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2010-09-22 日刊ゲンダイ掲載
朝日の“深み”と“浅み”、そして“弱み”
「日刊ゲンダイ」の敬虔なる愛読者は、以下の如く道破(どうは)したい衝動に駆られているでしょう。近時の「朝日新聞」は唾棄(だき)すべき存在である、と。
同様の懸念を佐高信氏率いる「週刊金曜日」編集部も痛感していたらしく、「マスコミ不信はなぜ強まるのか 『朝日』の小沢バッシング」と表紙に大書きした9月17日号で、「民意不在の偏向報道を検証する」特集を組んでいます。
が、都合30年近くに亘(わた)って畏兄・加藤周一氏が夕刊で連載した「夕陽妄語」に象徴される”深み”こそ、他紙の追随を許さぬ”強み”。洞察力に富んだ数々の寄稿がコア・コンピテンシー、と「朝日」は冷静に捉え直すべきなのです。
「口蹄疫の終息宣言」に関し、鹿児島大学名誉教授の萬田正治氏が8月28日付「私の視点」で看破した「全頭殺処分ではなく発病しなかった家畜を残せば抵抗力の有るものを選抜する結果となり、低コストの有効な対策となった」との指摘も、傾聴に値します。
「日本畜産の近代化は、安全性よりも経済効率を第一義に考え、規模拡大路線を推し進め、一極集中型の大量飼育で密飼いし、輸入飼料に依存してきた。これでは家畜本来の抵抗力は失われ、病気に弱くなる。感染した場合は一気に農場内に広がり、大量死する」。
「そもそも細菌やウイルス等の病原体に対して、人間を含む動物はその抗体を獲得し、抵抗力を身に付けて対処してきた。これに対して病原体は耐性を獲得したり、新型の病原体となったりして反撃する。再び動物はその抗体を作る。この繰り返しが生物の進化だ。従って、無菌化社会を進めていけば、却って動物達を危機に陥らせる」。
が、自紙の”強み”を自覚し得ぬ「朝日」は、斯くなる秀逸な”深み”に限って何故か、ホームページにアップしないのです。泡沫(うたかた)の如き”浅み”の記事が政治面には満載され、それが結果として自紙の”弱み”へと繋がっていく一方で。
とまれ、女性局長”逮捕”に向けて、大阪地検特捜部と二人三脚で紙面作りに務めた顛末を昨年来、自画自賛していた「朝日」は、その村木厚子女史が悲劇のヒロインとして復職を果たした今こそ、長妻昭前大臣が即時廃止を明言した障害者自立支援法なる”羊頭狗肉”法成立の、実は立役者だった彼女に、その抜本的見直しを特命担当させてこそ、「薬害エイズ」宰相の内閣に相応(ふさわ)しい、ってな厚顔無恥な論陣を張ってこそ、霞ヶ関御用媒体の面目躍如なのでは。
カテゴリー:日刊ゲンダイ にっぽん改国
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