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「挑発に乗ったか」と、まず思った。
政府は15日の東京外国為替市場で円を売ってドルを買う為替介入を実施した。
14日の民主党代表選で菅直人首相が再選された直後から徐々に円高が進み、ニューヨーク市場で約15年3カ月ぶりとなる一時1ドル=82円92銭まで上昇した。
小沢一郎前幹事長に比べて菅首相は介入に消極的とみられていたからだ。
その分、約6年半ぶりとなった円売りドル買い介入は効果的だった。まさに不意打ちとなった。15日の東京市場では85円台まで円は急落した。
介入は功を奏したが、政府・日銀の経済運営に対する信頼性は高まったか。
株式市場や為替市場が激しく動揺しないように、政府・日銀は常に景気認識や政策の方向性を市場に正しく理解させるための「対話」が欠かせない。
しかし、菅政権は市場との「対話」があまりに不慣れだ、と私たちは書いた。
東京市場で82円80銭台に進んだことは挑発的だった。介入は、これ以上の円高は許さない政府の姿勢を示すものだが、何をしてくるか分からないとの不信感を市場に抱かせる結果ともならないか。
10日に発表した政府の経済対策は副題に「円高、デフレへの緊急対応」とあった。その中で、円高の急速な進行に対し、「政府は必要な時には為替介入を含め断固たる措置をとる」と明記した。
ただ、この後に続けて、円高による景気の下振れリスクを懸念する一方、「円高のメリットを最大限に活用するという観点も重要である」と指摘している。
円高を活用して「ヒト・モノ・カネの流れを活性化する施策を積極的に推進することにより、わが国の成長基盤の強化が図られることになる」ともある。
円高に必ずしも否定的ではないと読める表現は、市場に誤解を与えたり、迷わせたりしないのだろうか。「必要な時」とはいつかも分かりにくくなる。
主要通貨に対する総合的な価値を示す「実効為替レート」で見ると、現在の円相場は、なお円安水準との指摘もある。さらに、大企業製造業を中心に円高抵抗力は強まっているとの見方もある。
私たちは、中小の製造業などは余力に乏しいと考えている。では、なぜ企業倒産などが増えないか。資金繰りや雇用維持で政府が手厚い支援を続けているためだ。突っかい棒を失うと、すぐ倒れる。
私たちは麻生政権時代から繰り返してきた。景気悪化のしわ寄せが大きいところには政府による下支えが要る。政府の支援で時間を稼ぎながら、産業基盤の強化、経済構造改革を進めるべきだ、と。
為替介入は対症療法である。伝家の宝刀も頻繁には抜けない。一刻も早く経済改革という根本的な治療に入るべきだ。
その道筋をはっきり描いたうえで、介入などの政策手段を選んでいるのだろうか。当然、綿密な作戦計画があるはずだ。ただ、外から見えにくく、政策手段を玩具のように扱う危うさを感じるのだ。
=2010/09/16付 西日本新聞朝刊=
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