http://www.asyura2.com/10/senkyo96/msg/417.html
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「悪質な中国漁船」示す狙い…衝突ビデオ提出へ (2010年9月29日08時16分 読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100929-OYT1T00180.htm
(引用)
ビデオ映像の公開について、海保自体は7日の事件発生当初、前向きだった。しかし、首相官邸と外務、法務省などの幹部が7日夜に逮捕方針を決めた後、「逮捕容疑を立証する要の物証」として非公開になり、那覇地検が「捜査資料」として保管している。同地検は25日、船長を釈放したが、刑事処分は決めていないため、ビデオは刑事訴訟法47条で「非公開」と定めた「公判の開廷前の訴訟に関する書類」にあたるとしている。
(引用おわり)
刑事訴訟法47条? これか−
「第四七条 訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」
でも、この条文ってどういう意味? 「公にしてはならない」のが原則で、「但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は」、例外的に公開がみとめられる?
一読、そのように思える。仙石も、それに乗っかって、こういっている−
(引用)
【尖閣衝突事件】政府、ビデオ公開前向き 中国の違法行為を世界に訴え (産経ニュース 2010.9.28 21:40)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100928/plc1009282142026-n1.htm
仙谷氏は記者会見で「刑事訴訟法47条で『証拠物は公判前には公開できない』となっている」と説明した上で、同じ条文に「公益上の必要その他の事由があって相当と認められる場合はその限りでない」とする規定があることを念頭に「そういう解釈も成り立つ」と述べた。
(引用おわり)
まるで、法律では非公開が原則とされている、だからビデオも公開しないのが当然だ、例外的に「公益上の必要」があるかは自分らで判断して決める、とでもいわんばかり。
でも、最高裁はそうはいっていない−
「本状本文は、訴訟に関する書類が公判開廷前に公開されることによって訴訟関係人の名誉が毀損され、公序良俗が害され、又は裁判に不当な影響が引き起こされるのを防止する趣旨である。」 (最高裁S.28年7月18日判決)
公開していいんですよ。むしろ、名誉毀損とか、公序良俗に反するとか、裁判に不当な影響とかなければ、実質的には公開してよいのが原則なんです。仙石はそれを知らないか、いやむしろ、知っていながら国民をゴマカシているんです。
そうか、それとももしかしたら、中国人船長の名誉が毀損されるか、公序良俗を害するような、オモシロイ映像が映っているのかも知れないな。
「裁判に不当な影響が引き起こされる」心配のほうはなさそうだ。何しろ、前原によれば−
(引用)
前原外相「船長逮捕は当然」 再発の場合も逮捕の考え (アサヒ・ドット・コム 2010年9月28日12時51分)
http://www.asahi.com/politics/update/0928/TKY201009280153.html?ref=goo
海上保安庁が撮影した事件当時のビデオテープについては、「明白に中国漁船がかじをきって体当たりをしてきた。故意ではなくてミスで当たってきた場合は、当たる瞬間とか直前とか、当たった後でエンジンを逆回転させて(海上保安庁の巡視船から)離れる措置をとるはずだが、そういった形跡はまったくなかった」。
(引用おわり)
よほど明々白々な映像らしい。(なにしろ、自動車事故でも、衝突の責任が一方的であることが100%明白なのは、他方が停止しているか、真後ろから追突したときだけだ。)
ところで、どうもこのかたは、証拠を出す出す、「お楽しみに」、といって出さなかった前歴があるらしい。そんなに「明白」なら、さっさと出せばいいのに。法律は、出していいのが原則、といっているのですよ。
−・−・−・−・−
刑事訴訟法といえば、まだあります。
(引用)
参院:外交防衛委 中国漁船衝突を巡る質疑の要旨 (毎日JP 2010年9月28日 23時55分)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100929k0000m010133000c.html)
佐藤氏 検察が外交的な理由で(釈放を)決定した根拠は。
副法相 那覇地検次席検事は日中関係も釈放の理由の一つに述べている。刑訴法248条で検察官の処分はさまざまな状況を勘案して決定することになっており、検察が外交に関与したということではない。
(引用おわり)
でも、刑事訴訟法248条は、起訴便宜主義、起訴猶予の根拠条文です−
「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」
佐藤議員の質問で問題となっているのはこれとは違うんじゃないでしょうか。
冒頭に引用した読売オンライン記事中にも、「同地検は25日、船長を釈放したが、刑事処分は決めていない」、とあるから、今回は起訴猶予ではなく、まだ処分保留でしょう。那覇地検は、起訴・不起訴を決定しないうちに釈放したのでしょう。その場合、(不起訴処分決定後の釈放ではなくて)、処分保留のままの釈放の根拠が、問題となっているのではないでしょうか−
(それとも、いつのまにか不起訴と決定したのか?) いずれにしても−
(1) すでに不起訴と決定して釈放したとしたら、かなり問題。次のコラムが参考になります。
(引用)
元検事中村勉弁護士の刑事事件コラム− 釈放理由としての「日中関係を勘案」 (2010年9月25日)
http://www.t-nakamura-law.com/blog/justice-system/post158/
この勾留満期前の釈放の法的根拠を考えると,刑事訴訟法第248条しか考え付きません。もちろん,満期前に釈放することがあります。典型的には嫌疑がなくなったときです。犯人ではないと分かれば検事は直ちに釈放しなければなりません。勾留を支える要件である「犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由」がなくなったからです。しかし,今回は違います。勾留を続け捜査を継続しなければならない事案です。それにもかかわらず,釈放したのは,法的に見れば,「検事が起訴しない」と判断し,起訴便宜主義(刑事訴訟法第248条)の下,釈放権限を行使したと考える以外にありません。「10日以内に起訴しないときは直ちに釈放」(刑事訴訟法第208条1項)というのは,10日目,つまり勾留満期に判断するのが通常であり,ぎりぎりまで捜査を尽くすことが求められていますので,満期前に釈放するというのは異例なのです。
ところで,刑事訴訟法第248条の起訴弁護主義における起訴不起訴の判断は,「犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重および情状並びに犯罪後の状況」を考慮して決定されるので,鈴木次席検事が言及した「日中関係を考慮して」などというのは,当てはまらないように見えます。せいぜい「犯罪後の状況」でしょうか。
(引用おわり)
(2) まだ起訴・不起訴を決定しないうちに釈放したばあいには、248条の問題ではありません。手前ミソですが、→ http://www.asyura2.com/10/senkyo96/msg/167.html をご覧ください。
どうも、今回、このお子サマ内閣は法律で(法律をつかうフリをした嘘で)ゴマかそうとすることが多い。
でもスキマだらけ。議員の皆様も、われわれも、(ついでにマスゴミ記者さんもね)、そのスキをついていこうではありませんか。今回露見した検察の巨大組織犯罪追究のためにも、これまであった数多の不当「国策捜査」に対抗するためにも。
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