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マスコミの世論調査が出揃った。予想どおりと言うべきか、各社が談合したかのように「首相にふさわしい」菅65%前後、小沢17%前後である。私は、かつて、「たかが世論調査、されど世論調査」を寄稿し、世論調査の限界と問題点を指摘したが、今回の「世論調査」は悪質で、あきらかに恣意的である。
***5月19日、衆議院前議員会総会で、世論調査の専門家・峰久和哲氏(朝日新聞編集委員)は次のように講演した。
☆「世論調査は政治を導くための『正解』を示すものではない。世論調査どおりに飛行機を動かしたら、飛行機は墜落してしまう。パイロットたる政治家が国家を運営していけばいいので、世論調査の数字どおりに国家が運営できるなら政治家はいらない」
☆「例えば『小沢幹事長は辞任すべきだと思いますか』ということを世論調査のたびごとに質問して、その都度、回答を引き出すのも、小沢幹事長へのマイナスイメージを有権者に定着させているのではないかと、自戒しながらやっている」
☆「小泉総理は2006年9月に辞めることが、かなり前からわかっていたので、1月から9月まで(世論調査で)『次の総理は誰がいいか』と聞き、いつの間にか安倍さんが断トツになってしまった。ある意味で、世論調査が作った総理だ。『次の総理は(という質問)』は本当に気をつけなければいけない」
☆「(質問の順番や、やり方により)数字を操作しようと思えばある程度のことは出来る。その意味で、世論調査はとてもおっかないものだ。それによって政局をつくることができる、あるいは、国民を一定方向に誘導することが出来るとさえいえる。世論はこう考えているから、政治指導者はこうすべきであるということはやってはいけない。
☆「社論に都合のいいような世論調査をしてはいけない。世論に迎合した社論もつくってはいけない」
☆「経済や外交問題などの難しい質問をしても、昔だったら、うーんとすごく時間をかけて『分からない』という答えが多かった。最近は考えもしないで『賛成だ』『反対』だと軽やかに回答が返ってくる。自分の意見を答えるというよりも、今こう答えるのが正解かなと、ノリで調査に応じているのではないかと思う。『世論』が劣化している」****
固定電話を対象にしたRDD電話調査では、携帯電話を利用する人の意見を聞くことができないので、「偏った世論」になる。外注もできるので、調査の操作は可能である。しかも回答率は、かつては、80%前後なので、調査に信頼性はあったが、最近の世論調査の回答率は60%程度で、今回の朝日も60%である。「偏った世論」を分母にした調査自体に問題があるばかりでなく、40%が回答を拒否した調査には、正確さ、信頼性そのものに疑惑と恣意性を感じる。
TBSの58%に至っては「調査」とよぶに値しない、TV のクイズ番組なみのものである。それを、恥ずかしげもなく一面のトップ記事にする、あるいは電波に乗せる神経が理解出来ない。一つの参考情報として、紙面の片隅に載せればいいものである。にもかかわらず、「わが社の世論調査」こそ「民意」だと大上段に振りかざし、これを理解出来ない議員や党員・サポーターは「民主主義の敵」だと言いたげである。
戦時中、軍部の意向に従って「挙国一致」を強制して「鬼畜米英」「聖戦」「欲しがりません、勝つまでは」と煽ったのと、まったく同じやり方だ。
朝日新聞の度重なる変節は見苦しい。戦前、軍部を批判していた「朝日」は、満州事変を境に、戦争を阻止するどころか、軍部官僚と一体になって戦争を美化し、軍部に批判的な多くの良識人の言論を封じ、挙句の果てに、国民を悲惨な目に追い込んだA級の戦犯である。
戦後は「革新の風潮」に便乗し、反米・反権力の「知性派」のメディアとして君臨した。しかし、東西冷戦構造が崩壊し、自民党の長期政権が半永久的に続くと見立てるや、軸足を「親米」「親自民党」に移し、「霞ヶ関」の擁護者になった。「普天間」では外務官僚に協力し、アメリカの世界戦略の広報・宣伝を担当した。
読売、毎日などほとんどのマスコミも同罪である。菅総理は官僚の抵抗に屈して、「消費税」と「予算編成」で、「霞ヶ関」と手を結び、「日米対等外交」を放棄し、「対米従属外交」を容認した。政権交代の意義をないがしろにしたのである。マスコミはそれを是とした。「霞ヶ関」もマスコミも、現在の政治、行政の仕組みを変える指導力、決断力も実行力もない「リーダーシップ欠落の総理」なら、誰でもいいのである。
東京、大阪の街頭演説会では「小沢コール」が沸き起こった。予想外の出来ごとに、マスコミはびっくり仰天し、「小沢陣営が動員をかけた」と言いつのった。演説を聞きに行った友人は「あれは動員して出来るものではない。地鳴りのように、地響きのように、地の底から湧きあがってきたものだ」と語った。小沢の叫びが庶民の魂を揺さぶったのである。時代を変えるのはマスコミではない。名もない庶民の怒りだ。
ところが、ネットの世界ではおしなべて、80%前後が「小沢支持」である。この違いはなにか。それは「今、こう答えるのが正解かな」と、マスコミの強い願望とマインド・コントロールの成果を反映する「世論」と、二人の候補の政策を読み、聞き、判断する「自立した個人」の判断に基づく「世論」との落差である。
政治、経済、外交について、2〜3分の電話調査で「イエス・ノー」を求めるのは無謀だ。それを、百も承知の上で「国民を一定方向に誘導」するのは悪質な「世論調査ファシズム」である。
先日、友人の出版記念会で会ったある週刊誌の記者が「小沢のオーラが強いので、反対派も多いはずだ。だから、小沢攻撃の記事を載せると、売り上げが伸びると思って、『反小沢』の旗振りをしているだけだ」と語っていた。某政令指定都市の市議会議員の友人は「4年間、毎日のように街頭演説をしている。
鳩山辞任の時は罵声を浴びせられるなど、つらい毎日だったが、党首選が始まって以来、反応が180度変わった。半分以上の人が『小沢頑張れ』と激励してくれる」と語っている。私の住んでいる茨城県は12月に県会議員の選挙がある。今朝、土浦市選出の県会議員が暮れの県議選のために駅立ちをしていたところ、「総理は小沢だ」という声が多く「ナマの声とマスコミの調査とはだいぶ違う」と驚いていた。
マスコミの世論調査を全否定はしない。しかし、今回の「小沢を落とす」ための「調査数字」の暴力的といえる乱用・多用の異様さを指摘しないわけにはいかない。再び言おう──「マスコミは日本をどうする気だ」と。今、日本人の心をジワジワと蝕んでいる「世論調査ファシズム」は、結局のところ、小田実が三十年以上前に予見した「民主(の衣をまとった)ファシズム」に通じるからである。
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