★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK94 > 320.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
「国民の生活が第一」と日本的自然 - 「古い利益誘導の政治」の言説(世に倦む日々)
http://www.asyura2.com/10/senkyo94/msg/320.html
投稿者 black9 日時 2010 年 9 月 07 日 16:50:50: gWkPHV3D8TzCo
 

「国民の生活が第一」と日本的自然 - 「古い利益誘導の政治」の言説(世に倦む日々)
http://critic6.blog63.fc2.com/blog-entry-372.html

高知遊説_1
昨日(9/6)、小沢一郎は高知県須崎市で街頭演説を行っている。須崎には国の重要港湾に指定された港があり、大型船が着岸係留できる深度と設備を持つ。慶応3年(1867年)、イカルス号事件の土佐談判はこの須崎港内の船上で行われ、8月上旬の数日間、須崎は日本史の大舞台となった。パークスとサトウを乗せた英艦バジリスク号、平山敬忠(外国奉行)と戸川忠愛(大目付)を乗せた幕艦回天丸、そして龍馬と佐々木高行を乗せた三邦丸が次々と入港して投錨。そこに藩全権の後藤象二郎が城下から到着、港内に停泊する藩船夕顔の船上で談判が行われる。

土佐藩の所有する艦船には、容堂の趣味で源氏物語の巻名が付されていた。他に、空蝉、若紫、横笛など。英土幕3者で行われた2日間の審議と交渉は決着せず、英水兵殺害事件が起きた現地長崎での再交渉へと持ち越しになる。その長崎談判の訊問の場で、若いサトウと龍馬が激突して息詰まる論戦の火花を散らした。この時期、大政奉還へと詰める政局の重要時期で、武力倒幕に突き進む薩長と龍馬との間に微妙な温度差が生じていた。6年ぶりに見る土佐の地の前で、龍馬は海上にあったまま上陸を果たせず、船内から権平に手紙を書き送っている。同じ8月の下旬、龍馬はようやく浦戸に入港、上町の坂本家に戻って一家団欒の時を過ごす。それが家族との永訣となった。このとき龍馬が運んで渡したライフル銃1300丁で、土佐藩は洋式軍を編成して戊辰戦争を転戦する。  

高知遊説_2
小沢一郎が朝10時過ぎに演説した「道の駅かわうその里すさき」は、中村に行く国道56号線と梼原に続く国道197号線が交差する地点に立地している。また、幡多方面に伸びなくてはならない高速道路の工事が、予算不足のため中断させられている先端の場所でもある。前に記事で紹介したが、国道197号線はいわゆる梼原街道であり、伊予に抜ける龍馬の脱藩ルートである。国道に沿って流れる新荘川は屈指の清流で、1970年代までニホンカワウソの生息が確認されていた。須崎の町は、以前は石灰石の積み出しなどで繁盛していたが、現在は寂れる一方となっていて、商店街は見るも無残な姿になっている。昨年11月、JR須崎駅前の道路沿いを通ったが、ほとんど廃墟の町と化していて、あまりの変わりように蒼然とさせられたことがあった。

廃墟のような沿道の家の塀に、3か月前に行われた総選挙のポスターが貼られたままで、糊付けした四隅の一角がはがれて晩秋の風にひらひら揺れ、荒廃した過疎の町の寂寥感をさらに倍加していた。そのポスターの顔は、安倍晋三の直参で、総裁戦時の安倍晋三への忠犬ぶりを買われ、論功行賞で大臣になった山本有二。仁淀川から西の高知3区で当選を果たしている。あまりに空しく薄寒い光景に言葉もない。中村と言えば、あの幸徳秋水の出身地だ。

高知遊説_3
小沢一郎は、この選挙戦を紺のスーツと赤のタイで闘っている。このカラーリングは、3年前の2007年の参院選のときのものだ。この配色バランスは「国民の生活が第一」をシンボライズするものである。紺と赤のデザインは、小沢一郎が代表に就任して変更したもので、その前の前原誠司の時代は黒と赤のカラーリングだった。現在の民主党のウェブを見ても、菅直人のカラーで修正が加えられているが、基本的には紺と赤のベースが生きている。菅直人の色は白。菅直人は脱小沢で民主党のシンボルカラーの基調を白に変えたが、このイメージは国民の中によく定着していない。

それは、7月の参院選で大敗したためであり、国民の意識の中に「国民の生活が第一」への印象と共感が強く根を下ろしているからである。その「国民の生活が第一」のイメージは、紺と赤の小沢一郎が緑の山間地をバックにして遊説する映像のときに、最も完成度の高い説得的なビューになる。紺と赤と緑。ミカン箱の上に立った小沢一郎が訥々と演説し、30人から40人ほどの過疎の村の人々がそれを靜かに聞く。私の記憶では、それは3年前の参院選で岡山県の山奥から始まった。その選挙戦で、代表の小沢一郎は一度も大都市の街頭に立たず、山奥の村々を選んで行脚を繰り返し、その姿をテレビ報道で流していた。この戦略は功を奏し、予告どおり小沢民主党は地方1人区で圧勝した。

高知遊説_4
あの頃の民主党のテレビCMは傑作が多く、驚かされもしたし、ずっと感動の余韻が残っているが、小沢一郎が山間部を歩く映像が入った一本が製作されていただろうか。あるいは、その映像の記憶はCMではなく、報道番組で流されたものだったかもしれない。選挙は7月だったので、山の緑は濃く、演説の前に立つ村人の高齢者は麦わら帽子をかぶっていた。その映像を思い返そうとすると、坂本冬美の『また君に恋してる』が浮かんでくる。いいちこのCMの映像と重なって、ノスタルジックでロマンティックな想念に意識が包まれるのである。

イメージの中核にあるのは、美しい日本の山河とそこで慎ましく暮らしている人々の姿だ。歌を作った兄弟は東京の出身だが、世代が上だから、日本的自然の情感というものが想像力の根底にぶ厚くある。感性の豊かさがある。日本的自然から感性が切り離された者は、あのような名曲を作ることはできないだろうと、そう思う。いい曲を作る感性と能力を失ったから、日本人は懐メロ(古典音楽)ばかりに浸る生活となり、とうとう懐メロという言葉さえ日常使われなくなってしまった。小沢一郎が歩いたような村が全国に無数にあり、それらの多くが限界集落となって存続の危機を迎えている。都会の人間は、「地方経済の疲弊」と言っても、それを言葉でしか分からない。一般論のフレーズでしかない。それがどれほど凄絶で、心を締めつけるものか、実感でわかることがない。

高知遊説_5
古舘伊知郎や一色清が小沢一郎を批判して言うフレーズに、「古い自民党の体質」とか「利益誘導の政治」がある。それが政治悪だとされ、それに対する敵対と反感が煽られている。昨年の民主党の政権交代は、「古い自民党の体質」と「利益誘導の政治」への決別だったと意味づけられ、菅直人や前原誠司こそが国民の要望を担った政治家で、政権交代の正統なのだと説明されている。無論、それは国民を騙すスリカエの論法で、国民多数が拒否した自民党の政治とは、小泉竹中の「構造改革」の政策路線に他ならない。田中角栄に代表される手法と政策を「古い政治」と呼び、小泉純一郎に代表されるそれを「新しい政治」と呼ぶのなら、昨年の選挙で国民が示した選択は、まさに「新しい政治」に対する否定だった。新自由主義が否定されたのである。

なぜなら、それを続ければ、国民の生活は苦しくなるばかりだから。収入は減り、負担は増え、仕事がなくなるばかりだから。古舘伊知郎や一色清の話を聞いていると、「利益誘導の政治」は悪いと批判するけれど、大資本や米国に利益誘導する政治は少しも悪くなく、それは「利益誘導の政治」とは呼ばれないのである。企業に法人税減税で利益を与え、病院経営や農園経営で儲けたい大資本に規制緩和で利益を与え、辺野古滑走路を米軍に与えることは、「利益誘導の政治」とは彼らは言わない。「バラマキ」とも言わない。地方に道路や病院を作ることは「利益誘導」だとして非難する。

高知遊説_6
田中角栄の当時の自民党政治は、確かに現在と較べて地方に分配を多くする政治だったと思うし、それは亀井静香や小沢一郎に引き継がれていると思うが、それがなぜマスコミの非難と攻撃の対象になるのか、私には納得ができない。自民党の高度成長政策の結果、日本は豊かになったのではなかったのか。自民党の「古い政治」の恩恵を受けて、現在の日本の経済と生活の水準があるのではないのか。それを壊したのが小泉竹中の「構造改革」であり、「新しい政治」で格差社会を作ったことで、地方経済は疲弊し、東京のみに資本が集中投下され、外資が儲けて潤い、労働者の賃金が切り下げられ、消費が冷えて内需が落ち込んだのではないのか。地方に対する政策資本の投下は無駄だとマスコミは言うが、私はそれは間違いで、地方経済を疲弊から救い、再起と振興を促すことで、内需全体を拡大することができると考えている。

「古い政治」は、地方を切り捨てない政治であり、暖かく護り育てる政治である。90年代からの「新しい政治」は、大都市居住者のエゴイズムを刺激し、「地方に税金を吸い取られている」と扇動して、多数者である都市住民に地方への嫌悪と反発の感情を根づかせた政治だった。本来、企業の本社が集中し、人口が集中する都市部に冨が集中するのは当然だ。だが、国家は地域を部分として構成している。心臓に集まった血液が肺で浄化されて全身に循環されるように、足や手は血液の生成や保全に関係ない器官だから、血液を送らなくてもいいということはない。

飯田泰之の経済理論などに代表される感性は、リバタリアニズムを特徴としていて、大都市住民のエゴイズムを積極肯定するところがある。  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2010年9月07日 18:06:51: 2kygrfHAsQ
その通りです。 多くの人に読んで貰いたい。

02. 2010年9月07日 18:21:02: XewUNtMAfI
ここに原点がある。

総理になっても

地方を忘れずに


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 コメントの2重投稿は禁止です。  URL紹介はタイトル必須
ペンネームの新規作成はこちら←  最新投稿・コメント全文ページ
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK94掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK94掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧