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「週刊ポスト」10.1日号
平成22年9月20日(月)発売
小学館 (通知)
[緊急検証]
尖閣侵犯事件で中国に土下座
外交惨敗−大使を夜中に「朝貢」させた国辱官邸の大罪
──やっぱりこの政権に外交は任せられない
(写真) 呼び出された丹羽大使
(写真) 日本政府は『尖閣諸島に領土問題はない』という立場 (上は胡錦濤・国家主席)
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「朝貢」とは、属国の使節が宗主国の中国皇帝に謁見し、土産の物を献じて君臣の礼を示す儀礼で、対等な国家間で行なわれるものではない。だが、尖閣諸島沖での中国漁船の領海侵犯をめぐる日本の対応は、まさしく「まさしく「朝貢外交」ととうほかない。日本外交が露呈した危機的状況を緊急検証する。
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「情報戦」で完敗した外務省
「無事に帰ることができたのは、共産党と政府のおかげです。感謝しています」
9月13日、日本からチャーター便で帰国した中国漁船の乗組員は、そういって中央電視台(中国の国営放送)のテレビカメラの前で満面の笑みを振り撒いた。帰国を受けて中国外務省の姜瑜(ジャンユー)・副報道局長は、「中国政府は日本に厳しい交渉で臨み、領土と主権を守る断固とした決意を示した」
と、高らかに「中国外交の勝利」を宣言した。それは同時に、日本の外交が惨敗した瞬間でもあった。
9月7日、東シナ海の尖閣諸島周辺の日本領海内で、違法操業をしていた中国の漁船が停船命令を発した日本の海上保安庁の巡視船に衝突。海保は船長を公務執行妨害の疑いで逮捕Lへ残りの船員14人を拘束した。
これに対して、中国外務省は7〜10日の連日にわたって、丹羽宇一郎・駐中国大使を呼び出して抗議。そして12日には、午前0時(日本時間1時)という真夜中に、戴秉国(ダイビングォ)・国務委員(副首相級)が5度目となる丹羽氏への呼び出しを行なって、船員と漁船を直ちに引き渡すよう迫った。
尖閤諸島は、68年の国連調査で豊富な海底資源があることが明らかになり、その翌々年に突然、中国が領有権を主張し始めた。日本政府は「尖閣諸島は日本固有の領土で、日中間に領土問題は存在しない」との立場を貫いている。
元外交官で作家の天木直人氏が指摘する。
「日本は領海侵犯をされたわけですから、海上保安庁が取った行動にはいささかの非もありません。本来であれば、真っ先に且本が在日中国大便を呼んで抗議をすべき話です。ところが、中国側は休日の未明に日本の大便を呼びつけた。これは外交儀礼を大きく逸脱しています」
にもかかわらず、丹羽氏は夜中に馳せ参じ、翌日に日本政府は船長以外の全船員の釈放と漁船の返還を決めた。
日本外交の拙さがハッキリ見えるのは、交渉過程に関する情報がすべて中国政府のコントロール下に置かれていたことだ。日本政府も、程永華(チョンヨンホワ)・駐日大便を呼び出してはいたが、それを伏せていたため、中国は一方的に日本の大使を呼びつけたかのような印象作りに成功した。天木氏が続ける。
「こうした交渉は両国の外交官が水面下で話し合って、穏便に決着させるのが外交というもの。ところが、今の日本には中国当局に深い信頼関係に基づくパイプを持つ外交官がいない。情報戦で一方的にしてやられた理由はそこにあります。
中国は大使を真夜中に呼び出すような無礼をあえて表面化させて外交力の優位を見せつけることで、対外的には今後の領土問題の外交交渉を優位に進め、国内的には日本にモノをいえる政府という姿勢をアピールしたわけです」
たとえば、72年の日中国交正常化交渉時の日本には、タフ・ネゴシエーターぶりを発揮して、当時の周恩来首相をして「中国にもああいう外交官が欲しい」といわしめた高島益郎・外務省条約局長のような人物がいた。伊藤忠商事の会長で、3か月前に政治任用されたばかりの新米大便である丹羽氏に現代の高島≠求めるのは酷だとしても、外交惨敗を招いた責任は大きいといわざるを得ない。
大使出頭≠ヘ官邸の指示?
それにしても疑問なのは、丹羽大使が唯々諾々と出頭要請″に応じることを、なぜ誰も止めなかったのかだ。商社のトップとして重要な商談に向かうならともかく、領土問題が絡む事案での異例の呼び出しに丹羽氏が独断で対応したと考えるのは不自然である。
駐レバノン大使を経験した前出・天木氏は首を傾げる。
「大使の正式名称は『特命全権大便』であり、天皇陛下の認証を受けた立場ですが、それはあくまで儀礼上のものです。今回のような事案では、丹羽大使から官邸と外務省に報告した上での行動だったのは間違いないと思います」
高度な政治・外交判断が必要とされる案件では関係閣僚会議が開かれる。今回の場合、外相、海保を所管する国交相、漁業関係を担当する農水相、そして入管を司る法相などで開催されると思われたのだが、最後まで会議は開かれなかった。
そればかりか関係閣僚ではない蓮紡・行政刷新相が会見で、「これは領土問題」と発言して外交認識の未熱さを示し、前原誠司・国交相らが慌てて否定する一幕さえあった。
防衛省関係者が明かす。
「菅総理はもちろん、前原国交柏ら各閣僚も民主党代表選挙の真っ最中だったために、対応は外交に疎い仙谷由人・官房長官に一任された。丹羽大使が呼び出しに応じたのも、仙谷長官の判断だったのではないか」
だとすれば、仙谷氏が「深夜に大使を呼び出したのは極めて遺憾だ」と述べたのは、実に白々しい話である。
同志社大学の村由晃嗣教授(国際関係論)が厳しく批判する。
「要求された途端に船員を解放すれば、中国の主張が正しいと認めることになる。官邸は外交や防衛の専門家宅協議し、船員の釈放のタイミングなどを総合判断すべきであり、判断が甘すぎたといわざるを得ない」
元防衛相補佐官で、拓殖大学大学院の森本敏教授も口を揃える。
「菅首相は事件発生当初に、『尖閤諸島はわが国国有の領土であり、国内法を適用し、厳格に対応する』といって、国家としての意思を明確に発するべきでした。中国側は、首相が執務時間を代表選の選挙運動に充てる姿を見て、どうせ今回の事件には対応できないだろう≠ニ考えたのでしょう」
さらに中国では、日本政府の外交機能停止状態を嘲笑うかのように、中国最大のハッカー集団『中国紅客連盟』が首相官邸や海上保安庁などへのサイバーテロを予告している。
「日本はこうした行動を黙認している中国政府に抗議して止めさせるべきなのに、未だ何のアクションも起こしていない。それをいいことに中国は反日デモなどを黙認しています」(前出・防衛省関係者)
公務中にも総理をはじめ大臣たちが議員会館回りをしている間に、日本の国益は中国に蹂躙されていたのである。
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