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第141回】 2010年9月9日
「独裁」の足音が聞こえてきた。「世論独裁」という新しい足音が…。
霞ヶ関と記者クラブメディアで作られる「官報複合体」、そこに絡め取られた菅内閣のなりふり構わぬ戦いの様子が垣間見えてきた。
彼らの振りかざす「世論」という怪物は、あらゆる声を掻き消し、もはや「独裁」の様相を呈している。それは「世論独裁」と呼ぶにふさわしい、半ば暴力的な政治状況を生み出している。
民主党代表選の投票を、来週に控えて、永田町、とりわけ民主党議員の動きは激しい。
新人議員は、日々の情報に右往左往しながら、相手陣営の様子を探ったり、あるいは後援会などの声を聞いて、支持を決めようと悩んでいる。
仮に、民主党議員が、新聞やテレビに触れれば、「政治とカネ」という文言が目に付き、耳に飛び込み、連日のように行われる世論調査の圧倒的な数字を前に「菅支持」に傾くことになるだろう。
一方で、立会演説会やネットのサイトを訪れた議員は、驚くべき「小沢コール」の前に圧倒され、記者クラブメディアとは全く逆の空気を知って、「小沢支持」に流れることになるかもしれない。
「国民は説明を求めているんですよ」
「世論を無視することは許されない」
いま、筆者は、札幌で開かれる菅首相と小沢前幹事長の立会演説会に向かっている。北海道に向かう飛行機の搭乗直前、筆者の観たテレビ番組では、いつものように評論家やコメンテーターたちが頼まれもしない「世論」の代弁者として熱弁を奮っている様子が飛び込んでくる。
その批判の矛先は、ほとんど例外なく「小沢一郎」に向かっている
世論調査の数字を振りかざし、「政治とカネ」という具体性に乏しい文言を金科玉条のごとく叫び続け、結果、テレビや新聞はきょうも「世論」という「虚構」で、それこそ世論を煽っている。
思考停止の記者クラブについては、もはや本コラムの読者には説明不要だろう。
今回の「民主党代表選の問題」はそうした不健全な記者クラブメディアの存在にあるのではない。
自ら考える力のない新人議員たちが、「世論」という「大本営発表」にいとも簡単に騙されてしまうことにあるのだ。
早速、その「大本営」の一端を検証してみよう。
■大本営発表の例「小沢首相=解散」説、
「小沢首相は菅グループに報復」説を検証する
〈小沢首相になれば、解散に打って出るだろう〉
テレビ番組では、新聞社や通信社の元政治部記者たちがしたり顔でこう解説している。端的に言って、バカも休み休み言ってもらいたい。
野党・民主党の小沢代表時代、本コラムでも指摘したが、衆議院に300を超える議席を持っている与党の首相が、いったいなぜ解散をする必要があるのだろうか。
そもそも、小沢氏本人が、自身の代表記者会見(当時)でも、独自の予算編成の必要性から少なくとも政権を獲得したら3年程度は選挙をすべきではない、と意思表明しているではないか。
さらに、民主党政権による本当の「予算」とは一年目に編成し、翌年にそれを執行し、さらに翌々年の決算まで行えば、それで真の政権交代になる、と直接の表現ではないものの、そう解説していたのも小沢氏自身である。
逆に、解散に打って出るなどとは、ただの一言も語っておらず、それは既存メディアの願望に過ぎないのである。
つまり、小沢氏がそう言っていると報じれば、解散を恐れる足腰の弱い一年生議員が、雪崩を打って菅支持になびくという菅陣営のスピンコントロールに乗ってしまっているにすぎないのである。
また、テレビや新聞の政治解説者らはこうも語っている。
〈小沢首相になれば、菅グループへの報復がすぐに始まる〉
これも大阪での演説会や国会での記者会見に出ている筆者からすれば、まったく逆だと断言できる。
小沢氏は一貫してこう言っている。
「代表選後は、鳩山、菅のご両人には政権の重要なポストで仕事をしてもらう」
■報復する可能性が高いのは、むしろ菅氏の方ではないか
一方の菅首相は「脱小沢」を言ったかと思えば、「トロイカ体制」に賛同し、再び「脱小沢」となり、さらに「挙党一致」、はたまた「独自路線」とめまぐるしく方針を変えている。
つまり、素直にこの言葉を信じれば、報復の可能性のあるのは小沢氏ではなく、菅氏の方にある。
実際、2006年の代表選でぶつかったこの二人だが、勝者の小沢氏は野党とはいえ、菅氏を重要役職で処遇している。
だが菅氏の方こそ、首相になった途端、「小沢氏はしばらくの間、黙っていてほしい」と述べ、実際、報復人事を行って小沢グループを排除しているのだ。
新聞・テレビの記者たちはいったい何を取材しているのだろうか。
■民主党議員は、あくまで自らの信念で投票を
民主党の新人議員が、菅氏、小沢氏のどちらを支持しても構わない。所詮、これは民主党内の選挙だ。
ただ、くれぐれも「官報複合体」の作った「世論」という「虚構」に惑わされず、自らの信念でもって、日本の新しいリーダーを選んでほしい。
「世論」は常に正しいとは限らない。1933年のヒトラー登場も、1941年の太平洋戦争も、1970年代のベトナム戦争も、2003年のイラク戦争も、当時はすべて「世論」の圧倒的な後押しがあった。そうした「世論独裁」が国民を不幸な戦争に引きずり込んだのである。
政治家に求められるのは、場合によってはそうした「世論」に掉さしても、「にもかかわらず」と言い切る信念によって、決断するつことではないか。
これは筆者の言葉ではない。約90年前の1919年、ドイツのマックス・ウェーバーがその講演の中で語った言葉である。
「官報複合体」という日本特有の「怪物」が、「世論」という危険な武器を持ってなりふり構わぬ攻撃を行っている。
甘言の陰には「独裁」が潜んでいる。民主党議員らは、騙されることなく、その一票を国家のリーダーに投じてほしい。
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