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菅直人首相と小沢一郎前幹事長による民主党代表選は、どちらが現職総理なのか見間違うほど、菅氏の小物ぶりが目立った。一方の小沢氏は口べたどころか実に雄弁。強制起訴になっても受けて立つ、国会審議でも政治とカネの問題から逃げることはない、と明言した。検察の事情聴取を乗り切った経験があるので、国会など屁でもないということだろう。
それにしても、「草かんむりの取れた官さん」と呼ばれている菅氏が、9月1日の共同記者会見で、「財務省こそ野放図な財政を放置してきた張本人」と、とってつけたような財務省批判をしたのには笑った。
何しろ、来年度予算概算要求に関して池田元久財務副大臣が「形の上で政治主導を見せるというか、官邸あるいは党もかんでいただいた」と発言し、政治主導が演出であることを身内が暴露(7月26日)していたのだ。いっそのこと、「剛腕・小沢」に本当の政治主導をやらせてみたいと期待する声が出たのも当然だろう。
その小沢氏の発言の中でも、霞が関官僚が最もドキッとしたのが、次の発言だ。
「約600兆円の国の資産のうち200兆円くらいは証券化できると言われている。我々の主張する財源は十分に捻出できる」
国の資産には特殊法人等への貸付金や出資証券が200兆円以上ある。これらを証券化するというのは事実上、売却とイコールだから、特殊法人等の民営化を意味する。そうなると、国から補助金投入ができなくなり、補助金がなくなるから天下りもできなくなる。だから官僚がショックを受けたのだ。
ここまでなら、「菅官密着」を批判する小沢氏はさすがだ、ということになる。だが、証券化によって200兆円が財源になるというのは、残念ながら小沢氏の勘違いだ。
資産の証券化は確かに売却と同じ効果を持つ。しかし、その資産は国債発行によって調達しているから、国の帳簿には資産に見合った負債がある。即ち、証券化によって捻出する200兆円は、負債の国債200兆円の償還で消えるのだ。小沢氏は、証券化によって官のスリム化をすると言えば良かった。
小沢氏の政治主導姿勢も実は怪しい。政見政策の中で小沢氏は、「地域主権の実現に合わせて国家公務員の定数を削減」と書いているが、この書きぶりは「地域主権が実現するまで定数削減はしない」と読める。09年マニフェストで謳っていた国家公務員の総人件費2割カットは先送りされる公算が高い。
小沢氏はこの20年ほど政界の実力者として君臨してきたが、政府内の経歴は少ない。中曽根内閣の自治大臣(85年12月〜86年6月)と、竹下内閣の官房副長官(87年12月〜89年6月)くらいだ。このため、官僚からみるとパイプがなく接触しにくい人物だった。剛腕とのイメージもあって、それがますます小沢伝説となっていった。
ただし、財務省は別格だ。現官房長の香川俊介氏(79年入省)は小沢官房副長官時代の秘書官で、その後も一貫して小沢担当として立ち回り、節目節目で小沢氏を財務省寄りに方向転換させてきた。細川政権下で浮上した国民福祉税構想も、旧大蔵省のシナリオに小沢氏が乗ったものだった。
強面の小沢氏だが、しょせん古い自民党議員と同タイプだから、財務省にとっては御しやすいだろう。そのうち「官僚を上手く使う」なんていうセリフが小沢氏の口から出る可能性も、決して低くない気がする。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1180
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