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「週刊ポスト」9/24日号
平成22年9月13日(月)発売
小学館 (通知)
「改革派市長」が「独裁者」と叩かれるまで
竹原信一・阿久根市長激白「私は最後の一日まで役所、議会、そして新聞記者の既得権益と闘う」
リコール騒動の渦中に独占直撃
(写真) 仙波副市長の不承認を決めた8月25日の臨時議会
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人口約2万4OOO人の漁業の町・鹿児島県阿久根市。その名を全国に知らしめた竹原信一・市長(51)が崖っぷちに立たされている。市議会の決議を受けずに条例を定める「専決処分」を乱発したことが原因で、リコール運動が進んでおり、9月15日にも署名簿が提出される予定だ。
市議会と市役所職員の特権剥奪を掲げて過疎の町を立て直そうとした竹原市長は、なぜ市政の混乱を招くことを承知の上で過激な手段を続けるのか。これまで沈黙を守ってきた竹原氏がロを開き、「議会、行政とスクラムを組んだ記者クラブメディアという第3の既得権益」との闘いを初めて語った。
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8月の半ば、全国紙や地元紙が一斉に、まるで私がリコール運動を妨害しているかのような報道をしました。仙波敏郎・副市長が市役所幹部職員に向かって、職員がリコール運動に関与した時には処分があるという旨の発言をしたことを取り上げ、「けん制」「圧力」という言葉で伝えたのです。
しかし、この副市長の発言は、職員は署名を集める活動主体になる「受任者」にはなれない、という地方公務員法の規定を説明したに過ぎない。就業中にリコール活動をすることも職務外なので慎んでもらうが、署名そのものを制限したわけではない。これのどこが「圧力」なのかサッパリわかりません。
リコール運動は大歓迎です。普通の市民が運動に参加し、市政について議論を交わし、自分の手で署名をする。このように市政へ参加する経験をするのは素晴らしいことです。もし私が市長でなくなっても、この町の住民は市政に強い関心を持ち続けるでしょう。
竹原市長は1959年、同市生まれ。防衛大学校を卒業後、航空自衛官を経て父親が営む建設会社に入社し、05年に阿久根市議会議員選挙で初当選、08年8月、市長選に立候補し当選した。
09年1月、ブログ上で(辞めてもらいたい議員)の投票を呼びかけたことが話題になり、この頃から「プログ市長」として全国区で注目され始める。同年2月、市役所職員の高給を市民に知らせるために、07年度の職員268人全員の給与を市のホームページ上で公開。今年に入り、警察の裏金を告発した元愛媛県警の仙波氏を副市長に任命するなど専決処分を頻発し、議会と対立を深めてきた。
メディアの歪曲報道には困惑するばかりです。
例えば、今年の1月29日の新聞各紙には、私がメディアの取材を制限したことを森博幸・鹿児島市長が批判したという記事が載った。ところがその直後、鹿児島市長から電話がかかってきて、「批判なんてとんでもない。勝手に新聞が事いたことで、私はいっていない」というのです。
福岡県の大牟田高校の駅伝大会不参加の報道(※1)もそう。市では毎年3月に、「阿久根市長旗・九州選抜高等学校駅伝競走大会」を開いているが、19年連続出場の大牟田高校が出場を辞退し、その理由が私の言動だったと報じられた。
これは大変ショックでした。そこで高校や阿久根の体育協会に問い合わせると、主力選手の故障やスケジュール調整不足のために不参加を決めた、という説明だった。意図的に私を陥れようという報道としか考えられません。
※1大牟田高校の駅伝大会出場辞退/今年3月14日、阿久根市主催の駅伝大会で、全国的な強豪校の大牟田高校駅伝部(福岡県)が出場を辞退。読売、毎日、産経、西日本新聞などが「竹原市長の言動を問題視」と、問題市長を冠した大会だから辞退したかのように報道した。
(写真)「リコール運動をメディアは一方的に報じている一(竹疲市長)
メディアを守って市民を捨てた議会
なぜ私が記者クラブと対立するようになったのか。
それは、メディアが市民ではなく、議会や役所を向いて報道をしているからです。
そのことに気付いたのは、私がまだ市議だった06年、医療費の受給資格証の申請について市民から相談を受けたことがきっかけでした。
その女性は何度も市役所の担当課に足を運んだが、窓口の女性職員から「私は忙しいのよ。申請者も一杯いるんだから」と邪険にされ、一向に資格証が発行されないという。そこで私が直接調査をしたところ、女性職員が職務怠慢で事務処理をサボっていたことがわかった。
ところが、鹿児島の県紙・南日本新聞はそのことを〈ファイルに保管したまま交付していないことに気づいた〉と、職員のうっかりミスだったかのように報じた(※2)。私は議会でもこの間題を指摘したので、南日本新聞が女性職員の怠慢を知らないはずがない。
※2医療費受給資格証の不交付問題/06年9月、「ひとり親家庭医療費」の申請者7人に対して、市の担当職員が05年度分の受給資格証を交付していなかったことが判明・当時の斉藤洋三市長が事実を認めて陳謝し、市は助成会計21万220円を申請者に支払った。
新聞記者は、市民よりも役人を大切にするんです。信じられないけど、これが現実だった。
その後、私は何度もプログの中で、南日本新聞が役所や議会とベッタリの「御用マスコミ」だと指摘した。
例えば、前市長が、市の職員の退職金を勝手に増額して問題になったことがあった。市民が前市長や元総務課長を鹿児島地検に告発したので、全国紙はこの問題を取り上げたけれど、南日本新聞は全く触れない。
竹原市長と南日本新聞の確執が他のメディアにも拡がった背景を、市長派市議が説明する。
「記者クラブメディアの中で唯一、阿久根に記者が常駐しているのが南日本新開。鹿児島市や薩摩川内(せんだい)市に拠点を置く全国紙の記者は、南日本新聞から阿久根市関連の情報をもらうため、論調も追従する。それが、南日本新聞の市長批判が他紙にも波及した原因でしょう。
県紙である南日本新聞と県知事や県庁との親密な関係も一因だと思う。
改革派として注目を集める竹原さんが、今後、知事選にでも打って出れば脅威となると感じた現知事周辺の意向があったと聞いています」
今年3月の議会で、私は市民を欺く記者クラブではなく、市民の権利こそ尊重すべきだと考えました。前述の鹿児島市長や大牟田高校の件などでウソを報じた朝日、毎日、読売、南日本新聞、南日本放送のメディア5杜のカメラを議場に入れないことを議長に申し入れ、その代わりに、禁じられていた市民による議会の録音や撮影を許可するように要求した。
ところが議長は2つとも拒否。議長が市民よりもマスコミのカメラを選んだのです。
翌日は、「マスコミがいるから」という理由で私が議会出席を拒否した、というバッシング報道でした。
議会は、マスコミだけに撮影、録音を許すことで無責任で背信的な議員たちの生態を隠している。そして、この利権を共有するマスコミが私を攻撃した、という構図です。
記者クラブと議会の蜜月関係を示すいい例がある。
阿久根には南日本新聞しか常駐していないので、市役所内に「記者クラブ室」を設けていない。しかし、議長の管轄下にある市役所3階の一室が、記事などを書くためのクラブ室として提供されているのです。
メディアは、取材に応じない私とは対照的に、情報をくれて、さらにお茶付きの部屋まで使わせてくれる議会が大切なのでしょう。
税収18億円で職員人件費23億円
メディアは市議や役所のとんでもない実態を知らないわけがない。
市議は年収400万円以上の報酬を受け取っているけれど、それに見合った仕事は全然していない。年に30日ほど開かれる議会に出席するだけで、1度も質問をしない議員もいる。彼がすることといえば、採決の時に賛成票を入れるために、ひょっこり立ち上がるだけ。
こんなに市民をバカにしていることはない。
市民のためではなく、自分の利益のための仕事にいそしむ議員もいる。市議経験のある建設会社の社長が、
「市議になれば自分の会社に仕事を回せる」といっているのを聞いて、愕然としたことがあります。 私が議会の決議を通さずに専決処分をするのは、議会がセレモニーにすぎないからです。真剣に議論されることもなく、単に竹原が出した法案だからというだけで反対する。こんな議会に諮る意義なんてありません。
市職員も既得権益の固まり。平均年収は阿久根市の民間の2倍以上。退職金の最高額は、早期退職制度に応じた52歳の女性職員で、なんと3825万円だった。
昨年度の阿久根市の税収はおよそ18億円です。ところが退職金などを含めた職員の人件費は年間23億円にのぼる。これは異常事態ですよ。
そういう構造の中で、記者クラブメディアは、議会、役所の実態を知りながら市民を騙し続けてきた。議会、役所、マスコミという権力がスクラムを組んで平和な阿久根市≠偽装してきたのです。
とても哀しい現実ではないですか。必死に生きている市民が騙されている。私はこの既得権益スクラムをぶっ壊したいと思っています。
そのために阿久根市民に、そして全国の地方住民の方々に、まずは本当のことを知らせたい。隠してきた権力者たちは、それを知られれば特権を維持できなくなるはずです。
反市長派の市議はこう反論する。
「議会は、議員や職員の給料削減など市長の主張を頭ごなしに反対しているわけではない。条例にもとづいて議会を招集するなど、ルールにのっとって市政をしてもらいたいだけです。竹原市長には自分に反対するマスコミは排除するという姿勢がある。そういう独善的な姿に住民も懐疑的になって、今回のリコール運動に繋がったのでしょう」
私は市議になる前、自分1人で議会や役所の酷い内情を明らかにするビラを刷って、バイクで市内の一軒一軒を周り、計20万枚配ってきました。その時からいつ死んでもいい、という覚悟で本当のことを市民に知らせてきた。これからも、市民のために、最後の一日まで、できることをやるだけです。
●聞き手/白石義行(フリーライター)
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