http://www.asyura2.com/10/senkyo95/msg/150.html
Tweet |
代表選後の政治 - 消費税増税と強制起訴、残酷な小沢派狩り続く(世に倦む日日)
http://critic6.blog63.fc2.com/blog-entry-377.html
代表選後の政治_1
過去の民主党の代表選では、勝者と敗者が互いの手を取って高く上に挙げ、議員の前でノーサイドを笑顔で強調する演出が通例だったが、今回はその場面がなかった。二人の間の亀裂の深さを象徴した図で、ノーサイドは事実としてない。ノーサイドも、挙党態勢も、菅陣営の言っている意味は、世間一般の言葉の意味とは全く違う。小沢一郎の排除を前提としたノーサイドであり、小沢抜きの挙党一致である。つまり、無条件降伏後の日本を米軍が占領支配するような状態を意味する。菅直人にとって、政権運営の要諦は「反小沢」しかない。「反小沢」を言い続けることでマスコミ世論からの支持率を維持し、党内の求心力を確保する以外にない。代表選が終わり、再び「反小沢」「脱小沢」の政局に戻った。
今度の代表選の勝者はマスコミである。この勝利によってマスコミは決定的な権力を手中にしたと言えよう。マスコミの力で菅直人は再選を果たせたのであり、菅政権とはマスコミの傀儡政権だ。この点が、5年前の小泉政権とは性格が異なる。菅政権の政権運営や政策方針は、全てマスコミが指図するところとなり、菅直人は木偶人形のようにそれに従うだけだ。昨夜(9/14)の星浩、今朝(9/15)の与良正男の態度は、まさに政権中枢で手綱を執る立場のそれであり、衒いもなく露骨に権力者として振る舞っていた。マスコミは小沢一郎を挑発し、さらに「反小沢」の報道で世論を扇動し、政治生命の抹殺と小沢派の潰滅に血道を上げるだろう。
代表選後の政治_2
小沢一郎の敗因について。重要なのは、党員サポーター票ではなく、議員票である。党員サポーター票の方の大差は、小沢陣営にとっては折り込み済みの条件で、議員票でそれを上回る圧倒的な差をつけることが出馬の際の勝算だった。そして、仮に全体のポイントで僅差で惜敗したとしても、議員票で差をつけて勝てば、実質的な小沢一郎の復権は果たせる。だが、特に先週に入って以降、「世論調査」とネガキャンの集中砲火でマスコミと菅陣営が巻き返し、当初は小沢陣営優勢と見られていた議員票が拮抗する。三宅雪子の証言によれば、投票直前の一両日で40名ほどが寝返っていた。テレビ報道は、世論の動向に議員が従った結果だと尤もらしく説明しているが、私は違った見方をする。実弾が飛んだに違いない。
代表選は公職選挙法の拘束を受けず、買収は法に抵触しない。この選挙で小沢一郎が勝てば、法人税減税と規制緩和が危うくなってしまう。経団連ビルの金庫はこのときのためにある。1人に1千万円配ったとして、50人でわずか5億円。経団連からすればハシタ金だ。小遣い銭に目が眩む新人議員には、この実弾攻勢は大いに有効だっただろう。昨年の総選挙の出馬支度で、彼らは少なからず私財を失っている。さらに穿った見方だが、小沢一郎と鳩山由紀夫の方は、度重なる検察と国税の追及のため、兵糧攻めで干上がって金庫がカラなのだ。実弾戦で負けたに違いない。
代表選後の政治_3
谷亮子らが詰めて電話作戦をやっていた選対事務所は、何とも狭く貧相な小部屋だったではないか。資金に窮している事情が見える。それに関連して、鳩山Gが小沢支持で結束できなかった理由は何だろうか。鳩山Gが領袖の決断の下に一枚岩になれなかったのは、菅陣営のカネとポストの攻勢の結果だと私は見る。鳩山由紀夫が子分を飼うカネを涸らしているのではないか。安子マネーを派閥資金に還流する裏ルートが国税に断たれたからだろう。結局、鳩山Gの動揺が旧民社Gに伝播して、旧民社Gが菅陣営へ大きく傾く流れを作った。鳩山Gが小沢支持で纏まっていれば、旧民社Gは中立もしくは親小沢の形勢で、全体の議員票を小沢優勢に導いたと思われる。小沢一郎の勝算の思惑が外れた瞬間だった。
カネ(現金の札束)は、官房機密費が官邸金庫からマスコミに流れただけではない。もっと大量のカネが経団連から流れている。自動車工業会や自動車総連の金庫も活躍しただろう。この選挙は「政治とカネ」がテーマだったが、まさに選挙の中身そのものが「政治とカネ」だったのではないか。人はカネで動く。いつの時代も男はカネと女に飢え、地位と権力と名誉に涎を垂らす動物だ。議員が選挙区の有権者の顔色を覗って菅陣営に流れたという話は、世間を納得させる合理化の説明(ストーリー)であり、裏側ではもっと生臭い現実(カネとポスト)が動いていただろう。自分が経団連会長ならどうしたか、その観点から代表選を考察してよい。
代表選後の政治_4
今後はどうなるか。キーワードは二つで、消費税増税と強制起訴である。消費税増税については、早速、昨夜(9/14)のテレ朝で、一色清と星浩が口を開き、「参院選後にお蔵入りになっていたが、すぐに復活させるべき」と言い放った。代表選直後にテレビに出た玄葉光一郎は、「菅政権の課題は速やかに税制改革に着手することと成長戦略を実行すること」だと言った。確実に消費税増税が中心テーマになる。法人税減税については、菅直人は代表選の公約にも堂々掲げ、財界と外資に手形を切っている。約束手形の期限は年末の税調(税制改正方針の策定)で、そこで手形を落とすためには消費税増税で財源を作らないといけない。もし、ここで消費税増税を決められなければ、法人税減税の財源は国債増発で充当する事態に迫られる。これは財務省はできない。法人税減税と消費税増税は一体である。同時でなければ実施できない。
来年4月から法人税を減税する場合は、一緒に消費税を増税しなくてはならない。今年の年末にまでに決定すれば、来年の通常国会で税制改正法案を可決し、4月から税率を上げる日程になる。星浩は、菅政権に自民党との政策連立を呼びかけ、谷垣禎一が石原伸晃を幹事長に据えたのは、石原伸晃と仙谷由人が昵懇で、二党の政策協調がスムーズにできるからだと解説していた。自民党と大連立せよという提案は、6月の菅直人のクーデター以来の星浩の持論だ。星浩は、まさに菅政権の大株主気取りで、昨夜のコメントは要請ではなく指示口調だった。
代表選後の政治_5
民主と自民で政策大連立すれば、消費税増税の決定は可能と星浩は言い、その流れを作ろうとしているが、菅直人の方は参院選で敗北して消費税増税を封印した経緯があり、決行するときは総選挙で国民に問うと約束をしている。この約束を破って、選挙なしで消費税増税を決定することは困難だ。つまり、星浩が狙っているのは、民主と自民が消費税で大連立して衆院を解散することで、消費税増税を争点にした総選挙をせよという意味と解せられる。自民党は与党になり、民主党執行部と選挙区で候補者調整をする。調整のつかない選挙区は複数が立候補して議席を争う。その他の選挙区はほぼ無風になる。ただし、星浩とマスコミの狙いは、このとき、小沢派の衆院議員の少なくない部分が消費税増税に反対するだろうから、彼らの公認は取り消して、選挙区に執行部が刺客を送るべしとする戦略だ。まず、党内で消費税増税の論議を始め、小沢一郎と傘下の議員を挑発する。
小沢派を切り崩し、寝返らせ、菅陣営へ取り込んで行く。そこで自民党と税制協議を始め、消費税増税を合意する。協議には公明党とみんなの党も含める。消費税増税を合意したところで、連立の組み直しを発表し、解散総選挙に持ち込む。ただ、この台本に谷垣禎一がそのまま乗るかは少し微妙なところがある。無理に大連立を組まなくても、ねじれ国会で菅政権を追い込み、解散戦略で政権を奪還する方策も十分可能だ。マスコミの方は消費税増税を急ぐが、谷垣禎一が欲するのは単独政権もしくは自公政権である。
代表選後の政治_6
二つ目のキーワ−ドの強制起訴について、昨夜(9/15)の星浩は何も解説で言わなかった。今朝のワイドショーでも、この問題に言及した論者はいなかった。マスコミが意図的に伏せている。検察審査会の議決日程は来月下旬で、当初の予定を遅らせ、代表選の結果を待って出されるタイミングとなった。当然、代表選の結果は検察審査会の議決に影響する。議決が出る前に、マスコミが「強制起訴」確実の予想を騒ぎ立て、例によって得意の世論調査を打つだろう。「小沢氏は強制起訴されるべきだと思うか」を一斉調査する。そして、8割が「賛成」と答える。
こうして、今度は検察審査会の審査員に圧力をかけるのであり、強制起訴以外の選択を摘み取るのだ。この時期、おそらく消費税増税論議が佳境で、民主党内で増税反対を主張する小沢派議員が炙り出され、マスコミと執行部による凄惨なリンチが行われている。小沢派の勢力は、切り崩しと迫害で急減しているはずで、1年生議員も半数は寝返っているだろう。今回の選挙大敗とその結果を牽引したマスコミの絶大な影響力を前に、心を折られた議員も少なくない。一人また一人と「消費税増税賛成」を言い出す。踏み絵を踏んで改宗する。転向声明した議員には、経団連からプレゼントが届く。消費税増税は小沢派潰滅作戦の梃子にされ、「増税反対派=小沢派=国民の敵」の三位一体範式の政治宣伝で徹底的な排撃が行われる。すると、「増税賛成派=反小沢派=正義の味方」の図式が自然に出来上がり、消費税増税は国民の正論になる。化学変化する。
代表選後の政治_7
10 月下旬、検察審査会の議決発表が近づき、強制起訴の是非を問うのと並行して、消費税増税の賛否を問う世論調査が連続的に行われる。7月の参院選で、国民はあれほど消費税増税に反対だと民意を示したはずだが、10月の世論調査では、増税賛成が7割を占める結果となる。マスコミは実に周到かつ狡猾で、国民が気づかないうちに事実の意味をスリカエて報道し、一方的に定義を固めている。例えば、参院選の民主党惨敗は、どう考えても菅直人が消費税増税を突然言い出した結果であり、選挙公約の失敗と自滅だったはずだが、その事実はマスコミに書き換えられ、小沢一郎と鳩山由紀夫の「政治とカネ」の問題に国民が罰を与えた結果だとされている。消費税増税の政策は原因ではなかったことになっている。菅直人が首相に登壇したときは、国民は高支持率を与えて歓迎していて、二人の辞任は菅政権の支持率には何も影響していなかった。
国民が罰を与えるのなら、この時点で民主党政権に高支持率が出るはずがない。また、鳩山由紀夫の辞任は、明らかに普天間問題の責任を取らされたもので、直接には「政治とカネ」による引責ではない。さらに、鳩山由紀夫の辞任は、実際には小沢一郎に降ろされたもので、二人の辞任は参院選を有利に戦うべく目先を変えようとした動きだった。「政治とカネ」の問題で辞任したという認識は、当時の事実経過を正確に捉えたものとは言えない。菅直人が、約束どおり消費税増税を国民に選挙で問うとすれば、総選挙は11月に行われることになる。当然、起訴された小沢一郎は公認されない。山岡賢次も松木謙公も田中美絵子も公認されない。
残酷な小沢派狩りで最後に残った何十人かが、新党を作るかどうか迷うという選択になる。選挙に出ても、迫害の嵐の中での当選はきわめて困難だ。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK95掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。