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「ノイズ・トレーダー」菅直人氏の勝利
「アービトラージャー」小沢一郎氏の敗北
北野 一
JP モルガン証券株式会社
• 市場参加者には、二つのタイプがあると言われる。「ノイズ・トレーダー」と
「アービトラージャー」だ。「ノイズ・トレーダー」とは、「ノイズ(雑音)」のよう
な、必ずしも正しくない情報に基づいて市場に参加するものだが、ネガテ
ィブな意味はない。ミスプライスの修正に賭けるアービトラージャーよりも高
いパフォーマンスを上げることもよくあるように思われる。いわゆる「バブ
ル」と呼ばれる市場での勝者は、上手く売り抜けることができればと言う留
保条件つきだが、当然「ノイズ・トレーダー」である。
• さて、昨日行われた民主党代表選において、菅直人氏は民主党代表に再
選された。この菅首相の過去3 ヶ月の振る舞いをみていると、彼は典型的な
「ノイズ・トレーダー」であるように思われる。まず、首相就任直後の6 月22
日に閣議決定された「財政運営戦略」をみると、「ギリシャ等において財政不
安が著しく高まるなど、公的債務のリスクに対する内外の市場の目は厳しさ
を増している」、「ギリシャ等のように、国債市場における我が国の信認が失
われ、その結果、金利が大きく上昇し、財政が破綻状態に陥るようなことが
ないようにしなければならない」とギリシャ連発であった。
• ところが、その後、ギリシャ発の信用不安を背景に二番底懸念が強まると、
今回の代表選挙では、1 に雇用、2 に雇用、3 に雇用と、雇用創出を連呼し
た。アービトラージャーなら、彼はどう振る舞っていただろうか。「ギリシャは
対岸の火事か」と問われれば、「はいそうです。対岸の火事であり、日本とは
構造が違う」と一蹴したかもしれない。「二番底懸念」を問われれば、昨日の
ウォーレン・バフェット氏のように、「We will not have a double-dip
recession at all」と言ってのけたかもしれない。
• むろん、市場において、何が雑音で何が正しい情報なのかは、なかなか難
しい問題である。「アービトラージャー」が雑音だとみなした情報が、実は正
しいということも十分にあり得ることだ。ただ、たった2〜3 ヶ月で、財政再建
から景気刺激に振れるところをみると、菅首相は「ノイズ・トレーダー」タイプ
なのであろう。なお、典型的な「ノイズ・トレーダー」は、マスメディアである。
「人気」をポリティカル・キャピタルとする菅首相は、マスメディアと同調する
傾向が強まるであろう。
• 一方、小沢一郎氏の過去の振る舞いをみていると、こちらは典型的な「アー
ビトラージャー」であるように思われる。自由と平等という二律背反する二つ
の価値の間で、政治サイクルが描かれるとしよう。自由が行き過ぎて不平等
が見過ごせなくなると、平等を目指す。平等も行き過ぎて非効率が目につく
と、再び自由に向かう。小沢一郎氏は、このサイクルの上限と下限で方向転
換の舵取り役を担ってきたといえるだろう。1993 年の「日本改造計画」では、
平等から自由へ、2006 年に民主党の代表に就任した時には、自由から平
等へと。権力闘争を目の当たりにしてきた政治記者からすると、そんなきれ
い事ではないよという話にもなるだろうが、そう見える。
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