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2010⁄09⁄25(土) 09:00
国策捜査とは、国家がいわば「自己保存の本能」に基づいて、検事を道具にして政治事件を作り出していくことだ!『国家の罠』より
『国家の罠』は5年前に出版されベストセラーにもなっているから、読まれた方も多いだろう。
取調べでの佐藤氏と西村検事とのやりとりが大変興味深く、最初はサラっと読み返そうと思ったが、いつの間にか引き込まれ、読み込んでしまった。
東京新聞の『本音のコラム』の中に出てくる西村検事の語ったことで、その前後の会話がある。
それを転載(書き写し)させていただく。
≪西村検事の形相は日に日に厳しくなってきた。しかし、私への対応はより丁寧になった。今度は私の方からカードを切った。というより挑発してみた。
「西村さん、調書をそっちで勝手に作ってきたら。読まないで署名、指印するよ。担当検察官に点をとらせたいと思うようになった。」
私は西村氏が侮辱されたと感じ、烈火の如く怒り出すと予想していた。しかし、西村氏の対応は冷静だった。
「申し出はありがたいけど断る」
「どうして。検察が思う通りの話を作ることができるじゃないか」
「あなたに変な借りを作りたくない」
「別に貸しとは思わないよ。公判で任意性を争うこともしないよ」
裁判での証拠は、任意でなされた上の事実でなくてはならない。例えば、「私が財布を盗みました」というのが事実でも、その供述が拷問によって任意できない方法でとられた場合は、理論的には無効だ。逆に、被告人が任意の上で、検事とともに事実と異なる調書を作った場合も理論的には無効である。しかし、当然のことながら、検事が被疑者とグルになって事実と異なる、つまり信用性に欠ける内容を作文するなどということを裁判所は想定していないので、このような論理展開をする法律家はいない、だから、供述調書を巡る争いは任意性の話ばかりになる。
「じゃあどうして嫌なんだい」
「自分のモラルを落としたくない。あなたはわかると思うけど、調室の中で僕たちは絶大な権力をもっている。この権力を使って、何でもできると勘違いする奴もでてくる。怒鳴りあげて調書を取れば、だいたいの場合はうまくいく。しかし、それは筋読みがしっかりしているときだけ言える話だ。上からこの流れで調書を取れという話が来る。それを『ワン』と言ってとってくる奴ばかりが大切にされる。僕は『ワン』という形で仕事をできないんだ」
「どうして」
「性格だと思う。自分で納得できないとダメなんだ。最近、国策捜査で無罪をとられる例がいくつかあった。あの種の事件は調べのときに必ず無理があるんだ。だから公判で事故が起きる」
「国策捜査なんてそんなもんだろう。組織人なんだから言われたことはやらなくてはならない」
「それはそうだ。しかし調室でモラルが低下すると、権力を勘違いする。そして、被疑者を殴ったり、電車で痴漢したり、あるいは女性検察事務官と不倫したりと滅茶苦茶なことになる。そうなりたくない。だから調室では無理をしないことにしている。・・・・」(P244)≫
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この本の中では、西村検事とのやりとりが半分を占めていて、検察内部の情報や事件の背景など、この佐藤氏に対する国策捜査における会話が中心だが、決してそれだけではない。
驚くのは、会話の一つ一つをまるでテープにでも撮ってあるかのように、可視化できていることにも興味深い。
佐藤氏は、記憶するのは映像でしていると語っていて、何かの記号、手帳のメモや文章など、きっかけがあれば、映像としてその時のことが浮かんでくるということだ。
この本を執筆した当初、まだ自身の手帳や資料なども検察に取り上げられたままの中であったにもかかわらず、「太平記」を参考に事実を細部にこだわったという中味は、会話は勿論、過去のちょっとしたやりとりまで書かれていて、驚異的な記憶力が覗える。
512日間の独房生活を送り、この本がただの獄中記ではないところは、要所要所で佐藤氏が思考し、本を読みながら思索した、最悪の環境を積極的に受け入れた強靭な精神力から出てくる、力ある言葉がつまっていることだ。
たとえば「国策捜査」と「冤罪事件」とは決定的に異なる構造をもつということに、考察して気がついたとして次のように書いている。
≪冤罪事件とは、捜査当局が犯罪を摘発する過程で無理や過ちが生じ、無実の人を犯人としてしまったにもかかわらず、捜査当局の面子や組織防衛のために自らの誤りを認めずに犯罪として処理する。従って、犯人とされる人は偶然、そのような状況に陥られてしまうのである。
これに対して、国策捜査とは、国家がいわば「自己保存の本能」に基づいて、検事を道具にして政治事件を作り出していくことだ。冤罪事件と違って、初めから特定の人物を断罪することを想定した上で捜査が始まるのである。そして、検察はターゲットとした人物を何としても犯罪を見つけだそうとする。ここで犯罪をみつけだすことができるとすれば、それが微罪であるとしても、検察は犯罪を摘発したわけだから、検察が犯罪をデッチあげたわけではない。国民は拍手喝采する。他方、どうしてもターゲットに犯罪が見つからない場合はどうするのか。理論的には検察は事件化を諦める。しかし、世の中は理論通りには進まない。そのときは検察は事件を作るのである。この場合も国民は拍手喝采して検察の「快挙」を讃える。要するに一旦、国策捜査のターゲットになり、検察に「蟻地獄」を掘られたら、そこに落ちた蟻は助からないのである。(P300)≫
これを西村検事にぶつけてみた、その反応も面白い。
≪君の言う、『あがり』は全て地獄の双六という表現は、とってもいいし、正しいと思うよ。ただし、いつも言っていることだけど、僕たち(特捜部)は、冤罪はやらないよ。ハードルを下げて、引っかけるんだ。もっとも捕まる方からすると理不尽だと思うだろうけどね」≫
では検察はなぜ国策捜査をするのか。
西村検事は、佐藤氏逮捕後、三日目で「本件は国策捜査だ」と明言して次のように解説している。
≪これは国策捜査なんだから、あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため。国策捜査は『時代のけじめ』をつけるために必要なんです。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出して、それを断罪するのです」・・・「・・特に政治家に対する国策捜査は近年驚くほどハードルが下がってきているんだ。一昔前ならば、鈴木さんが貰った数百万円程度なんか誰も問題にしなかった。しかし、特捜の僕たちも驚くほどのスピードで、ハードルが下がっていくんだ。今や政治家に対しての適用基準の方が一般国民に対してより厳しくなっている。時代の変化としか言えない」(P287)≫
その適用基準が結局、ワイドショーと週刊誌などマスメディアの論調で国民の世論が形成され、それに検察も裁判所もあわせている、ということだ。
この検事の論点で国策捜査が時代の転換には必要である、ということには、あくまでも時の権力と結託した検察の"いいわけ”にしか聞こえない。
この佐藤氏に対する一連の取調べが、ある日唐突に終わったという、その理由がいいわけを暗示している。
≪検察庁の三井物産と丸紅に対するダブルスタンダードに顕著に現れている≫、として、丸紅プラントが入札に加わらない対価として五千万円の「降り賃」を得ている問題で、検察上層部から西村検事が次のように言われたと書いている。
≪「この話を事件化すると相当上まで触らなくてはならなくなるので、うち(検察)の上が躊躇しはじめた。昨日、上の人間に呼ばれ、『西村、この話はどこかで森喜朗(前総理)に触らなくてはならないな』と言われた」・・・(佐藤)「そうすると今回の国策捜査をヤレと指令したところと撃ち方ヤメを指令したところは一緒なのだろうか」、(西村)「わからない。ただし、アクセルとブレーキは案外近くにあるような感じがする。今回の国策捜査は異常な熱気で始まったが、その終わり方も尋常じゃなかった。ものすごい力が働いた。初めの力と終わりの力が君が言うように一緒のところにあるかもしれない」(P344〜346)≫
佐藤氏が裁判での最終弁論で語ったという、国策捜査に関して指摘した4点を簡潔に書くと、
1.国家的構造転換をするときに歴史的必然として出てくる。⇒当時者の罪とは別問題
2.国策捜査とマスメディアの問題⇒メディアスクラムによって洗脳された国民の世論に影響される検察・司法
3.今回の真の勝者は、竹内行夫外務事務次官をはじめとする現外務省執行部⇒事件の真相は、二十六年後に外交文書が公開されるときに明らかになる
4.日本の外交にどのような実害をもたらしたか⇒リスクを背負って日本の国益のために外交努力する官僚が減る。
ということだ。
この事件には、森前首相と当時の小泉政権が深くかかわっていることは、ネット上でも一部雑誌でも指摘されてきた。
平野貞夫氏が暴露した森英介元法相による指揮権発動疑惑で、大久保秘書から始まる一連の小沢一郎氏をターゲットにした国策捜査もこれと全く同じ図式である。
三井環氏が指摘している検察幹部の人事問題で、小泉政権下に借りをつくった検察が、「けもの道」に入いり、何でも言いなりになってきたことを考えれば、今でも地下で気脈を通じ合っているとみて間違いないだろう。
そんな中での今回の改竄問題も、最高検幹部からして国策捜査を進めてきた、その組織が、いくら大阪地検幹部を取り調べて処分を下しても、根っこ腐った部分は何も変わらないだろう。
やはり、ウヤムヤにされないためにも、ここは叫び続け、国会議員一人ひとりが、今後ターゲットにされる可能性を誰もが秘めていることを自覚して、可視化も含めた司法改革、検察のあり方を議論し、機関を設ける対策を急ぐべきである。
明日はわがみである。
最後に、この『国家の罠』がタイトルとなったいきさつで聖書の言葉が書いてあったので写してみる。
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太陽の下、再び私は見た。
足の速いものが競争に、強い者が戦いに
必ずしも勝つとはいえない。
知恵があるといってパンにありつくのでも
聡明だからといって富を得るのでも
知識があるといって好意をもたれるものでもない。
時と機会はだれにも臨むが
人間がその時を知らないだけだ。
魚が運悪く網にかかったり
鳥が罠にかかったりするように
人間も突然不運に見舞われ、罠にかかる。
(旧約聖書「コヘレトの言葉(伝道の書)」第九章十一〜十二節)
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