http://www.asyura2.com/10/senkyo96/msg/243.html
Tweet |
前原誠司による重大な国益損失 - 小沢内閣による収拾以外策なし(世に倦む日々)
http://critic6.blog63.fc2.com/blog-entry-383.html
前原の火遊びと国益損失_1
中国漁船の船長釈放の問題について、誰もが中国叩きばかりで済ませ、政府批判の論陣を張らない。マスコミも、野党も、ネットも、外交戦の敗北という本質的な問題を議論をせず、菅政権の失政によって失った国益の大きさを正視していない。政治も外交も結果がすべてである。どれほどの国益が失われたのか。この事件の結果、尖閣諸島は国際社会の中で日中間で領土問題の存在する係争地域となった。そして、中国の国力と威勢の前で日本が平身低頭する姿が世界に晒され、日本外交の無能と戦略のなさが露呈されて笑い者になった。今後、中国は日本に遠慮することなく沖縄トラフ境界線を前提に海域を支配、白樺等ガス田の掘削を始め、膨大な海底資源を採掘するフリーハンドを得た。
さらに、レアアース輸出規制の口実と契機を得た。中国国内で操業する日本企業に対する徴税強化の妥当性も得、日本国債購入による円高誘導の為替政策の準備も始まった。対日経済制裁の作戦布陣である。菅政権が「成長戦略」の目玉で皮算用しでいた中国観光客の収入は減る。農業産品の中国市場売り込みも歯止めがかかるだろう。恐ろしいのは、例の知的所有権問題で、日本側の努力で少しずつ改善の方向にあったニセモノ製品の横行や違法コピーや商標登録の侵害が、再び逆戻りして日本企業に損害を与える危険である。違法渡航者の取締り、中国国内からのメールや携帯を使った詐欺犯の取締りへの影響、黄砂など環境対策、等々。考えただけで目眩がする。
前原の火遊びと国益損失_2
すべての責任は日本政府にあると姜瑜に言われそうだ。官民あらゆる分野で進展中の日中交渉や協力事業をご破算にしてしまった。今度の事件で、日本は面子も実益も全て失った。交渉にすらなっていない。名を捨てて実を取ったのなら兎も角、交渉すらできずに完敗を喫し、国益を大きく失った。外交交渉というものは、煎じ詰めれば国益の取引である。現在の日本政府がいかに愚かで無能か、まさに現在の日本は清末中国そのもので、政府だけでなく国民も朽ちて腐っているのである。この事件は歴史に残るだろう。この事件の衝撃は、おそらく国内に住むわれわれより、海外で居住する日本人の方が大きく、正確な受け止め方なのではないかと想像する。
生活する周辺に中国人の影が濃くなり、否応なく日中関係という問題を感じさせられ、そのバランスの変化の空気に直面せざるを得なくなっているだろう。パリやローマの観光客に対する扱いで、これまでの日中とこれからの日中では接客対応が違ってくるかも知れないとか、そんな事を空想する。日本の没落。マスコミは、中国国内の強硬派と穏健派の対立がどうだのと、そういう見当違いな妄想ばかりを言い、気休めの言説を国民に垂れ流して納得させているが、中国は一枚岩なのであり、指導部が指導部として頑健だから、矢継ぎ早に、戦略的に、対日強硬措置を繰り出せるのである。指導力と責任体制が堅固なのだ。
前原の火遊びと国益損失_3
温家宝のNYでの記者団を前にした声明を聴きながら、自分が中国人だったら、どれほど誇らしく感じる一瞬だろうと思わされた。まさに、アヘン戦争の屈辱以来の民族の快挙。靖国参拝から溜まりに溜まった鬱憤を晴らす会心の一撃。見事な国際舞台での演出。欧米諸国の人々は、あの言葉を挑戦者の言葉として捉える。日本に対する渾身の挑戦であり、一国を賭けた挑戦のフォーメーションによる突撃なのだ。そして作戦は成功した。目的とする戦果(船長釈放)を迅速に達成した。日本海海戦に匹敵するパーフェトクトゲーム。尖閣をめぐる日中の外交衝突は、今年の世界政治の最大の事件だったと意義づけできる。メキシコ湾の原油流出事件、ギリシャの財政危機、それと並ぶか、それ以上の重大な意味を持つ世界史的事件だった。東アジアの力関係が大きく変化した。
その事実を日本のマスコミは報道せず、国民に正しく説明しない。今回の事件についての解説の中で、最も説得的なもの一つは田中宇による分析である。何が原因であり、事件の構図は何だったのかが的確に説明されている。この事件は、日本側が先に仕掛けたものであり、中国側に逆襲を食らって粉砕された事件である。尖閣諸島は、わが国固有の領土であると同時に、日中間の国境線を画す上で未決着の領土問題で、日中が国交を樹立した当初から懸案の問題であった。ケ小平はそれを将来の問題に棚上げすることを提案し、日本側もケ小平の知恵を歓迎して受け入れた経緯がある。
前原の火遊びと国益損失_3
船長がこれほど早く釈放され、日本側の無条件降伏に終わるとは、多くの日本の国民は予想していなかっただろう。起訴の後で交渉が続くと思ったに違いない。釈放せざるを得なかったのは、経済制裁の圧力と恐怖もさることながら、そもそも日本側に非があり、二国間で定めた暗黙の前提を破る暴走があったからだ。海上保安庁は、この海域を監視警備し、威力して中国・台湾の漁船を追い払うが、中国人漁船の拿捕には及ばない。そのクリティカルなルールをバイオレートしたのは前原誠司で、暴走は意図的で計画的なものであり、中国はその事実を見逃さなかった。報道で紹介されているとおり、海保の巡視船が中国漁船に接舷して乗組員を取り押さえた後、逮捕まで13時間をかけている。
逮捕が初で、重大な外交問題に発展するからで、政治の決断を要する問題だったからである。ここで逮捕を決行することは、鳩山政権から友好に努めた日中関係を転換することを意味し、中国政府の反発と報復を招く事態が当然に予想された。だが、前原誠司はそこに踏み切り、中国の反応を読み違えた仙谷由人が安直に暴走を許可してしまった。中国政府は北京の丹羽宇一郎を三度にわたって呼びつけ、中国政府の断固たる決意を示している。三度目が国務委員の戴秉国で、9/12の午前0時呼び出しである。この時点で日本政府はコトの重大性に気づかねばならなかった。ところが、日本政府は中国を甘く見て逆に動く。それは9/14の代表選後の閣僚人事で、前原誠司の外相就任である。
前原の火遊びと国益損失_5
9/17 の改造内閣の人事は、中国に対する何よりのメッセージで、それが9/19の拘留延期に繋がる。拘留延期は起訴であり、起訴の既成事実を防ぐため、中国は国家の総力を上げて猛反撃する展開となった。そして、日本は呆気なく釈放に応じた。現時点に至っても、中国は内心では日中関係の早期修復を望んでいるとか、本当は日本の環境技術に涎を垂らしているとか、振り上げた拳を下ろす時機を探っているとか、気休めの楽観論をマスコミは言い、中国が柔軟姿勢に折れるだろうと報道し続けている。確かに中国は日本との友好関係を望んでいるが、それは、尖閣の海域を実力で排他的に専有する日本ではなく、米国と共同で中国を軍事挑発し、中国の海洋進出を阻止牽制する日本ではない。
アヘン戦争以来の外国からの侵略を受けた中国は、何より領土問題に神経質で、特に日中戦争で受けた傷を忘れてはいない。中国へ行って誰かと話をすればわかるが、身内に日本軍による戦争犯罪の犠牲者を持った者が無数にいる。国益の第一は領土の保全と侵略の排除で、その防衛に妥協の余地はないのだ。特に、世界第2位の経済大国となり、これから超大国に上り詰めようとする中国が、国益の優先順位を判断したとき、外交戦の経済損益カードの切り合いで日本に負けるはずがないのだ。中国の方が圧倒的に有利なカードを何枚も持っている。米国が狡猾な中立を決め込んだとき、突っ張り合いをすれば中国が勝つ。中国は、昔の谷亮子の柔道のように厳しい速攻の連続技で勝負を決めた。
前原の火遊びと国益損失_6
どうすればよいのか。前原誠司が外相を続けたままでは、日中関係の修復は不可能だろう。それは、小泉純一郎が政権に居座ったまま、靖国参拝を続けて、日中関係修復を唱えるのと同じだ。米国と癒着している前原誠司を閣外に外し、鳩山政権時代の対中姿勢に戻さなくてはいけない。尖閣諸島については、ケ小平の棚上げの原則の遵守まで戻す必要がある。だが、ガス田の掘削について果たして原状に戻すことが可能だろうか。中国がアドバンテージを取った以上、よほど大きな妥協なり進展がないと、ガス田の問題で日本の国益を回復保全することは困難だと思われる。私の提案は、左カードを使うことで、具体的には、靖国神社のA級戦犯の分祀と国立追悼施設の建設、そして両陛下の南京訪問と謝罪である。
この政策には国内の右翼が猛反対するだろうが、最も現実的で、出費負担が少なくて済む日中関係の構築である点には自信がある。戦後の保守政治家の石橋湛山は、戦後日本の安泰を考えて靖国神社の毀却を真剣に提起していた。その原点を踏まえれば、国立追悼施設など何も問題はないはずだ。日中友好の礎とする国家百年の計を案じた保守政権の課題とすべきである。右カードの着想もないわけではなく、具体的には日本国首相の台北訪問と戦争責任謝罪だが、現時点で右カードを政策の候補にすることは、前原誠司の火遊びと同じで、日本の国益の保全には繋がらない。中国に逆襲され、痛い目に遭い、逆に国益を大きく損なうだけだ。中国経済(外需)に依存しない日本経済を作り、GDPで追い越さないと、右カードは外交政策としてワークしないのである。
左カードを切り、取引の交換条件として、日本のEEZ(経済水域)線を中国に認めさせ、沖縄トラフ線を放棄させる。EEZ線の東側にある尖閣諸島を日本の領土として認めさせる。踏み込んで、私個人の正直な腹案を言えば、石橋湛山の毀却案と交換に、ガス田を100%日本の所有にすることである。憲法9条を外交の武器にして、国益と国富を得るとはこういうことだ。憲法9条は宝の山である。右翼は激怒するだろうが、このテーゼこそ真実で、国家百年の救国富国の政策に他ならない。右翼が逆上する挑発的な言い方をすれば、靖国を中国に売却し、対価として尖閣とガス田を貰う。不要なイデオロギーは売却するのが国家にとって最善の方策だ。上は左カードの極論だが、次善の策として、小沢一郎に登場を願い、この国難の事態を収拾してもらうしかない。鳩山由紀夫を外相とし、田中真紀子を特使として北京に派遣し、日中関係の劇的転換を図るしかない。日中と日米の二つの関係を巧く均衡させ、国益を守ることができる指導者は、現時点では小沢一郎しか考えられない。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK96掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。