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http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100921/mca1009211020006-n1.htm
■消費税上げの議論加速を
≪衆院選公約は破綻≫
民主党代表選は菅直人首相の現実路線への修正を選んだ。消費税引き上げの必要性や昨年夏の衆院選マニフェスト(政権公約)の見直しなどの主張が通ったことになる。だが、首相の認識はまだまだ甘く、本気度にも疑問が残っている。
今回の代表選は、まるで別の政党同士が戦っているようだった。小沢一郎氏はマニフェスト至上主義を掲げて菅氏の現実路線を真っ向から批判、子ども手当や農家の戸別所得補償などの完全実施と消費税凍結を主張してやまなかった。
16・8兆円の財源問題を指摘されると、これも政権公約である一般会計と特別会計の予算組み替えと、ひも付き補助金の一括交付金化による無駄の削減を挙げた。さらには、政権公約にもなかった無利子国債による国債増発での財政出動にまで言及した。
しかし、衆院マニフェストはすでに破綻(はたん)しているのだ。昨年の事業仕分けでも特別会計から捻出(ねんしゅつ)できた恒久財源は5千億円程度で、公約の部分実施でさえ一度限りのいわゆる特別会計埋蔵金と国債増発に頼らざるを得なかった。そもそも、一般会計から見直し可能な特別会計に流れる金額は3・6兆円しかなく、まとまった財源捻出などできないのである。
補助金の一括交付金化にしても、大半は削減が難しい社会保障関係であり、仮に財源を捻出できたとしても、小沢氏はそれを歳出削減につなげるとは明言しなかった。無利子国債による景気対策に至っては唐突というしかない。
これは、いくら無利子であっても相続税の減免が伴う仕組みである。通常の国債より財政的メリットがあるとは思えないし、その恩恵を受けるのもごく一握りの大金持ちにすぎない。国債の消化不能という緊急事態ならまだしも、なぜ今なのか理解に苦しむ。
≪支持は現実路線に≫
これだけの反論材料がありながら、菅氏は「マニフェスト実現は簡単にはいかない」と述べるにとどまり、小沢氏の主張を真っ向から論破する姿勢をみせなかった。それは肝心の消費税引き上げでも同じで、「消費税を含む税制の抜本改革と社会保障財源を一体的に議論する必要がある」と繰り返すのみだった。
生煮えながらも税率まで踏み込んだ参院選での発言に比べると、大幅な後退である。参院選敗北の原因を菅氏の消費税発言に求める党内批判に配慮したからだろう。今後も政権運営の円滑化を最優先にするようだと、衆院選マニフェストに先祖返りしないか心配でならない。
とにもかくにも、菅氏は勝利した。マニフェスト原理主義ではない現実路線が支持を得たのである。ならば菅氏はまず、路線修正した理由を再確認することだ。それは財源なき衆院選マニフェストがあまりに非現実的で、かつ財政健全化と社会保障の安定財源に消費税引き上げが不可欠だということだろう。
菅改造内閣のスタート台はここからでなければならない。そして、国と地方の債務残高が国内総生産(GDP)の1・8倍と先進主要国に比べ突出して悪化し、健全化の足取りも極めて鈍い現実を改めて深く認識することだ。
指摘するまでもなく、「債務残高対GDPを21年度から引き下げる」などの日本の財政健全化目標は、主要国間で例外扱いされた落ちこぼれである。しかも、はるか先を行く主要国は日本よりずっと厳しい健全化策に取り組んでいる。
≪目立つ日本の甘さ≫
保守党政権に交代した英国は、付加価値税の17・5%から20%への引き上げや年金・児童手当などの社会保障給付の見直し、地方支援の削減などに入った。ドイツは失業保険給付の抑制、フランスも年金支給開始年齢の引き上げなど痛みを伴う政策を次々と打ち出している。
周回遅れの日本がバラマキ政策の一部見直しにとどまり、消費税も行方が定まらないのでは話にならない。こんな危機感のなさでは、落ちこぼれの健全化目標さえ達成できないだろう。
菅政権が視点を党ではなく国に据えるなら、バラマキ公約の撤回など当然ではないか。そうすれば、自民党も消費税引き上げと社会保障制度のあり方について協議に応じると表明している。“ねじれ国会”を理由に最重要課題の解決が放置されるようだと、国民は政治そのものを見限る。
コップの中の争いにかまけている暇など片時もないのである。
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