環境税だけは方針通り来年4月に創設しようというのである。
実現すれば、ガソリンは暫定税率に加えてさらに1gあたり約17円値上げとなり、重油や天然ガスにも課税されるため当然、電気やガス料金の値上げも招く。
1世帯あたりの年間負担増は約1万円となる。
そんな庶民の不安などどこ吹く風で、霞が関は早くも「2兆円」の財源分捕り合いを演じている。
環境省は増税で得る資金を天下り団体を通じた無利子融資、地域づくり事業などの補助金にあてる計画だ。
また、鹿野道彦・新農水相は、「農産物の価格低下の影響を受ける農家の対策費に使いたい」と発言し、横取りを狙っている。
さらに、この増税は灯油も対象になる。不況に苦しむ東北、北海道や、特にエアコンを持たない低所得者層を直撃する。
しかし、環境税は本来、CO2排出量削減効果を狙ったペナルティ課税だ。税収増が目的ではない。
英国など環境税(炭素税)を導入している欧州諸国では、減税とセットにして増税にならないようにしたり、環境税の税収を社会保障にあてているケースが多い。
この10月から大幅値上げされるたばこ税も同じように健康増進のために禁煙を促すペナルティ課税で、増税で販売量が激減すると見られているから財源の奪い合いは起きていない。
菅政権は環境税をなぜ、減税とセットにしないのか。
それこそ環境重視をアピールしたい左翼政権と、財源が喉から手が出るほど欲しい霞が関の利害が一致した庶民いじめの増税であることの証拠なのだ。
相続課税強化で老人の資産吸い上げ
◆「子ども手当」の裏で所得税の大幅増税
民主党代表選では子ども手当の満額支給(1人2万6000円)を掲げた小沢一郎氏が敗れ、菅政権で半額支給の政策が続くことになった。
その一方で、「満額支給」を前提に議論されていた所得税の扶養控除と配偶者控除の廃止はしっかり来年から実施される見込みだ。この増税は中高年世帯を直撃する。
夫婦と中学生以下の子ども1人、妻は専業主婦という世帯では、年収約550万円以上は子ども手当をもらっても増税による負担増の方が大きくなる。さらに子どもが高校を卒業し、専業主婦がいる中高年世帯にはストレートに負担増だ。
そのうえ、政府税調は、「所得の再分配」を名目に所得税の累進課税強化の方針を打ち出しており、所得税の最高税率(現在40%)が引き上げられそうだ。
これも実は財務省の宿願で、小泉政権時代にやろうとしたことだが、あの小泉氏でもさすがに国民の反発を恐れてやらなかったものだ。「子ども手当のため」は口実にすぎない。
◆「老後の蓄え」を狙う資産課税強化
もうひとつのターゲットが相続税など資産課税だ。
財務省は「バブル期の地価高騰で控除引き上げが行なわれたため、100人に4人しか相綬税を払っていない」と相統税増税を主張してきた。
その狙いは、高齢者の持つ資産を吸い上げることにある。国民の個人金融資産約1450兆円の3分の2は60歳以上の世代が保有する「老後の蓄え」であり、消費に回らない。
欧米では、親の世代が持つ資産を消費意欲が旺盛な若い世代に贈与させて消費拡大につなげようと、贈与税を大幅に引き下げる政策を取っている。菅政権は逆に税率アップで政府や自治体(固定資産税)が強制的に高齢者からカネを吸い上げ、政府がかわりに使ってやろうという発想である。
税制が専門の藤岡明房・立正大学経済学部教授が指摘する。
「日本では地価が高止まりして固定資産税などで困っている人も多い。都内に持ち家があると普通のサラリーマンには相統税は払えないのが実情です。そんな状況で相続税を増税すれば、多額の税金が払えずに土地を叩き売るか、借金で税金を払うしかない。金持ちからの富の再分配を標膀しながら、普通のサラリーマンや貧乏人からなけなしの資産を分捕る結果になる」
◆企業には優遇措置と減税の二重の恩恵
庶民への増税が大好きな菅首相であるが、法人税だけは来年にも減税を実施する方針を決めている。「日本の法人税が高すぎて企業が海外に逃げていく」という経団連など大企業の主張を丸呑みしているからだが、日本の企業は数多くの租税特別措置という優遇税制があるため、実際の法人税率は「世界的にもそれほど高くない」ことを経団連幹部すら認めている。
民主党はそうした租税特別措置を全廃すると公約したが、全く進んでいない。
企業への優遇税制でどれだけの税収が失われているかの試算もないことから、今年の通常国会で「租特透明化法」を制定し、企業側に次の決算でいくらの税制優遇措置を受けているか報告させる仕組みをつくった。
だが、「決算が出そろってから優遇税制見直しにとりかかれば、少なくとも結論まで5年はかかる」(税制の専門家)という。
「市民派」「庶民の味方」を気どっても、やっていることは自民党以上に大企業べったりである。
(写真)法人税だけは減税(経済3団体のトップと会議する菅首相)
増税で景気が回復したらノーベル賞
税は国家の基本であり、経済や社会構造の変化で見直しが必要になっても、国民生活を一気に苦しくすることがないような配慮をするのが政治指導者に求められる責任である。
過去の政権は、大きな税制改正をする場合には必ず減税とセットで行なった。
消費税を導入した竹下内閣は、所得税を大幅に減税して「増減税なし」という形を取り、村山内閣でさえ消費税率5%へのアップは減税と抱き合わせにした。逆に小泉首相は「消費税は上げない」といいながら数々の控除廃止、年金保険料引き上げで国民負担を巧妙に増やした。
菅政権が危険なのは、軽自動車から環境税、所得税、相続税まで、官僚が求めるあらゆる増税に手を付けた後、そのうえで消費税を大幅に引き上げるという、国民から見れば「無差別連続増税」を企んでいることだ。
「玄葉試案」と呼ばれる消費税増税シナリオがある。
菅内閣発足間もない今年6月下旬、玄葉政調会長を中心に、財務省出身の古川元久・官房副長官など菅側近の一部と財務官僚が練り上げたとされる増税計画だ。
内閣府幹部が語る。
「消費税率を2012年から2%ずつ5年間にわたって15%まで引き上げる案が軸になっていた。このシナリオなら、国民は翌年には税率がまた上がるとわかるから、毎年駆け込み需要が発生し、景気がいっぺんに冷えることはないという判断だ。菅政権はこの案で自民党との与野党協議を呼びかける方針を固めている」
菅内閣の消費税増税方針は参院選で国民の激しい批判を浴びたが、菅首相がこのシナリオを決してあきらめていないことは、代表選さなかの8月下旬、内閣府のホームページに「経済財政モデル」という資料がこっそりアップされたことからもわかる。
資料には、シナリオ通りに消費税を毎年2%ずつ5年間に引き上げた場合の経済指標が試算されている。
この増税計画なら消費者物価は毎年1・5%程度押し上げられてデフレが解消され、1年目に約3兆9000億円、5年目には約4兆6000億円の増収となり、その結果、5年間で国債残高(GDP比)が大きく減るという夢のような話である。
菅首相は内閣改造でその玄葉政調会長と古川副長官を政権中枢に残し、いよいよ増税戦略の実施に着手した。産経新聞編集委員で、消費税増税は大不況を招くと警鐘を鳴らし続ける田村秀男氏が語る。
「この試算は、『いい増税もある』と増税と経済成長の両立という幻想を振りまく菅首相には好都合な内容だが、過去、橋本内閣で実施された消費税増税と緊縮財政が深刻なデフレを招いたのは歴史が証明している。
菅首相が増税で景気拡大できればノーベル経済学賞ものだろう。しかし、今の日本経済は首相の夢物語のような増税論に国民生活を委ねる余裕などない」
マルクス経済から、せいぜいケインズくらいしか知らない左翼学生の生き残りと、自分のサイフしか興味のない官僚が結びついた恐怖の増税政権が誕生した。
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