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前田恒彦逮捕の政治 - 全体の指揮を執る仙谷由人と三つの目的(世に倦む日々)
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前田恒彦逮捕の政治_1
郵便不正事件に関わるFDデータ改竄問題について、最高検が素早く前田恒彦を逮捕したのは、朝日新聞のスクープによるお手柄だという評価に世間ではなっている。私はそうは思わない。全てがプログラムされていて、イベントが駆動されている。政治的な動機と目的を持っている。朝日の報道と検察による前田逮捕は一体で計画的な動きであり、検察が前田逮捕と控訴断念に出るのに合わせて朝日にリークしたものだ。スクープではなくリーク。そして重要な点だが、このリークは検察独自のものではなく、仙谷由人がリーク先を選んで流したものに違いない。報道を含めた全体を仕切っているのは仙谷由人で、「朝日のスクープ」という図式にして演出し、国民(衆愚)を巧みに納得させている。仙谷由人が朝日に9/21に書かせたのには理由がある。
一つは中国漁船の問題から国民の関心を離すためで、もう一つは小沢一郎の強制起訴に向けての準備の狙いである。加えて、三つ目に対自民党対策の牽制の意味がある。今週、この問題でマスコミ報道を埋め、国民の関心を漬け込まなければ、特に保守マスコミの中国叩きと政府叩きは沸騰して手がつけられない状態にエスカレートしていた。日本のマスコミの対中報道は、即中国のマスコミが取り上げて対抗報道する。そのリアクションで反日感情がさらに憤激し、中国民衆は政府に対日強硬措置を要求する。この一瞬、水を差すように前田恒彦の一件を流すことで、日本国民の視線は検察に向かい、検察問題がマスコミ報道の主役に座る。
前田恒彦逮捕の政治_2
厚労省に復帰した村木厚子の一挙一動にカメラが群がり、それをテレビ報道で毎日伝える。拘置所での前田恒彦の様子と事情聴取、大阪地検特捜部の関係者の処分、検察幹部の進退等々、続報が夜のニュースになり、朝のワイドショーのネタになる。実際のところ、米国の中立の標榜もあって、外交戦では日本は中国側の攻勢に押しまくられていて、落としどころを見つけるためには中国と妥協することを余儀なくさせられている。日本政府は、尖閣諸島には領土問題は存在せぬという原則的立場だったが、この立場は中国側が譲歩しない限り貫徹することが不可能な情勢になった。明らかに日中問題をカムフラージュするための、情報工作としての前田恒彦の逮捕劇だ。
二点目の小沢一郎の強制起訴への前準備という意味だが、タイミング的に、今は検察審査会による二度目の議決発表の1か月前の時点になる。郵便不正事件の一審敗訴と裁判所による捜査杜撰の批判を受け、検察はこの問題に始末をつけなくてはならなかった。村木厚子が発見して弁護側が指摘していたところの、検察捜査報告書における文書記録の日付の疑惑についても、すでに内部では改竄の事実が公然化していて、どこかで決着をつける必要があった。前田恒彦は言わば組織のスケープゴートにされ、検察全体による政治謀略捜査の責任を押しつけられる身になったのである。この問題を早く処理しなければ、小沢一郎の強制起訴に踏み切れない。検察の自浄演技。
前田恒彦逮捕の政治_3
前田恒彦は小沢一郎の捜査にも関係していて、陸山会事件で逮捕された大久保隆規の取調べを担当して調書を取っている。大久保陸規はこの際の供述を起訴後に否定していて、取調供述の信用性が裁判では一つの争点になるとされていた。そして、裁判での検察の不利が予想されていた。小沢一郎の強制起訴は、政治生命の抹殺が目的であり、裁判での有罪判決が目標ではない。起訴に持ち込むことが仙谷由人と検察の目的だ。あくまで政治。敗訴は覚悟の上である。検察の体制一新を(疑似的に)図り、検察への国民の信頼を(表面上でも)回復しておくことは、小沢一郎を抹殺する政治戦の敢行において重要で、また、体制一新後の検察は、言わば小沢事件の公判に責任を持たない気軽な身にもなる。
検察と菅政権は、政治とカネの疑惑の心証をマスコミに焚きつけさせ、小沢一郎を刑事被告人に追い込めばよいのであり、世論を煽って離党勧告を突きつけ、小沢派を解体すればよいのである。法廷の証拠調べで検察側がどれほど不利な展開になっても、マスコミが小沢一郎を有罪にしろと裁判所に圧力をかける。世論調査で裁判に介入する。人民裁判。検察は、ロッキード裁判のときのような「隠し球」を捏造して持ち出し、世論の風を検察側に吹かせ、裁判を長引かせる戦術に出るだろう。小沢一郎の強制起訴に関しては、法相がキーだと私は考えていたが、それは間違いで、弁護士の仙谷由人が全権を握り、検察(=官僚機構)の指揮を執っている。
前田恒彦逮捕の政治_4
第三点目の自民党に対する国会対策上の牽制という狙いだが、そもそも郵便不正事件とは何だったのかという問題である。テレビ報道では、検察が予めストーリーを描いて事件の構図を築き、その検察の構図に当て嵌めるべく、当時課長の村木厚子による偽文書作成指示という架空の事実を捏造し、証拠固めを進めたとされている。現時点で村木厚子の無実潔白は疑いようもないが、それでは、なぜ検察は村木厚子を有印公文書偽造の犯人に仕立て上げたのか。村木厚子に濡れ衣を着せた動機と目的があるはずで、そのためにFDに日付改竄の細工を施したのであり、その全体像は現在は謎である。検察は日付を改竄したFDを証拠として法廷に提出せず、弁護団側に返却している。
その意味は、弁護団がFDの日付改竄に気づかぬまま、すなわち更新日付が6/1だと素朴に思って、村木厚子の無罪を証明する証拠として法廷に逆提出するのを待ち、法廷の場で、タイムスタンプが6/8となっている「事実」を「暴露」するためだったと推測されている。ITに無知な前田恒彦の浅薄な罠だったという説明になっている。そして、偽の証明書を発行した部下で元係長の上村勉は、文書作成は自分が単独で行ったと証言している。この告白は信用できるだろうか。係長クラスが独断で省の証明書を作成発行するはずがない。誰かが上村勉に指示を出している。課長の村木厚子ではない他の誰かだ。ネットに出回っている情報では、それは厚労省の障害者福祉部の元部長の塩田幸雄だと指弾している。
前田恒彦逮捕の政治_5
塩田幸雄は、その後、局長級である社会保障担当の政策統括官となり、独立行政法人「福祉医療機構」の理事に天下り、現在は香川県小豆島町の町長に収まっている。この事件の捜査では、取調段階で村木厚子に責任を押しつける供述をしながら、法廷では一転否認し、村木厚子の潔白を証言する挙動に及んでいた。いずれにせよ、「凜の会」の倉沢邦夫が障害者団体への郵便料金の割引制度を不正利用して利益を得ようとしたこと、そのために証明書を必要として厚労省に働きかけたことは間違いなく、実際に偽証明書は係長の上村勉の手によって作成された。
検察(特捜)の構図では、最初に倉沢邦夫が民主党の石井一にそれを依頼し、石井一が障害者福祉部長だった塩田幸男に電話で圧力をかけ、その結果、部内で「政治案件」となり、福祉部企画課長の村木厚子が部下の下村勉に指示して偽証明書を作成させたとしている。ところが、実際には、検察が出張した日時に倉沢邦夫と石井一は会っておらず、石井一は千葉のゴルフ場でゴルフをに興じていて、倉沢邦夫による石井一への依頼の件は前提が崩され、全く構図が成立しなくなっていた。そこで、石井一ではなく別の誰かが倉沢邦夫の依頼を受け、塩田幸男を通じて偽証明書を発行させたのではないかという推測が出ていて、具体的には元自民党厚労副大臣の木村義男の名前が浮上している。木村義男と塩田幸雄は同じ香川県出身の昵懇の関係で、二人の癒着は他の案件や事業でも噂が少なくない背景があった。
前田恒彦逮捕の政治_6
塩田幸雄と木村義男を郵便不正事件の真犯人とする説は、菅直人の元秘書の松田光世によって昨年からツイッターで流布され、ネットの中では、ある種の「常識」のような景観すら漂わせるに至っている。この説が事実であるとすると、同じ政官業の事件であっても性格は全く異なる意味を帯びる。民主党の議員ではなく、自民党の議員が不正な働きかけを行っていたことになるからだ。松田光世のツイートは、さらに大物の名前を出していて、裏に飯島勲が暗躍していて、事件を民主党の筋にしたのは、飯島勲と検察の陰謀だったという構図で全体が描き出されている。その真偽は不明だが、私が気になるのは、この郵便不正事件が発生した時期であり、そして特捜が絡んでいる点である。
この郵便不正事件が大きく報道に浮上したのは、昨年の6月中旬のことだった。言うまでもなく衆院選の直前であり、西松事件の騒動の余韻が冷めやらぬ時期である。このとき、官房副長官はあの閏間巌で、おそらく間違いなく、この事件についても裏で糸を引く立場にあっただろう。つまり、西松事件に次ぐ謀略第2弾で、目的は民主党を醜聞で貶め、世間の支持が民主党から離反するよう工作することが目的だったのではないか。政権交代を阻止するための謀略だったのだ。検察は、石井一の名前を出し、そこに捜査の手を伸ばすことが目的で、塩田幸雄の関与を隠すために、官僚で生贄にする者を必要とし、村木厚子を標的にして濡れ衣を着せたのだろう。この事件は奥が深い。前田恒彦の証拠改竄などは全体の一部に過ぎない。
特捜は、政治警察として、自民党政権を防衛するために動いたのであり、「巨悪を眠らせるな」などという話は全くの虚構だ。仙谷由人は、この問題をねじれ国会対策の道具にして、自民党に揺さぶりをかけている。民主党との消費税増税協議に賛同しろと圧力をかける気で、応じないなら、捜査と暴露の手を木村義男に伸ばすぞと脅しているのだ。
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