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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100926-00000569-san-pol
【政治部デスクの斜め書き】
「小沢一郎元幹事長は、再び動き出す」
「鳩山由紀夫前首相は、菅直人首相を絶対に許さないだろう」
「仙谷由人官房長官は、小沢氏を潰すつもりだ」
「菅政権が来春を乗り切れるわけがない」
怨念の台詞と、事情通たちの見通しが駆け巡る永田町。尖閣諸島沖の漁船衝突事件で、致命的な「外交的敗北」を喫した菅首相だが、それでも、菅政権が「長期政権」になるのではないかという予感がある。
気になるのは「無気力」だ。
安倍、福田、麻生、鳩山と続いてきた短命政権の影響なのだろうが、「もう政治はおとなしくしていてもらって、一つの政権でいこうよ」という空気が満ちている。世論調査で菅首相の再選を支持する最大の理由が「首相を頻繁に変えるのはよくないから」というのもうなずける。
そもそも菅内閣は、発足段階から、他人の看板を背負ってきた。
「鳩山氏ではない人」として発足したのであり、今回の党代表選でも「小沢氏ではない人」として再選した。
菅首相が何をしようとしているのかについては、あまり世論も期待していないし、というよりも、「鳩山氏のように突飛な行動を取らないでほしい」という空気が、世論調査では「政権公約（マニフェスト）の変更もやむなし＝過半数」に表れてくる。
今回の中国漁船船長の釈放決定も、すべてが後手後手になり、世論の批判は強いが、それが「菅首相の代わり」を模索する動きにならないのではないかと思える。
無気力というのは、民主党代表選での小沢氏が獲得した２００人の国会議員たちの中にも漂っている。
「選挙で小沢氏から支援を受けたから、小沢氏を応援する」という声は多いが、「いざ鎌倉」となった場合に「小沢派」として前線に立つ気構えがあるかどうかは微妙だ。「小沢派」の議員の大半は、しばらくすれば「政権支持派」になっているかもしれない。
こうした議員たちに政局を動かすパワーが感じられないのはやむを得ない。菅首相を引きずり下ろして、事を構える力など、もうないのかもしれない。
同じことが、野党にもいえる。
早々に与党に戻ろうとする社民党は放っておくとしても、自民党の一部に菅政権との連立志向があり、一方で小沢氏と本当に組んでやろうという自民党議員など、ほとんどいないのが現状だ。
現政権と結びつこうとする勢力がひとつでもあれば、菅内閣の国会運営は言われているほど難しくない。
民主党が野党だった時代のように「なんとしても潰さないといけない与党自民党」という迫力が今の自民党には感じられない。
公明党はさらに分からない。統一地方選まで対決姿勢を維持することができればまだしも、その前に賛成票を投じかねない。
無気力が永田町と日本の政治を支配しているだとすれば、官僚主導で安全運転を志向の菅内閣に、誰が弓を引くのだろうか。
１０月に召集される臨時国会での危機説。予算編成での年末年始の危機説。統一地方選での危機、その後の予算関連法案を巡る解散風。あれこれ想像してみても、次なる政局の主役が想像できない。
仕方なく、永田町事情通は「小沢氏」という類まれな、使いやすい「政局アイテム」をつかって、「小沢がいつ動くか」をいう問題設定をする。「小沢が動けば菅内閣は潰れる」式のロジックだ。
だが、それには、可能性のきわめて低い小沢氏主導の大連立か、与党分裂の大混乱かしか描けない。小沢氏を代表選で支持した２００人が、野党転落のために小沢氏についていく、という永田町芝居が想像できない。
実際のところ、菅首相が政権を手放す場面を想像するなら、再び「自滅」しかない。菅首相が衆院議員の任期満了前に「解散」のトリガーを引くシーンも想像できないからだ。
今回の尖閣問題での中国への「屈服」が、どれだけ菅内閣のダメージになるかは試金石だ。首相はもともと、中国との向き合い方や、日本の国家としての形など考えていないだろうから、どんな批判も聞く耳がないかもしれない。だが、あの消費税発言を無理矢理乗り切ってきた菅内閣だ。仙谷由人官房長官あたりは、対中問題では、時間が経過するリスクの方が高かった、という「ダメージコントロール」のようなつもりで、今回の屈辱外交を自画自賛しているかもしれない。
菅内閣の目標は、「自滅」を回避することだけだ。政権を維持することができれば、後は何もいらない、という無気力政治が続く。予算編成でも、あっちで少し、こっちで少し。財源を少しずつ動かして、あちこちの要求を実現してあげて…。
菅内閣が、現在の衆院議員の任期、３年間程度の政権維持が可能ではないかと、悲観的に予感するのは私だけなのだろうか。
（金子聡）
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