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動揺する民主党議員と睨みあう日中政府
今回の釈放劇については、世論はもとより、民主党の議員達もかなり、動揺していると思いますね。いままでは、都合が悪いとジミンガ―を叫び、「政治と金」で小沢氏を叩いておけば、国民の支持は得られるのだ、などと勘違いしていたのかもしれませんけれども、今回ばかりは、どう言い逃れしようと無理でしょうね。真っ向から国民の批難を浴びている。
いわば、今の民主党は、どうにも責任逃れできない状況にあり、問題の解決を迫られているというわけです。船長を釈放すれば、万事解決などと、甘い見通しで進めた今回の失態は、国民に民主党の統治能力のなさを知らしめることにもなりました。事前に、外務省その他と綿密な打ち合わせをやるなり、経験豊富な自民党等に頭を下げてアドバイスを受けるなりしていれば、まだ違ったのかもしれませんけれども、下手に政治主導だ、などとしたのが裏目に出た形ですね。
或いは、官僚がほとんど口を出さなかった、若しくは、誰かに押さえつけられて、出せなかったという事情があったのかもしれません。今や、中国は、船長の釈放をかさにきて、更なる謝罪と賠償を要求していますし、尖閣沖に今度は監視船を派遣して示威行為を始めています。いずれにしても、民主党の立場は大分苦しくなったことは間違いありません。
そして、中国の輸出制限や通関検査強化等の報復措置は依然継続しており、財界からは解決を急げ、という突き上げがあることは勿論として、何より、拘束されているフジタ社員について解放の目途が全く立っていない現状にあります。かといって、中国の謝罪と賠償に応じれば、尖閣の領有権を放棄したことになる。それに、日本政府は、今回の釈放劇で、国内世論から厳しい批難に晒されていますから、これ以上安易な妥協はできない。
つまり、日本政府は、公式の外交ルートでは、さっぱり身動きがとれない状態に陥っているということですね。一方、中国は中国で、今回の事件の落とし所に苦しみ出している。突然のフジタ社員の拘束は、不満を抱えた軍部の暴走ではないかと、一部で囁かれているようですけれども、いずれにしても、中国はマトモに話し合える国ではない、ということを世界中に知らしめてしまった訳ですから、時間が経てば経つほど、中国に不利に働いてくる。
とはいえ、中国も自業自得といえば、自業自得なのです。あれほど、自身の正当性を主張して、釈放された船長を英雄視して、あまつさえ、日本の取り調べに対して、こめかみに銃をつきつけられても、署名を拒否した、などと、自国のメディアに報道させているのです。
これでは、中国人民が反日にならないほうが難しい。逆に言えば、それだけ、拘束しているフジタ社員に命の危険が迫っている、ということです。もっと言えば、今後、現地法人の日本企業にも危害が及ぶ恐れがあるということです。
そんな状況で、中国が日本に要求している謝罪と賠償を引っ込めたりなんかしたら、人民の怒りの矛先は中国政府に向かいます。ですから、身から出た錆ではあるのですけれども、中国としても、公式ベースでは、決して退くことのできない状態にあります。つまり、日本、中国の双方とも、表向きの外交では互いに退けない状態、睨みあいの状態にあるということです。となると、どうするのか。
対中交渉の2通りの方法
考えられる方法は2つあります。ひとつは、短期間で片付ける方法であり、もうひとつは、ゆっくりやる方法です。短期間で片付ける方法というのは、事態打開のために両国それぞれ水面下での調整を行って、何らかの政治的決着をつけるということです。そして、もう一方の、ゆっくりやる方法とは、公式ルートで正攻法で対応する、という方法になります。
前者については、それこそ、トップ会談で話をつけるということになるのですけれども、今の政府および民主党執行部にそれがこなせる人材は見当たりません。菅首相は、10月にベルギーで行われる、アジア欧州会議に出席して、現地で日中首脳会談を行って、事態の打開を計りたいようですけれども、この状況下で、一体どう決着させようとしているのか、私にはちょっと想像できません。
今後、国会で、地検に対する政治介入があったかの追及や、例の衝突ビデオの公開が囁かれていることを考えると、事態はより難しい方向にいきこそすれ、改善方向にいくとは、とても思えないのですね。ですから、現状をみるに、この方法で短期的に決着をつけるというのは、相当難しいのではないかと見ています。
それこそ、「中国との喧嘩の仕方 補追」のエントリーで述べたように、小沢氏や田中真紀子氏を派遣するくらいで打開できるかどうかではないかと思うのです。ただ、今や船長を釈放してしまっており、いわゆる「船長カード」を日本は持っていないわけですから、仮に、この方法で会談を持てたとしても、なんらかの手土産は必要になってくるものと思われます。
では、もうひとつの公式ルートで正攻法で対応する、という選択についてなのですけれども、これは、長期戦の対応になります。具体的には、中国と水面下での裏交渉など全くせず、馬鹿正直に表交渉だけを、中国にぶつけてゆくという、わざと「融通の効かない」方法で対応する、というやり方です。
たとえば、中国大使がフジタ社員の解放を要求したり、面会を要求する。政府はハイレベルの会談をしましょう、と呼び掛けつづける。仮に会談を持てたとしても、正当な主張を延々と述べて、相手に媚びる妥協など一切しないし、理不尽な要求は決して飲まないようにする。
要するに、かつて小泉総理が靖国参拝を続けて、中国の批難を頑として受け付けなかった、あのやり方で対応する、ということです。奇しくも、船長の釈放以来、日本は、この後者の立場で中国に要求しているのですけれども、中国は、日本の要求を悉く拒否しています。つまり、このやり方を続けることで、時間だけが過ぎていくと予想されるわけです。
けれども、時間が経てば経つほど、世界からみたチャイナリスクは増大する。報復措置を続けられた現地の日本企業は、次々と逃げ出してゆくことになると思われますから、結果として、中国が日本に対して行っている報復措置の実効力が落ちてくることになります。したがって、最終的には、報復措置が報復でなくなっていくわけですから、中国の日本に対する立場はどんどん弱くなっていくことになります。
そこまで粘ってから、交渉の段取りを始めることで、少しでも日本に有利な立場で交渉できる可能性が出てくるというわけです。ただ、これはそれなりに長期戦になることが予想され、ある程度の財界の理解、または、財界からのクレームを一切無視するくらいの無神経さがないと実行不可能だと思われますので、それなりの腹を括る必要がありますね。果たして、その腹が今の内閣にあるのかと言われれば、どうかな、というのが正直なところです。
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