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岸 博幸のクリエイティブ国富論/ダイヤモンド・オンライン
7〜8年後に中国の名目GDPは日本の2倍に!
尖閣諸島問題で“格下”外交にさらされる菅政権
尖閣諸島での中国漁船衝突事件を契機に、日中関係が急速に悪化しつつありますが、そこで目立つのは中国政府の強硬姿勢です。その背景について、メディア上では様々な視点から報道されていますが、中国の経済力の高まりも重要な背景となっているのではないでしょうか。
■中国経済の躍進
知り合いの中国政府関係者を含め色々な人に話を聞いてみたところ、多くの人が、中国政府にとっての東シナ海での海洋権益や制海権の確保の重要性という側面を重視していました。それ以外に、民主党政権の対中外交のスタンスの見極め、中国国内のネット世論への配慮のし過ぎといった側面に言及する人もいました。
そうした政治的な要素が大きいのは間違いないのでしょう。ただ、ある人が教えてくれて“なるほど”と思ったのですが、経済面での中国の躍進も背景にあると考えるべきではないでしょうか。
中国が急速な経済成長を続けているのはご承知のとおりです。今年の4〜6月の中国の名目GDPが日本を上回ったという報道も記憶に新しいと思いますが、今後は両国経済の差が急速に開いていくことをご存知でしょうか。
中国はこれまで二ケタ成長を続けてきましたが、最近は7〜8%に成長率が鈍化してきています。そこで今後は8%成長を続けると仮定しましょう。一方で、日本はデフレを脱却できずに名目成長はゼロが続くと仮定しましょう。この仮定の下で機械的に計算をすると、10年後の2020年には中国の名目GDPは日本の2倍になるのです。
中国の通貨である人民元の為替相場は過小評価されており、今後は人民元の切り上げが進むだろうことを考えると、実際にはもっと早く2010年代後半に中国の名目GDPが日本の2倍なる可能性が高いのです。
つまり、経済規模で言えば日本は完全に中国の格下となるのです。尖閣諸島問題での中国政府の強硬な対応は、そうした経済面での現実を踏まえた部分もあるのかもしれません。
■米国への挑戦という側面
そして、尖閣諸島問題での中国の対応には米国とのパワーゲームという要素もあると思いますが、そこでも経済の現実が絡んでくるのではないでしょうか。
尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象となります。かつ、中国は東シナ海の先の南シナ海を、台湾やチベットなどと並ぶ領土面での“核心的利益”の対象に含めているのに対し、米国は“南シナ海の航行の自由は米国の国家的利益”と見なして関与の姿勢を強めています。
一方で、経済面を見ると、中国の名目GDPが日本の2倍となった後には米国を追い抜くことも確実です。内閣府は2030年頃にそれが起きると予測していますが、購買力平価で考えると、2020年よりも早い段階で中国の名目GDPは米国と同規模となる可能性が高いのです。
つまり、中国はいずれ経済面では米国に並ぶ存在になると分かった上で、国際政治面では東シナ海と南シナ海を巡って米国と競い出しているのが現状ではないでしょうか。日米安保条約が絡む以上、日米関係がいかに強固であるかのテストという側面もあるでしょうが、日本よりも米国が中国の最大のライバルであることは間違いないのでしょう。
■菅政権は歴史的な政権となるか?
このように考えると、菅政権の対中外交は非常に微妙かつ難しくなるだろうと言わざるを得ません。経済のリアリティから考えて、中国の外交スタンスは今後いっそう強気になる可能性も高いと思われるからです。
鳩山政権は日米関係をおかしくしてしまいましたが、それに加えて菅政権が外交の舵取りを間違えて日中関係もおかしくしてしまったら、民主党政権は日米、日中という日本にとって最も重要な二つの二国間関係をおかしくしてしまうことになります。そうしたら、民主党への政権交代は“悪い意味での歴史的な政権交代”となりかねません。
尖閣諸島問題はすでに観光面などで日本に影響を及ぼしつつあります。
中国政府の関係者に聞いたところ、「最後はそこまで大事にならないはず」とは言ってくれましたが、今や日中の経済は切っても切れない関係にあることを考えると、経済への悪影響を最小限にしつつ主権国家としての毅然とした対応をしなくてはいけません。これ程難しい綱渡りはないと思いますが、菅政権には是非頑張ってもらわないといけません。
http://diamond.jp/articles/-/9478
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