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前田容疑者と「郵便不正事件」の上村係長の立場は極めて似ている。上村係長は、村木局長の関与があったとなれば自分の罪は軽くなる。どっちにしても公務員生命は終わるのだから、少しでも刑は軽いほうがいい。しかし上村係長は「被疑者ノート」で明確にこれを否定した。裁判の結果は、村木局長の無罪で終わった。
前田容疑者の場合、自分の単独犯行で押し通すよりも上司の関与があったとしたほうが、求刑は軽くなるかもしれない。どっちにしても検事職からは追放されるのだ。前田主任検事に対する被疑者であったなら十中八九「上司の関与はありました」と供述するであろう。そして前田主任検事も「大物が捕まえられる」と喜んだであろう。
ただひとつ違うのは「上司の関与」が検察内部のことなのだ。「大物が捕まえられる」と喜ぶ検察官僚が果たしているだろうか? どんどん大物に近づいていくことを、黙って見ているだろうか? そして、前田容疑者は「被疑者ノート」をつけているだろうか? いま前田容疑者はソロバンを弾いている最中だと思う。一切の罪を一人でかぶるか、誰かを道連れにするか。裁判の開廷が待ち遠しい。「不起訴」なんてするなよ。
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