http://www.asyura2.com/10/senkyo95/msg/720.html
Tweet |
この人の重大発言
http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/ocn/sample/thisperson/100923.html
「(中国漁船衝突事件で逮捕した船長の拘置について)日本の法律にのっとって粛々と対応するに尽きる」 (読売新聞9月20日付)
前原誠司外相
--------------------------------------------------------------------------------
9月19日午前のNHK討論番組で、領海を侵犯して違法操業をしていた中国漁船の船長の身柄を拘束し、さらに拘置したことについてふれて。
尖閣諸島付近で起きた、海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件をめぐり、19日、石垣島簡易裁判所が中国漁船船長の勾留をさらに10日間延長する決定を下したことで、日中関係は悪化の一途をたどっている。
船長の即時釈放に応じない日本政府に対し、中国政府はすでに報復措置として尖閣諸島の領有権問題とは筋の違う、東シナ海ガス田共同開発の条約交渉の延期と中国要人の訪日中止を発表した。18日には、無断で中国の作業船が東シナ海ガス田の「白樺」(中国名・春暁)に掘削用のドリルと見られる機材を搬入した。他方中国国内では18日に北京、上海、深セン、香港、瀋陽、広州などの中国各地で反日デモがおこなわれ、中国当局はこれを黙認している。
冒頭の前原発言は、18日までの推移を見てのものだが、同討論番組では前原外相は中国各地の反日デモについて「デモは散発的で参加人員も少なかった。中国政府も冷静に対応していただいた」と語り、事態を楽観視していた。
しかし、事態は前原外相の見通しとは裏腹に動いた。中国政府は石垣簡裁の船長勾留期限の延長に厳しく抗議し、「日本側が独断専行で過ちの上に過ちを重ねるなら、中国側は強烈な報復措置を講じ、その結果はすべて日本側が負うことになる」として、日本との間で閣僚級以上の省庁・地方政府間の交流の中止、及び8月に合意したばかりの航空路線増便のための協議などを中止することを発表した。さらに万博視察のために上海入りする予定だった日本の大学生ら1000人の青年訪中団の受け入れも直前に中止した。
中国は、なぜ、かくも強硬な態度に出るのか。1960年代末に国連の調査で尖閣諸島付近の海底に豊富な地下資源があることが発見されて以降、中国と台湾がにわかに「尖閣諸島は自国領土」と主張し始めたが(16日付の「キーワード」参照)、中国は早々と海底の資源探査を開始し、1992年には領土法を制定して尖閣諸島を自国領土と明記した。これはその2年後の1994年に発効する国連海洋法条約を意識したものだった。
世界149カ国が批准したこの国連海洋法条約は、日本も中国も調印しているが、そのエッセンスは「領海は12海里」、「排他的経済水域(EEZ)は200海里」と定めたことにある。
この規定を適用すると、EEZは日本と中国の間で大きく重なることになる。そこで日本政府は、中国大陸と沖縄諸島との中間に引いた中間線をもって日中の境界線と決めた。ところが中国政府はこれを認めず、国連海洋法条約以前の1970年代頃にあった国際法の解釈による大陸棚の先端説だった。つまり、中国本土からの大陸棚は、沖縄諸島間近の沖縄トラフまで続いており、そこが中国側のEEZの境界だという主張だ。さらに、尖閣諸島がもし中国領土ということになると、EEZはさらに拡大して沖縄諸島のすぐそばまで迫ることになる。
残念なことに国連海洋法条約では、EEZの線引きで解釈が異なる場合は、関係国の合意到達の努力に委ねており、解決ができない場合は、国際司法裁判所や国際海洋法裁判所に付託するしかない。だが、中国はそうした国際機関での調停をいっさい拒否している。強引に中国の主張を日本に認めさせる姿勢を崩していない。
実際に、1990年代後半から中国は日中境界線付近に平湖、断橋、天外天、春暁などのガス田開発を進め、掘削施設を建設してきた。しかし、春暁と断橋は、海底で中間線をまたがって日本側とつながっており、中国側が採掘すれば、日本側の資源まで吸い取られてしまう恐れがある。2008年、このことに抗議しした日本側に対して、中国はガス田の日中共同開発を提案し、合意したという経過がある。
こうした海洋資源をめぐるEEZの境界問題があるだけに、今回の中国漁船拿捕問題は日中ともそう簡単に妥協することはできないのが現実だ。しかし、中国にとって、資源問題は今後国益を左右する大問題であることはわかるが、なぜそうまでして深刻な外交問題に発展させたのか。これについては、すでに、中国は尖閣諸島の実効支配に乗り出す作戦を立てており、今回、中国漁船にあえて日本の巡視船に体当たりさせたのは、日本がどう反応するかを試すための実験だったという、見方がある。
というのも、領海を侵犯して密猟をする中国漁船に対して断固とした措置をとっているのは日本だけではないからだ。東海大学の山田吉彦教授によると、韓国当局は、さらに毎年約5000隻の中国船を拿捕し、身柄を拘束した中国漁民は年間5000人以上にのぼるという。韓国に拿捕された漁船は、約210万〜350万円の罰金を支払わなければならず、支払わない場合は乗組員が韓国内に収監されるという(「週刊ポスト」10月1日号)。実際、韓国と中国の間には済州島南西の東シナ海にある小さな岩礁をめぐって領土紛争があるが、それでも中韓の外交関係が、現在の日中関係のように国交断絶寸前まで発展したという話にはならない。
民主党政権は、中国を含む東アジア共同体構想を指向する姿勢を見せてきたが、今回の中国の強硬な報復措置を見る限り、そうした構想を中国が理解しているとはとてもいいがたい
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK95掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。