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http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20100922ddm004070164000c.html
◇剛腕に決別、政策語る政治家に
民主党代表選の喧騒(けんそう)からはや1週間以上が過ぎた。現職の菅直人首相と政界きっての実力者小沢一郎元幹事長の死闘。1978年の自民党総裁予備選で現職首相が敗北した故事再来もと思われたが、「政治とカネ」を背負った小沢氏の「不敗神話」が崩壊する形で代表選は幕を閉じた。
私は6月、菅内閣のスタートにあたって、当欄で「3カ月後の民主党代表選で菅首相を代えることは政権のたらい回しにつながる」と書き、同時に小沢氏の政界引退も主張した。結果的には菅首相が羽田孜首相のような短命政権で終わることにはならず、その時点での筆者の願いはかなえられた。しかし、参院選での民主党大敗をはさんだ3カ月の政局をつぶさに見ていると、一方的に小沢氏を糾弾するだけでは、政治の本質を見誤るのではないかと考えるようになった。
◇街頭演説の姿に変化を感じた
過去20年間、「永田町奥の院」の人というイメージが強かった小沢氏が、炎天下で声をからし、髪を乱して支持を訴える姿がとても新鮮に映ったからだ。参院選で安易に消費税率上げを持ち出して惨敗、政権維持のために右往左往してきた菅氏への失望感と表裏一体である。代表選当日の演説で「私にとっては最後の機会になるかもしれない。日本を官僚の国から国民の国へと立て直し、次の世代にたいまつを引き継ぎたい。政治生命はおろか、自らの一命をかける」と結んだ小沢氏に変化の兆しをかぎ取ったのは私だけではあるまい。
68歳、衆院当選14回、勤続41年の小沢氏は、これまで説明責任を果たさない「裏権力」に安住してきた。閣僚は中曽根政権時代の自治相半年のみ、外相、蔵相(現財務相)などは未経験である。田中角栄元首相の元で「門前の小僧習わぬ経を読む」的に権力操縦術を学んだため、政権を作ってもすぐに壊してしまう。「作って持たせる」というタイプではなかった。
私は代表選が政治家・小沢一郎にとって古いイメージを払しょくする最後のチャンスになりうるのではないかとひそかに思っている。小沢氏は議員票では200票と菅首相に6票差まで迫ったが、党員・サポーター票では菅氏に5倍近い圧倒的大差で敗れた。これによって、党首・代表選で不敗だった小沢氏の神話は消えたのだ。「党員・サポーター票は総取り方式で、実質は菅13万対小沢9万であり、大して負けていない」と開き直る声が小沢陣営から漏れてきているのも事実だが−−。
しかし、有権者に近い党員・サポーターに拒否されたことを痛感しているのは、他ならぬ小沢氏ではないか。もし、引き続き政治とカネの問題を封印し、「二重権力」志向の小沢氏に戻ろうと考えているのなら、政界を即刻引退した方がいい。民主党員・サポーターは、数の論理を引っ提げ、説明責任を回避し、ばらまき的な手法を選挙戦術に取り入れる小沢氏には「ノー」という判断を下したと言えるのだから。
かつて小沢氏の盟友であり、旧竹下派分裂時の権力闘争の相手だった故梶山静六元官房長官は98年、72歳で自民党総裁選に挑み、小渕恵三氏に225票対102票で敗れた。総裁選後は「政局の人から政策の人となる」と宣言し、大胆な不良債権処理策を発表、世の中の評価を勝ち得た。
◇官僚政治打破、訴え続けて
私が、小沢氏に梶山氏のような変化を期待するようになったのは、人一倍官僚支配を厳しく批判してきた菅氏が首相就任後、その看板を下ろしていることに強いいら立ちを覚えるからだ。
一方、小沢氏は菅氏のお株を奪うがごとく「官僚政治を打破し、政策決定を政治家の手に取り戻す」と宣言した。これから小沢氏は選挙の時だけでなく、日常街頭に出て、「政治主導」という自らの政治理念を繰り返し訴え、有権者とひざを交えて対話するリーダーに生まれ変わってほしい。70歳近い体には応えるかもしれないが、それが「雲隠れ権力者」だった自分との決別の道であると考える。
また、小沢氏は40代から60代前半までの「剛腕」「独断専行」から「枯淡」への転換期に差し掛かっている。私が思い浮かべる歴史上の政治家は犬養毅である。明治中期、43歳で文相となった犬養は、25年間野党で辛酸をなめ、68歳で与党の閣僚に返り咲き、76歳で首相になった。7政党を渡り歩き、合従連衡を繰り返したが、「藩閥政治打破、憲政擁護」を一貫して唱え続けた。犬養の最期(5・15事件)まで重なってはならないが、今後の小沢氏が目指すモデルケースにはなると思う。
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