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村木判決を前にした朝日の弁解代弁記事二本 永田町異聞
http://ameblo.jp/aratakyo/day-20100909.html
2010年09月09日(木)
村木判決を前にした朝日の弁解代弁記事二本
検察が起訴したら99.5%、有罪になっている。それが、法治国家といわれる日本の現実だ。
最高裁が、無罪を主張する鈴木宗男氏の上告を棄却したのも、例に漏れず、といったところだろう。
もっとも、明日10日に郵便不正事件についての判決が下る、厚生労働省元局長、村木厚子氏は例外の0.5%のなかに入り、無罪となる公算が強い。
村木氏の場合は検察調書の大半が証拠として裁判所に採用されないほどだから、大阪地検特捜部の捜査がいかに滅茶苦茶だったかがわかる。
マスメディアは村木無罪を想定して、事前準備に躍起だ。
捜査着手前後に民主党議員の関与を伝えるなど、暴走報道を繰り返した朝日新聞は、一見、検察批判風の記事を昨日、今日と二日続けて掲載した。
いずれも、「朝日新聞の取材」に対し、複数の検察幹部が答え、それに基づいて記事にしたという体裁である。
まず8日の記事を見てみよう。下記のリード(前文)にポイントがすべて書かれている。
「関係者の取り調べの際につけたメモ(備忘録)を廃棄していた大阪地検特捜部の検事の対応が、最高検の通知に反するものだったことがわかった。地検の内部調査の結果、刑事部などもほぼすべてを廃棄していたことが判明。地検は6月、公判で捜査段階の供述調書の信用性などが争いになると予想される場合は、メモを通知に従って適切に保管するよう各部に指示した」
最高検の通知とは、警察官の備忘録は証拠開示の対象になるという判断を最高裁が示したのを受け、08年にメモの引継ぎや保管について各地検に求めたものだ。
「聴取メモ廃棄 通知違反」と見出しがついているように、この記事はメモの廃棄という、検察の取り調べの根幹にかかわる問題に正面から切り込むことを避け、廃棄が最高検の通知違反であるというニュースに仕立てあげていることがわかる。
皮肉っぽく言うと、最高検はちゃんと通知していたのだという言い訳を、新聞が代弁しているように見える。最高検の権威を守ると言う前提のもと、取材する側、される側の暗黙の了解で書かれた記事ではないかというのが、筆者の疑うところである。
9日の記事のリードは次のような内容だ。
「自称障害者団体から頼まれて厚労省に偽の証明書発行の口添えをしたとされる石井一議員への事情聴取を、大阪地検特捜部が昨夏の総選挙を理由に遅らせていたことがわかった。この結果、石井議員が口添えをしたとされる日に千葉県のゴルフ場にいたことが、村木被告の起訴後に発覚。特捜部が描いた事件の構図が崩れる一因になった」
総選挙を控えていたため、石井議員の聴取に踏み切るかどうか地検内部で意見が分かれ、最高検の意見を聞いて事情聴取を遅らせた。聴取は村木元局長の起訴から約2ヵ月後の昨年9月11日に行われ、石井氏の関与がなかったことがわかった。これを起訴前にやっておけば、村木氏の起訴方針を見直すことができたのではないかという記事だと読める。
すべては総選挙への配慮のせいだと言わんばかりの、見苦しい言い訳の代弁を朝日新聞がやっているというふうに思えるのだが、穿ちすぎだろうか。
もちろん、検察リークを鵜呑みにして昨年の初夏、石井氏や牧義夫議員の関与を匂わせ続けた朝日自身の弁解とみることもできよう。
事件をでかく見せたい特捜検察の野望と功名心。そのお先棒を担いだメディアが紡ぎ出すフィクションの犠牲となって、ひとりの優秀な女性官僚が社会的に葬られようとしていたのである。司法記者クラブを媒介とした検察とメディアの共犯関係こそ断罪されるべきである。
大手メディア各社は、村木判決を機に、検察との談合、癒着関係を解体して、新たな取材方法、執筆姿勢を模索する必要があるのではないだろうか。
新 恭 (ツイッターアカウント:aratakyo)
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