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2010年09月30日
本澤二郎の「日本の風景」(586)
<日本政府の構造的弱点>
自民党時代の政治は派閥が跋扈する官僚任せのわかりにくいものだった。特に、外国人の日本研究泣かせだった。派閥の色彩を知ることなど、門外漢の彼らには容易ではなかった。選挙区、思想、閨閥、人脈などの複雑なからみ合いのもとでの派閥構成員なのだから、とてもではないが駆け出しの政治記者でも内情を掌握できなかった。それが今や、自民党時代を通り過ぎて民主党政権である。ここにも大きな落とし穴、大きな弱点を抱えている。
構造的な弱点となると、それは修正が不可能で改善は困難ということなのだ。致命的といえる構造的欠陥を有している。簡単に軌道修正はできない。菅内閣の厳しい実体なのである。これまで指摘してきたことだが、このさい改めて整理してみることにしたい。
<実権を掌握した松下政経塾>
豊富な資金を背景に、特異な政治教育を受けて政界に進出してきた松下政経塾出身議員は、自民党と民主党にのみ所属している。これだけでも保守的な体質の政治集団であることを、内外に誇示している。はっきり言うと、彼らはリベラルではない。本質は右翼的な政治体質といっていいだろう。
ただし自民党右翼議員に比べて、正体を露骨に明かそうとしない。ここに特徴がある。ずる賢いのである。若さなどで近代センスをまき散らすものだから、有権者に誤解する向きが多い。筆者もそんな一人だった。
それゆえに彼らはアジア重視の鳩山―小沢体制を押しつぶすことに成功した。菅内閣を立ち上げると、権力の枢要ポストをそっくり掌握した。正に政経塾内閣そのものである。
政治は金で動く。洋の東西を問わない。首相官邸と民主党本部の金庫を掌握した。一つの政治勢力が党本部と官邸の金庫双方を掌握してしまった例は、この20数年来なかったことである。彼ら政経塾体制は、参院選挙大敗北でもっても退陣しなかった。これは自民党政権時代では考えられないことだ。一端権力を掌握すると死ぬまで手放そうとしない。ここに特徴がある。民主的な衣など危機的場面では、容易に放り出してしまうのである。権力維持という自己保身には長けている。
彼らは依然として、国の財政や利権官庁の国交省を抑えてしまっている。露骨である。其の昔、中曽根政権を「田中曽根政権」と揶揄する向きもあった。実権を田中派が押さえたという意味だが、せいぜい官房長官を握った程度である。
菅内閣では党も政府も枢要ポストを政経塾が押さえてしまっている。それは選挙敗北後にも大きな変化はない。
<ナショナル(民族主義)なネオコン政権>
松下財閥のブランド名は「ナショナル」である。アジア向けビジネスを考慮してか、最近は「パナソニック」に名称を変えた。民族主義は過去の日本を連想させるという懸念からだろう。
松下商品はそれでいいとしても、政治集団の思想傾向に変化はない。偏狭な民族主義の色彩はそのままである。ワシントンのネオコンというと、ブッシュ政権の取り巻き連を想像するのだが、さしずめ彼らは東京のネオコンなのである。
先の民主党代表選挙で菅再選が決まると、小沢側近から期せずして「ネオコンにやられた」という無念の反発が聞かれた。保守的という程度の意味ではない。もっと強い響きを持っている。
偏狭な民族主義の思想傾向は、排外的・不寛容で好戦的だ。反共主義と過去を正当化することに熱心である。むろん、アジア重視ではない。鳩山―小沢ラインのリベラル政治思想に反発する。平和憲法の解体・軍拡路線を肯定している。時に自民党右翼よりも扱いにくい。
今回の尖閣諸島(魚釣島)事件は、まさにネオコン政権の正体をさらけ出している。鳩山政権では起きないトラブルだった。
<財閥(資本)と権力(官僚)の一体化>
松下政経塾内閣は、その根っ子の部分は財閥である。庶民・大衆との関係は薄い。強欲資本の手先という捉え方も可能なのだ。企業は政商として成功することによって財閥の地位を掴むことが出来る。政治・政策に影響力を行使する、行使できるのである。
財閥のパートナーは官僚・官閥である。官僚が権力を握る日本では、文字通り権力と資本が連携・結合している。官僚政治は財閥政治そのものである。日本の民主化が根本のところで立ち往生している理由である。
こうした分析はイデオロギー的なものではない。筆者が足で歩いて確信したものである。主役は政治家ではない。財閥と官閥がこの国の主役なのである。小沢と鳩山は、この大きな壁を突き崩そうとして失敗した。
国民に奉仕するはずのジャーナリズムは財閥と官閥の手先となって、検察による政治捜査を正当化して、それを国民に報道し続けてきた。
だが、官僚政治退治のうねりは、消えてはいない。必ず復権するだろう。日本沈没の過程で主権者は必ず覚醒すると信じるからである。官僚支配の体制を壊さないことには、この国の再生は不可能だからである。
<官僚と役人労組依存>
菅内閣は菅官内閣である。官僚依存内閣である。ここに致命的欠陥がある。自民党と変わらない。正しくは自民党右翼片肺政権と同じである。
かてて加えて、民主党政権は公務員労組・役人労組と結びついている。このことは官僚・役人依存の政権である。これこそが致命的な構造的欠陥である。国民が期待する役人の半減、報酬半減を不可能にしている。すなわち借金地獄の日本を改造できない。
<日本再生は困難か>
財政の健全化は、自民党官僚政治の負の遺産なるがゆえに待ったなしである。人件費が税収の全てを吸収するという異様な日本である。
日本の赤字財政に比べれば、はるかに少ないギリシャやスペイン、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカなど欧米諸国が大騒ぎしている。日本が20年も放置してきた課題に政治が翻弄されている。それほど欧米政治のほうが、はるかにましなのである。
労組の怒りが爆発しているが、しかし、それでも財政健全化に突き進んでいる。その点で欧米の再生は、日本に比べれば先行している。
筆者は民主党にわずかな期待を抱いていたのだが、どうやら絶望的という心境に立たされてしまった。
<民意主導の強力政権は誕生するか>
それでも、あきらめるわけにはいかない。公正・公平な政治体質に改める民意主導の、国民のための政権の誕生を期待したい。
小沢一郎に期待をかけた200人は、官僚と財閥が甘い汁を吸う政治腐敗を打倒するために汗をかくであろうと信じたいからである。国民の生活第一と認識する議員の存在に希望を持ちたい。
ともかく公正な社会にするしかない。等しく貧しくも品性のある日本に希望はある。ワークシェアリングでしか雇用を確保するしか方法はないだろう。無理してもそうしなければやっていけない。ケイマン島に口座を有して大金を所持している富裕層には、適切な納税を求めるしかないだろう。
もはや昔の輸入をする欧米は存在しないのだから。
2010年9月30日21時25分
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以下 投稿者記 参考用URL
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http://livedoor-search.naver.jp/blog?&q=PHP+site:http%3A%2F%2Fblog.livedoor.jp%2Fjlj001%2F&ie=euc-jp
2. Roentgenium氏の阿修羅への 2010年2月11日投稿記事
≪「MRA(道徳再武装)」、「松下政経塾」、「統一教会」、「CSIS」、などで検索した結果・・・・前編≫
http://www.asyura2.com/10/senkyo80/msg/240.html
3.Roentgenium氏の阿修羅への 2010年2月11日投稿記事
≪「MRA(道徳再武装)」、「松下政経塾」、「統一教会」、「CSIS」、などで検索した結果・・・・後編≫
http://www.asyura2.com/10/senkyo80/msg/241.html
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