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2010年9月20日 23:14
民主党の代表選挙を振り返って(相対的比較の恐ろしさ)
(1)民主党の代表選挙については、すでに小沢一郎氏が思いのほか「善戦」したと書いたが、再度、この代表選を振り返っておこう。
(2)くどいようだが、私は、勝った菅直人氏と負けた小沢一郎氏の間に大きな政策の違いはないと見ている。
しかし、党員・サポーターの間だけではなく、それ以外の人たちの間にも、候補者二人には大きな違いがあり、中には、小沢氏が社会民主主義者であると信じているものさえあったようだ。
これは、おそらく、民主党への過度の期待と、菅氏への失望により、生まれた幻想だと思われる。
言い換えると、一般庶民に「痛み」を押し付けてきた自公政権との相対的比較、財界・官僚に擦り寄った菅氏との相対比較により、小沢氏が、旧自民党的な利益誘導の政策を部分的に公約したがゆえに、小沢氏の新自民党的な新自由主義政策を軽視あるいは無視した結果なのだろう。
もっとも、小沢氏が勝てなかった要因には、マスコミが「反小沢」「菅贔屓」であったことなど幾つかあると思うが、小沢氏の新自由主義政策を直視した党員・サポーターがいたことも、敗因の一つであったのではなかろうか。
だから、私は、小沢氏は「善戦」したと思ってもいるのである。
(3)例を挙げておこう。
まずは、農業政策である。
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時事通信社(2010/09/10-21:06)
首相、小沢氏の発言要旨=公開討論会
10日の公開討論会での菅直人首相と小沢一郎前幹事長の発言要旨は次の通り。
(略)
【成長戦略】
小沢氏 自由貿易協定(FTA)を積極的に結んでいくべきだ。第1次産業が成り立たなくなるというのが最大の反対の理由だったが、(農家への)戸別所得補償制度を導入したので、恐れる必要はない。
(略)
---------------------------ここまで引用----------------------------
小沢氏を支持した者たちは、農家への戸別所得補償制度導入に着目して、社会民主主義的と高く評価したのだろうが、自由貿易協定(FTA)の積極論は、明らかにアメリカ言いなりの新自由主義である。
(4)次は補助金である。
小沢氏は、補助金を一括交付金にすると主張した。
そうすれば、地方が自由に使えるということのようだ。
小沢氏を支持する者たちは、地方のためになるといって高く評価したのだろう。
しかし、小沢氏は、その金額を「現在の6、7割に減らす」というのである。
当然、都市との格差に困窮している地方は、困るだろう。
これでは、小泉「構造改革」と大きく変わらない。
これで地方の党員・サポーターが積極的に支持するとは思えない。
---------------------------ここから引用----------------------------
毎日新聞 2010年9月7日 東京朝刊
民主党代表選:小沢氏主張「一括交付金」 地方、補助金減を懸念
<分析>
民主党代表選で、マニフェスト(政権公約)の実現を訴える小沢一郎前幹事長が、財源捻出(ねんしゅつ)をめぐり「補助金を一括交付金化すれば、現在の6、7割に減らせる」と打ち出したことが波紋を広げている。もともと一括交付金化は民主党が政権公約で掲げた方針だが、補助金を減額することについては地方自治体側が強く反発。菅直人首相も補助金で財源を捻出する手法には懐疑的で、代表選の主要な論戦テーマに浮上している。【坂井隆之、久田宏】
◇「財源捻出の手段」に反発 7割、削減困難な社会保障
「私の近しい首長に聞くと、本当に自由に使えるなら今の補助金総額の5割で十分やっていけるという話がある。補助金を全部自主財源として地方に交付するだけでも、かなり多くの財源が見込める」。小沢氏は菅首相との共同会見などで、再三にわたってこう主張し、独自の財源論を展開している。
小沢氏は、補助金を支出するにあたって国が定める基準が地方の実情に合わず、過剰な設備や社会保障サービスが行われていると主張、一括交付金で地方の自主性に任せれば国の支出を大幅に減らせると説く。また、「中央がやれば大手企業が全部受注して、地方にはお金が回らない。(地方が自主的に行えば)表面上は金額が減るが、地方に回るお金は増える」とも主張。地方分権推進と、マニフェストの財源確保、地域振興が同時に実現するという算段だ。
これに対して、菅首相は、「補助金をやめて交付金にしても、額そのものを2〜3割削るのはなかなか難しい」と小沢氏の主張に反論する。補助金総額21兆円のうち、約7割を削減が困難な社会保障費が占めるためで、「一括交付金化しても地方の自由裁量の拡大につながらない」との見方は、地方にも根強い。
さらに、小沢氏が主張する交付金化による財源確保は、地方の財源縮小にもつながりかねないことから、地方自治体側からは懸念や批判の声が相次いでいる。麻生渡全国知事会長(福岡県知事)は6日、東京都内で記者会見し、「そもそも(補助金を)地方の創意工夫に基づいたものにするという話だった。いつのまにか財源捻出論になっている」と、小沢氏の補助金削減論をけん制した。
知事会や市町村会は従来から、地方の自主財源を増やすよう求めている。警戒しているのは小泉純一郎内閣の下で行われた「三位一体の改革」の再現だ。「地方自治体の財政基盤と自立性を強化する」とうたったものの、04〜06年度で補助金削減額が4・7兆円にのぼったのに対し、税源移譲は3兆円にとどまった。民主党の一括交付金化の議論に対しても、当初から「国の一方的な財源捻出の手段とすることがあってはならない」として、総額削減をけん制してきた。
(略)。
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■ことば
◇一括交付金
国が地方自治体に使途を特定して支出する補助金や負担金(ひも付き補助金)を、基本的に地方が自由に使えるお金として一括交付すること。民主党は09年衆院選のマニフェスト(政権公約)で、ひも付き補助金の一括交付金化を明記。地方の実情に応じて効率的に財源が活用できるほか、補助金申請にかかわる経費や人件費が削減できるとしている。
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(5)次は税制である。
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(2010年9月4日10時21分 読売新聞)
小沢氏「法人税引き下げなら従業員に還元を」
民主党の小沢一郎前幹事長は3日のテレビ朝日の番組で、政府が税率引き下げを検討している法人税について、「(企業の)社会保険の負担を含めると、(国際的に見て税率は)高くない」との見方を示した。
そのうえで、「大企業がもうかった分を社員や下請けに還元するという意味での法人税を下げるという論点は悪くない」と述べた。法人税率を下げる場合、大企業は従業員の給与などをより手厚くすべきだとの認識を示したものだ。
(略)
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ロイター2010年 09月 2日 16:28
消費税を含む税制全般の議論を行うことは構わない=小沢氏
[東京 2日 ロイター] 民主党の小沢一郎前幹事長は2日午後、代表選の公開討論会で、「消費税を含む税制全般の議論を行うことは構わない」と述べ、抜本税制改革の議論を封印するわけではないとの認識を示した。
消費税について小沢氏は「消費税を含め、所得税・住民税の大幅な減税と簡素化も頭にあるが、税制全般の議論をすることは構わない」とする一方で、「鳩山前首相も言ったように、この4年間は上げない、まず行政の無駄を省き、そこから財源をねん出することを国民に訴えたわけだから、私はその作業を積極的に進めるべきだと思う」と語った。
菅直人首相は社会保障制度と財源の一体的な議論を主張し、消費税を含めた税制抜本改革の議論が必要との認識を示している。これに対して小沢氏は1日の共同記者会見で、09衆院選マニフェストの着実な実行のための財源について「消費税の議論の前に、徹底的に行政の無駄を省く。そのことによって、われわれが主張する政策の財源に充てることを、私たちは国民に約束してきたはずだ」と述べ、抜本税制改革の議論を封印する考えを示唆していた。
---------------------------ここまで引用----------------------------
小沢氏を支持する立場の者たちは、消費税論議を封印するところを評価したのだろう。
だが、社会民主主義的な福祉国家政策を行おうとすれば、税収を確保しなければならない。そうであれば、内部留保を溜め込んでいる大企業の法人税率を引き上げ、財界人等の富裕層の所得税・住民税・相続税を大幅に引き上げなければならない。
それなのに、小沢氏は、所得税・住民税の大幅な減税などを公約したのである。
(6)この点でいえば、小沢氏の秘書らが、新自由主義者の河村たかし名古屋市長の市議会解散リコール運動を支援していることが注目される。
---------------------------ここから引用----------------------------
毎日新聞2010年8月29日 10時31分
名古屋市議会:リコール署名活動、小沢系議員秘書が支援
名古屋市の河村たかし市長が主導する市議会の解散請求(リコール)の署名活動を、民主党の小沢一郎前幹事長に近い国会議員数人の秘書が手伝っていることが、28日わかった。市長の支援団体幹部らは同党代表選での「小沢氏勝利」を待望。河村市長は小沢氏に近いとされ、「小沢代表が誕生すれば署名活動などへの追い風になる」と期待する。一方、河村市長への推薦取り消しを党本部に求めている党愛知県連は「市長はすでに民主党とは関係ない」と冷ややかだ。【高橋恵子、丸山進、加藤潔】
(略)
昨年4月の市長選で河村市長が初当選した当時の党代表は小沢氏。党愛知県連は当初、他の人物を擁立する方針だったが、事実上の「小沢裁定」で河村氏が同党推薦で立候補した。今年7月の参院選では、河村市長は小沢系候補の応援で全国を行脚した。
地域政党「減税日本」を設立した河村市長は、これまで「小沢さんは新進党代表の時、消費税率引き上げに反対した。減税に理解がある。『減税民主党』にしてほしい」と語るなど、小沢氏の政治姿勢を評価している。
関係者によると、27日に始まった議会リコール署名で、小沢氏に近い民主党国会議員数人の秘書が名古屋入りし、市長の支援団体事務所で手伝いをしているという。議員が自主的に送り込んだとみられるが、河村市長と小沢氏の関係の深さを改めて示している。
(略)。
---------------------------ここまで引用----------------------------
(7)小沢氏は、旧自民党的な利益誘導政治を党員・サポーターやそれ以外の人々から社会民主主義者として勘違いされ支持された一方、新自民党的な新自由主義論者であることを見抜かれ党員・サポーターの支持を拡大できなかった。
だからこそ、当初は、小沢グループ・鳩山グループなどの国会議員票のゆえに小沢氏有利だったにもかかわらず、終盤では、そのグループの国会議員であっても、地元の小沢票が伸びないので、小沢氏に投票できなかったのはなかろうか。
(8)小沢氏と菅氏との間には細かい点で違いがあるのだろう。
私はそれを否定するつもりはない。
菅氏との相対比較を通じて小沢氏支持になった者も少なくなかったのだろう。
その気持ちそれ自体についても全面的に批判するつもりもない。
しかし、両者の違いを過大評価して、小沢氏を社会民主主義者だと評価する意見を知り、私は驚くばかりであった。
過大評価を超えて幻想としか言いようがない。
財界が、新自由主義政策を進めるために、かつて旧自民党政権の政治を社会主義と評したときと同じような驚きである。
(小沢氏が官僚政治を変えてくれ、日本をアメリカへの従属から脱却させてくれるとの期待・評価もあったようだ。
それについては、また別の機会に取り上げることにしよう。)
(9)菅民主党には注文をつけたが、新閣僚の顔ぶれを見ると、私の注文はほとんど効果がなかったようだ。
(菅氏が私のブログを見ているとは思っていないが・・・)
それなのに、菅内閣の支持率は上昇しているようだ。
これについては、また後日紹介するが、これも、世論調査で人気のない小沢氏との相対的な比較による結果だろう。
相対的な比較とは恐ろしいものである!
「菅政権は小泉政権と基本的には大きく異ならない」と多くの国民が気づく日が遠くないことを祈りたい。
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