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虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われていた村木厚子厚生労働省元局長が無罪を勝ち取り、検察の悪行が暴かれた。実態のない障がい者団体「凜(りん)の会」が、障がい者のための郵便料金割引制度に目をつけ、村木氏の部下であった上村勉被告厚労省元係長に頼んで郵便料金割引を認める偽証明書を発行してもらい、ダイレクトメール業務を行っていた。この郵便不正事件は、ただこれだけの事件であるはずだった。
それを大阪検察特捜部が、東京検察特捜部が小沢秘書逮捕で派手に立ち回っていたのに嫉妬を感じたのかどうか知らないが、単純な事件に尾ひれ背ひれをつけるどころか、事実とは全く違ったストーリーを捏造した上で、村木敦子氏や民主党の政治家などを巻き込んだ大きな事件として捜査を進めたのである。。
厚労省の絡んだこの事件をこんな小さな問題で終わらせるにはもったいない。世間があっというような大事件にして、注目を浴びたい。そんな野望を持った大阪地検特捜部によって、シナリオが作られた。大阪地検の最終ターゲットは、警察と癒着関係にある公明党の敵でもある民主党副代表の石井一参議院議員だった。当時「政治とカネ」の問題で、バッシングを受けている民主党に致命傷を与えるためだった。
「『凛の会』の元会長・倉沢邦夫被告から頼まれて、 石井議員から厚労省の塩田幸雄部長に証明書を発行するよう要請があったってのはどうだ。塩田部長が決裁権のある村木課長に便宜を図るよう指示し、 村木から上村係長に証明書発行の指示が下りたことにしよう。」
こんな捏造談義が大阪地検特捜部で交わされた可能性は高い。この捏造を事実とするために厚労省職員7人を証人として取調べし、このシナリオを元に検事が誘導尋問をする。シナリオに沿わない証言に書かれたメモは、証拠隠滅のため、その場で破棄。こうして村木被告の上司を通じて、石井一・民主党参院議員から証明書を発行するよう口添えがあり、厚労省が組織ぐるみで偽証明書を作ったとしたシナリオどおりの調書が作成された。
しかし、大阪地検の目論見は外れた。「国民から信頼されるように働いてきた。例え、 国会議員に依頼されても、法に反することを引き受けることはあり得ません。」と逮捕時から一貫して無実を訴えてきた村木被告の真実を語る姿を前に大阪検察の偽装工作は難航した。
又、民主党の石井一参院議員から口利き電話を受け、村木被告に便宜を図るよう指示したとされる塩田幸雄・元厚労省障害保健福祉部長も8日の第5回公判に証人出廷し、「(聴取した)検事から 『あなたから石井議員に電話した交信記録がある』 と言われて (村木への指示を)証言したが、後に 『実は記録はない』 と言われた。 大変な供述をして(村木を)無実の罪に陥れてしまった。事件自体が壮大な虚構ではないのか」 という驚くべき証言も得られた。
さらに、村木被告の指示で偽証明書を作成したとして起訴され、検察側証人として法廷に立った上村被告も、「指示されていないと伝えたが、検事が調書に入れてくれなかった。村木被告とのやり取りの部分は、検事の作文だ」 と異例の証言を涙ながらに語ったという。
今年1月に始まった公判でも、証人出廷した厚労省職員7人全員が村木被告の関与を否定。捜査段階で村木被告の関与を認めていた証人からも、「事実と違う供述調書に署名を強要された」と特捜部の捜査批判が続出した。
検察側は、関係者が村木被告の関与を認めていた捜査段階の調書43通を証拠請求したが、横田裁判長は5月、「取り調べに問題がある。あらかじめストーリーを描き、検事が誘導した可能性が高い」として、上村被告の全調書など主要な34通の証拠採用を却下。こうして、村木被告は無罪判決を勝ち取った。
このように検事が関係者を聴取した際、嘘の “証拠” を示唆して、供述を無理やりに引き出すなど強引かつ違法な捜査の実態が次々と明らかになっている。同じような手法が小沢一郎氏に秘書が逮捕された際も使われた可能性が高い。
この事件を考える上で、小沢問題と村木氏の「郵便不正事件」に共通する検察の暴走を詳しく解説した木村朗(きむら あきら)鹿児島大学教員の論文は必読だ。
「時代の奔流を見据えて──危機の時代の平和学」
木村 朗 (きむら あきら、鹿児島大学教員、平和学専攻)
第二〇回 小沢問題をどう考えるか−検察権力・マスコミ報道との関連で (上)
1.小沢問題をめぐって二つに割れる世論
民主党の幹事長である小沢一郎氏をめぐる 「政治とカネの問題」 が、昨年3月の第一ラウンド(西松建設事件)から今年1月の第二ラウンド(水谷建設事件)まで続き、 今年7月に実施されることが予定されている参議院選挙への影響なども絡まって、まさに日本社会全体を揺るがす問題として浮上している。 とりあえず小沢氏の不起訴という決着に落ち着いた現在の段階で、 あらためて、このいわゆる小沢問題とは何であったのかを冤罪と報道被害の防止という視点から考えてみたい。
今年1月から本格的に再浮上した小沢問題をめぐっては、 東京地検特捜部という 「史上最強の捜査機関」 による小沢一郎氏という田中角栄氏の流れを汲む金権政治家の不正献金疑惑追及という 「検察の正義」 を前提とする見方が大手マスコミのほとんど一致した論調として毎日大量に流され、 その流れに乗った形で国会では野党となった自民党がこの民主党の金権スキャンダル(鳩山首相の政治資金問題を含む)を追及し、 それが小沢氏の幹事長辞任(一部は議員辞職!)を求める声の増大と民主党への支持率低下という各種世論調査の結果となってあらわれる状況が生まれている。
しかしその一方で、こうした一般的な見方に対してさまざまな疑問点を指摘するとともに、 それとはまったく異なる見方を対置するもう一つの世論の流れがインターネット・メディアを中心に生み出されようとしている。 それは、小沢問題を 「検察の正義」 を前提として 「小沢VS検察」 という問題に矮小化するのではなく、「政治とカネの問題」 以上に、 検察組織の強権的体質と記者クラブに代表されるマスコミとの癒着構造が日本の議会制民主主義にとって大きな脅威となっているという見方だ。
それはまた、「検察ファッショ」 と 「メディア・ファシズム」 が結合した 「静かな政治クーデター」、すなわち検察権力とマスコミが一体化した情報操作・世論誘導によって、 昨年8月の総選挙を通じて成立した現鳩山連立政権を打倒する(直接的には今年の夏の参議院選挙で民主党を敗北させる) 狙いを秘めた事実上のクーデターであるという見方にも通じるものである。
このように世論は現在真っ二つに分かれているのであるが、はたしてどちらの見方が小沢問題の本質を捉えた本当に正しい評価・認識と言えるであろうか。 私自身の見方はどちらかといえば基本的に後者の方で、昨年3月から今日まで続いている小沢問題の本質は、 検察側の怨念とも言うべき小沢一郎氏を狙い撃ちした 「国策捜査」 (政権交代前はその傾向が強かった!) というよりは、 「民主党VS全官僚機構」 あるいは 「鳩山連立政権VS官僚機構・自民党・マスコミ(・米国)」 という権力闘争・政治闘争に他ならないというものである。
換言すれば、検察権力の恣意的乱用(公訴権を独占する検察権力の暴走)と、 それに追随するマスコミの権力監視機能の放棄(また大衆迎合主義と利益至上主義・商業主義の結合)、 そして 「検察の正義」 を微塵も疑わずにマスコミ報道を鵜呑みにして翻弄される我々一般国民の思考停止こそが目下の最大問題、 すなわち、日本の民主主義の危機をもたらす根源的問題であるという見方である。私がそのように考える理由は、以下の通りである。
「ミスター無罪」弘中弁護士がまた無罪を勝ち取る
(Yucasee Media 最終更新:2010年09月10日 19時20分)
郵便不正にからみ、自称障害者団体に偽の証明書を発行したとして起訴された、厚生労働省の元局長・村木厚子被告(54)に大阪地裁が無罪を言い渡した。村木被告の代理人・弘中惇一郎氏は「無罪請負人」「ミスター無罪」などの異名を取る敏腕。泣く子も黙る捜査機関・地検特捜部も、弘中氏に敗れた格好だ。
公判の中で、弘中氏は、大阪地検特捜部の立証の矛盾をことごとく突いていった。判決前には、すでに無罪の可能性が報道されるようにもなり、結局無罪を勝ち取った。起訴案件の9分9厘が有罪と言われ、しかも相手は地検特捜部ながらの結果となる。
弘中氏は東大法学部卒で、1967年の在学中の4年生時の21歳で司法試験に合格した。これまでには、ロス疑惑の銃撃事件で故・三浦和義氏の無罪、薬害エイズ事件における故・安部英氏の一審無罪を勝ち取っている。叶姉妹、堀江貴文氏、鈴木宗男氏らの代理人も務めた。弘中氏にはまた、新たな勲章が増えたことになる。
まさかここまで検察の暴走がひどいとは、ネットが普及する前は誰が想像できたであろうか。情報はテレビや新聞しかなかたため、それらを鵜呑みにする以外方法がなかったわけだ。しかし、今は違う。ネットではいろいろな角度から、多様な情報が入ってくるため、検察やメディアがいかに疑惑に満ちているかネット使用者ならほとんどがわかっていることだ。
今こうして考えると、「不起訴」となる小沢氏の判決が代表選後に決まったのは、その前だと「なんだ、不起訴だったのか。」と小沢氏に投票する議員やサポーターが増えるからではないだろうか。そして、「政治とカネ」問題の追及で小沢氏をバッシングすることもできなくなるし。
小沢氏の秘書らも検察の取調べでは脅しを受けたといわれている。密室での検察の暴走を止めるために、一刻も早く取り調べの全面可視化が求められている。
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