http://www.asyura2.com/10/senkyo95/msg/301.html
Tweet |
菅直人首相は9月14日の民主党代表選で、小沢一郎前幹事長を破って再選を決めた。自民党が与党だった時代も含め、影のキングメーカーと長年呼ばれて来た小沢氏が、みずから最高権力に手を伸ばしたことに海外メディアも沸き立った。結局は敗れたものの、小沢氏の動向はこれまで以上に注目されている。
世界のメディアは2週間の代表選をどのように報じ、菅首相に何を期待しているのか。今回の対談企画では英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)、エコノミスト誌の翻訳記事を掲載しているウェブサイト、JBpressの川嶋諭編集長とWSJ日本版編集長の小野由美子が対談し、各紙の論調を比べた。
日米の選挙制度の違いから始め、丁寧に報道
川嶋 今回の民主党代表選挙について、英国のエコノミスト誌とフィナンシャル・タイムズ紙(FT)はともにかなり注目度が高く、熱心に報道していましたが、ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)はいかがでしたか。
小野 今回の代表戦に限らず、ここ1年の日本の政治の動きは、かなり手厚く報じてきました。今回の代表戦も多くの記事を載せました。
民主党は昨年秋に政権を取って以降、既に1回首相が代わっているのに、それから3カ月でまた選挙。アメリカの読者にとってはとても分かりにくいんですね。選挙制度も違いますし、非常にベーシックな説明から始めました。
アメリカに直接的な影響を及ぼすこともあります。9月後半に開かれる国連総会に出席するのは誰になるのか、バラク・オバマ大統領との2国間首脳会談を開催できるのかなど、具体的な疑問もありました。
また、普天間基地移設問題はどうなるのかなど、アメリカにとって気になることはいくつもありますから。
川嶋 昨年の衆院選前あたりから特に顕著ですが、日本の政治の動きについては、本当に海外メディアにも注目されていますね。ついに日本が自民党支配に見切りをつけるのか、という話に始まり、いざ政権が代わったら多難続きで。
エコノミストやFTの記事の行間からは、世界第2位だか3位だかの経済大国がこんな状況になり、日本がこのままおかしくなると世界経済にものすごい悪影響があるといった感覚がにじみ出ているような気がします。
今回の民主党代表戦について、WSJでは、具体的にどのような報道をしてきたんですか?
日本に必要なのはアニマルスピリッツ
小野 WSJの記事は大きく分けて3種類あって、1つがストレートニュースや分析記事。もう1つは、論説や外部の寄稿も含めたオピニオン記事。
それと今年6月にスタートした「Japan Real Time」という、少し視点の違うものや軽めのブログ記事があるんですが、それぞれ日本の政治をかなり密に取り上げてきました。
結果が出た直後には、すぐに「政権維持も不安定要素残る」という記事を載せました。オピニオンでは、「日米同盟強化に指導力発揮すべき」という寄稿がありました。
「民主党、代表選きっかけに政策の『アイデア』提示」というタイトルの社説では、日本に必要なのは「アニマルスピリッツ(経済活動における動物精神=ケインズの言葉)」だと、強い主張を掲げています。
一方、ブログでは細かいちょっとした気づきを拾っています。例えば、「菅首相に(当面は)賭ける民主党」という記事。
菅氏と小沢氏の最終演説ではテレプロンプターは使わず、紙をチラチラ見ていたとか、お辞儀の連続だったとか、手書きで投票用紙に書いてボックスに入れるとか、アメリカとはかなり違うところがあるので、外国人の目から見て新鮮なんですね。
鳩山(由紀夫)さんのツイッターのつぶやきも翻訳しているんですよ。ところで、FTとエコノミストもかなり日本の記事が多かったようですが、どのような論調でしたか?
エコノミスト誌などは「小沢一郎を選んではいけない」と明確に主張
川嶋 今回の民主党代表戦については、FTとエコノミストの基本的な論調は小沢一郎を選んではならないという論調でした。
いまの民主党政権がいいと書いているわけではないですけど、民主党は2人から選ぶとしたら菅(直人)の方にいくべきだと。
特にエコノミストはかねて、金権政治、密室政治といった言葉に代表される日本の古い政治を批判してきました。
代表選前の「日本の政治:自己破壊」というタイトルがついたエコノミスト誌の記事では、民主党は自党の将来は言うまでもなく、日本の民主主義のために、小沢氏を権力の座から追放すべきだと主張しています。
ルール無視で闇で動き、アカウンタビリティー(説明責任)がないと見ているのでしょうね。同じ英国のメディアだからというわけじゃないでしょうが、FTも似たような趣旨で、小沢氏を選ぶべきではないと論じていました。
小野 そこまではっきり言い切るんですね。小沢さんについてはWSJもかなり注目していて、代表戦の前に「日本のキングメーカー、ついに首相の座に動く」という記事で、プロフィールを1面で大きく取り上げました。
小沢さんはアメリカではチャレンジャーとして見られているんです。記事ではもちろん密室政治のことにも触れてはいますが、小沢氏が負けたとして も、影響力はそこでストップするわけではない。日本の政権に非常に影響を与える人だから、読者のみなさん知っておいてくださいという意図です。
1989年からの日本の首相16人をスライドショーに
川嶋 WSJは小沢氏を日本を変えるリーダーの1人であると判断しているわけですね。
小野 そうですね。負けたとしても日本の政権に非常に影響を与える人であると考えています。
川嶋 ところで、日本人として最も気になるのが、首相がころころ替わることです。海外からは相当異常に見えていると思います。
FTではイタリアと比較されてかなり皮肉な記事が出ていました。この20年間で、あのイタリアですら首相は7人しか替わっていないのに、日本は何とその2倍、14人もの首相が登場しては消えたんだぞ、って(誰でも一度は首相になれる国ニッポン)。
小野 あはは。それは面白いですね。WSJでは日本版にはないのですが、英語版では日本の首相のスライドショーというのをやっています。
1989年から日本の首相の写真にコメントをつけて紹介したんです。スライドが何枚あったと思いますか。16枚ですよ。改めて見させられると、え〜、こんなに、とびっくりさせられます。
川嶋 一言で英字メディアと言っても米国と英国では違うだろうし、ほかの言語も含めたら、もっと多様。そうした海外メディアの報道は、多面的な見方ができるので面白いですよね。
私たちJBpressがエコノミスト、FTの記事を翻訳して掲載しているのも、もっともっと日本の読者に読んでほしいと思ったからなんです。
小野 私たちWSJが昨年、日本版のウェブサイトを立ち上げたのも、そういう思いがあったからです。
今回は日本の政治の話でしたが、世界で起きている出来事、経済情勢についても、もっと日本人に知ってもらいたい。一方で、日本の情報ももっと世界の人に発信していきたい、という気持ちでやっています。
WSJ日本版
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK95掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。