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2010/9/20
「ネガティブキャンペーンにより失った独立の機会 イギリスの属国であったアイルランドの歴史」小野 昌弘氏のツイートより。
日本は今こそ、他国の歴史に学ぶべき時期であると思います。
メキシコ、インドもしかりですが、今日はアイルランドについて少しつぶやきます。
私の好きな本のひとつに、Dubliners(「ダブリンのひとびと」, ジェームズ・ジョイス)があります。
この本は、20世紀初頭のアイルランド首都に暮らす人々の日常を繊細に描いています。
それを通して、アイルランドの歴史、属国としての矛盾した感情、人間の本質まで表現しています。
長くイギリスの属国であったアイルランドは、類い稀なる政治家であるパーネル(Charles S Parnel)によって、1880年代後半に独立のチャンスを手にしかけます。
しかし、パーネルは、私生活の些細なことをスキャンダルとして大々的に取り上げられ、それを機に失脚してしまいます。
「ダブリンのひとびと」は、多面的な小説です。
政治という切り口でみると、パーネル失脚の後、祖国独立の希望を失った愛国者や、イギリスによる統治の肩をもつことで生計を立てているひとたちの、日常にある矛盾した想い、祖国に対する複雑で屈折した感情 そして、政治的に前向きな状況を望めないあきらめが描かれます。
パーネルを知る年長者たちは、パーネルの時代を懐かしみつつ、現実に改めて落胆しています。
「ダブリンのひとびと」は、日本の状況を考えるとき参考になる小説です。
アイルランドはパーネルの失脚から40年の年月の後、武装蜂起による独立戦争を経て、北アイルランドを除いた部分がアイルランド共和国として独立しました。
しかし、パーネルが失脚しなかったとしたら、ひょっとしたら、より早い段階でのより平和な独立、あるいはより完全な独立がありえたのかもしれません。
パーネルの失脚とその後の状況は日本の状況に重なるところがあります。
しかしながら、鳩山や小沢が、これだけのネガティブキャンペーンによっても、まだパーネルのような完全な失脚に至っていないのは、やはりTwitterなどで情報統制に風穴があいているおかげだと思います。
そして、もし、現状を乗り越えて日本の状況に進歩があったなら、それは世界史的レベルでの進歩だと思います。
> 小野先生こんにちは。
> アイルランドの譬えは参考になりました。
> メディアをも支配下に置く官僚機構とこれをコントロールする米国。
> 政治主導による官僚機構の掌握が、真の政権交代と独立への乗り越えなければならない分厚い壁なんですね。
その通りです。
更にもっと身近な問題と捉えてみては。
現状で利益を得ている一部のひとがいます。
また、現状に不満だがあきらめているひとがいます。
どちらも素直な未来への希望がくじけている。
しかし、国民の多数が真に変化を求めたとき、それを止めるのは困難なはずです。
パーネル(Parnell、lは2つでしたね)の「スキャンダル」とは手続き上の問題でした。
長年事実婚として伴侶であった彼の妻は、以前別の代議士の妻でした。
その代議士とは財産の問題で離婚が成立していなかったため、正式な結婚ができませんでしたが、パーネルとの間には子供も複数いました。
パーネルの事実婚は有名なことであったにも関わらず、アイルランド改革の機運が高まったときに、突如問題として挙げられ、党大会での弁明も功を奏さず、党は分裂、パーネルは失脚してしまいます。
この件については、アイルランドがカトリック国であったため、パーネルを直接は知らない人に対しては効果的な、絶好のスキャンダルであったと見ることもできます。
この「スキャンダル」は次の2つの特徴があります。
1)実際には問題がなくとも、手続きが複雑であり理解しにくい、
2)事情を直接知らない人に聞こえが悪く宣伝しやすい。
まさに最近日本でよくみる「スキャンダル」ですね。
投稿者: 早雲
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