http://www.asyura2.com/10/senkyo96/msg/420.html
Tweet |
丹羽宇一郎を国会召喚して証言させよ - 井上清の尖閣中国帰属論(世に倦む日々)
http://critic6.blog63.fc2.com/blog-entry-386.html
丹羽宇一郎の国会喚問_1
マスコミは、中国漁船の問題について世論調査を発表しない。民主党代表選のときは、小沢一郎が出馬を発表した翌々日には世論調査の数字を出し、小沢叩きの報道を正当化する根拠とした。代表選の一週間前も出し、代表選の直後も出し、「民意」を示し続けて民主党議員を脅し、小沢一郎の復権を阻止して菅政権の防衛に努めた。本来、船長釈放が正しかったのかとか、一連の政府の対応はどうかとか、世論調査が大好きなマスコミが放置する問題ではないだろうし、この問題で政府の失政を衝く声は中国批判と同じほど大きいだろう。だが、前原誠司と仙谷由人と一心同体の権力であるマスコミは、前原誠司が窮地に陥るような世論調査の結果は決して報道しない。
専ら中国叩きの一点張りで済ませ、原因と責任を中国側に転嫁して、国民の反中感情を煽り、政権の立場を擁護するのである。マスコミの世論調査は、マスコミが方向づけたい政策や政局に世論の結果を出して梃子にする道具で、マスコミにとって都合の悪い結果が出る世論調査は決して出そうとしない。普天間問題もそうだった。本当なら、マスコミは北京の丹羽宇一郎をテレビ報道で取材すべきで、国民は問題の経緯を含めて説明を聞く必要があるが、マスコミは名前すら出さずに奥に隠している。野党は丹羽宇一郎を国会に召喚して国民の前で証言させるべきだ。三度の呼び出しを受けながら、中国側のメッセージを正しく本国に伝えたのか。
丹羽宇一郎の国会喚問_2
同じ問題が米国で起きたなら、米国議会は間違いなく大使を召還して公聴会を開くだろう。外交過程の真相を国民に情報提供しようと動くだろうし、問題の原因と責任をクラリファイしようとするだろう。そういう世論が起きるだろう。日本は民主主義の国のはずだが、そうした要請をするマスコミはなく、野党も中国叩き一辺倒で政府の対応に視線を向けない。民間から起用された丹羽宇一郎は、鳩山政権が中国に送り込んだ大使で、言わば経済界代表の中国担当相の存在であり、自民党政権下で冷え込んだ日中関係を立て直す任務と重責を担っていた。経済界代表の丹羽宇一郎が、ケ小平の「棚上げ」で両国が妥協している尖閣問題を知らないはずがないし、戴秉国の異例の警告を拒絶すれば、その後の事態がどこまで深刻に突き進むか、本人が理解できなかったとは思えない。
また、初動の船長拘束から逮捕までの13時間の政府内の調整過程で、本省から北京にも連絡が入り、全権大使として見解を差し入れる機会はあったはずだ。そのとき、丹羽宇一郎は岡田克也に何と言ったのか。日中友好の深化を期待された大使が、日中関係をここまで甚だしく毀損する結果に導いた点について、丹羽宇一郎は国民に謝罪して責任をとるべきだろう。前原誠司、岡田克也、仙谷由人と同罪で、国益を害した過誤は免責されるべきではない。体を張って前原誠司の暴走を阻止するべきだった。
丹羽宇一郎の国会喚問_3
尖閣諸島領有の日本側の正当性について、今頃になってマスコミと政治が必死で弁明を始め、国民に啓蒙教育を始めている。証拠の第一は、石垣市の八重山博物館に保管されている中国からの感謝状で、1919年の冬に福建省の漁民が遭難して魚釣島に漂着した際、それを救助した石垣村住民に感謝して、当時の中華民国長崎領事から送られたものである。文面に「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島」とあり、尖閣諸島が日本の領土である認識が明示されている。証拠の第二は、 1953年の人民日報の記事で、この中の資料欄で尖閣諸島を琉球群島を構成する七つの島嶼の一つと説明した記述があり、建国後の中華人民共和国が、尖閣諸島を日本の領土と認識していた事実が証明されている。
昨日(9/28)の前原誠司の委員会答弁でも提示された。中国が尖閣諸島を自国領土と主張するようになったのは、東シナ海の海底資源の埋蔵が浮上した1968年から70年の時期であり、この点は明白で、日本の領土主張の正当性を根拠づける何よりの事実と言っていい。ただ、それでは、中国と台湾の側に何も根拠がないかと言うと、そうでもなく、一例として、林子平が三国通覧図説の中で尖閣諸島を台湾領の色塗りにしていた史料がある。また、72年に米国が沖縄を日本に返還するに際して、尖閣諸島の領有権をめぐる紛争を日本と台湾の間に認め、両国間に領土問題が存在すると認識し、返還後の事態を懸念していた事実がある。
丹羽宇一郎の国会喚問_4
昨夜(9/28)、報ステに映像で登場した春名幹男の解説もこの点に関わるもので、共和党(ブッシュ)は尖閣諸島を日本領と認めて安保条約の適用範囲に含め、伝統的に中国寄りの民主党は尖閣領有に中立の姿勢を一貫させていると言う。したがって、NYで前原誠司が記者に紹介したクリントンの発言は正確でなく、何の根拠もなく、前原誠司による意図的で一方的な捏造の可能性が高い。この点は、野党が国会で追及すべきで、クリントン発言の真偽を究明すべきである。もし発言が捏造であったなら、前原誠司は米国に謝罪した上で、責任を取って辞任すべきだろう。私が興味があるのは、台湾政府はこの問題でどのような公式発表をし、自領と主張する正当性の根拠を証明しているのかという問題である。台湾政府の見解を詳しく聴きたい。文字情報だけでなく政府責任者の映像で。
ずっと昔、日本史学者の井上清が、なぜか尖閣諸島の帰属問題で議論を提起し、当時としては珍しく、その中国領有を正当化する歴史的根拠を披露していた。その中身は、論文の全体がネットに転載されている。当時は少なからず話題になったが、時代が移ろった今では顧みる者もなく、マスコミでもネットでも誰も参考資料として指摘しない。論文の目次情報を一瞥して、ほぼ主張するところは想像できるが、日清戦争中のどさくさに明治政府が沖縄県に編入したという過程は、手続きがどれほど法的に妥当だったとしても、日露戦争の際の竹島の歴史的事情と二重写しにならざるを得ない。
丹羽宇一郎の国会喚問_5
明治政府の閣議決定で日本領に編入したのが、1984年の1月14日である。威海衛の北洋艦隊を壊滅する直前で、戦争の大勢はすでに決しており、1か月後の 2月11日に丁汝昌が服毒自殺している。下関での講和会議のため李鴻章が3月19日に到着。しかし、日本軍は講和会議中に台湾海峡にある澎湖諸島を軍事占領している。これが3月26日。この2日前、交渉中の李鴻章が暴漢に狙撃されて重傷を負う事件があった。交渉全権を暴力で脅し、生命を狙った上で、無理やり講和条約を押しつけたことにはならないか。この下関条約と尖閣諸島編入は、韓国併合を決めた日韓協約と竹島編入の歴史とオーバーラップする。その両方に伊藤博文が登場する。
韓国では閔妃が暗殺された。李鴻章への襲撃事件は、本当に右翼の暴徒による偶然的な事件だったのだろうか。いずれにせよ、尖閣諸島の日本編入は、こうした戦争の最中に生臭く謀略的に起きていて、共産党などが説明するようなフラットでマイルドな国際法上の合理的マターとして単純視することはできない。私自身の判断は、ケ小平の「棚上げ」を国際法として考えるもので、この合意と遵守こそが日中の尖閣問題への対応を基礎づけ、ガス田の共同開発という外交も媒介してきた。今回、「棚上げ」の基準を破る既成事実を日本側が作り、中国が逆襲して「棚上げ」が放棄され、排他的主権の貫徹にシフトしたため、この海域はガス田も含めて現実の係争地域になってしまった。中国はレアアースの輸出は解禁したが、ガス田の方は一方的掘削が続いて中止させられなくなっている。
丹羽宇一郎の国会喚問_6
これまでずっと、特に少年期から青年期にかけて、国際社会の中で日本の地位が向上する姿ばかり見てきたので、今の現実は実に受け入れがたい気分がある。長い間、外国の首脳は日本のカネを欲しがって、遠く離れた東京に笑顔でやって来て、援助をもらい、喜んで官邸で握手して写真を撮って帰っていた。約束を取りつける前、全くわからない言語が通訳される前で神妙になっていた。日本の首相が外遊するときは、巨額のODAをバラ撒いて周遊する大名旅行をやっていた。核もミサイルも空母もなくとも、無能な首相たちでも、日本の国力と威風は堂々たるもので、アジアのリーダーの地位は揺らぎないものだった。
ロシアが領土問題で強気に転じたのは、ソ連崩壊後の経済の窮状から立ち直ったこともあるが、中国と韓国の存在が日本を不要にしたという点が何より大きい。ロシアが日本を必要とした理由は、極東開発の資金であり、資源供給の市場としてだった。領土交渉はそれを引き出すカードであり、橋本龍太郎や森喜朗の時代はその前提に便乗して、彼らは政局の支持率のカードに日露首脳会談を使っていた。ところが日本の資金と市場の条件が衰え、逆に資金と市場をロシアに提供する国が極東に現れたのである。ロシアが必要とする極東のパートナーの地位を、日本は中韓にリプレイスされてしまった。外交は交渉であり、国益の取引である。ロシアには四島を日本と交渉する意味がなくなった。
明日(9/30)の国会での集中審議に注目しよう。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK96掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。