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2010年9月 6日 (月)
小沢一郎氏の「政治とカネ」問題研究第4回
「小沢一郎氏の「政治とカネ」問題研究第3回」からつづく
問題は、検察審査会がなぜ不可解きわまる決議を示したのかである。何が背景にあったのか。
三つの重要事実を指摘できる。
@検察審査会での審査に圧倒的な影響力を持つと考えられる審査補助員の選定に重大な疑惑がある。
A検察審査会の委員選任が無作為抽出と伝えられていたが、異なる実態があるとの疑いがある。
Bネット上で明らかにされたことであるが、検察審査会への申立人の属性に大きな特徴があり、審査申し立ての理由が極めて不当であるとの疑惑がある。
の三つである。
検察審査会の審査を行う審査員が一般市民であるということは、この審査員が法律の専門家ではないことを意味する。そうなると、審査会では審査補助員の弁護士および事務局が提供する基礎資料が決定的に重要な役割を果たす。一言で言えば、どのような審査が行われるかは、ひとえに審査補助員の選定にかかっていると言っても過言ではないだろう。
つまり、検察審査会事務局あるいはその委託を受けた弁護士会が審査補助員を恣意的に選定すれば、検察審査会の決定を誘導することが可能になるわけである。
小沢一郎氏に起訴相当の議決を示した東京第五検察審査会では、審査補助員に麻生総合法律事務所の米澤敏雄弁護士が選任された。本年3月25日に開催された麻生総合法律事務所の40周年祝賀会には自民党の谷垣禎一総裁が来賓として出席して祝辞を述べている。
また、米澤敏雄氏は検事出身、裁判官を経験した弁護士である。検察審査会が奇怪な議決をしている以上、米澤氏がどのような経緯で審査補助員に選任されたのかが明らかにされる必要がある。
第二は検察審査会審査委員がどのようなプロセスを経て選任されるのかである。「ラ・ターシュに魅せられて」様がこの問題について、興味深い記述を示されている。
内容を要約すると、例えば5人の検察審査会委員を選任するような場合、検察審査会事務局は無作為で100人ほどの市民を選出し、そのなかから面接等によって5人に絞り込むのだそうだ。
検察審査会事務局には検察や裁判所からスタッフがおり、この事務局員が審査委員を選任するのだという。つまり、無作為で選出されるのではなく、広い意味で「恣意的に」審査委員を選任しているということになる。
第三は、東京第五検察審査会への審査申し立て人が、「在日特権を許さない市民の会(「在特会」)会長の桜井誠氏(ニックネーム)であるとされていることだ。「在特会」は、達増拓也岩手県知事の言葉を借りれば、「外国人の権利に強く反対するという外国人排除的な政治運動を行っている」団体である。
「在特会」は幹部4名が8月10日、京都朝鮮第一初級学校(京都市南区)の周辺で拡声器を使い授業を妨害したなどとして、京都府警に威力業務妨害容疑などで逮捕されている。
ネット上のブログで検察審査会への申し立てを行ったことを表明している「在特会」代表の桜井誠氏(ニックネーム)は、ブログで次のような記述を示している。
「不起訴決定後、極力早く審査申し立てを行いたかったため、今回の申し立ては桜井一人だけで行いました。小沢一郎という巨悪を眠らせてはいけないこともありますが、外国人参政権実現のために誰よりも積極的なこの民主党大物政治家の動きを止めなければならないからです。一連の小沢ショックとも呼べる政局の中で、外国人参政権問題は一時期に比べてかなり下火になってきた感があります。しかし、同問題の中心にいる政治家が不起訴になったことで、またぞろ外国人参政権法案の国会上程を目指した動きが加速する可能性があるのです。」
つまり、審査申し立ての主たる動機が、外国人参政権法案に反対する点にあることが示唆されている。
検察審査会法第2条2項、30条は、審査申立は、告訴者、告発者、事件についての請求をした者、犯罪被害者(被害者が死亡した場合においては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)が出来る 定めているが、今回の審査申し立て人が、この要件を満たしているのかどうかにも疑念が提起されている。
上記桜井誠氏のブログには、
「検察審査会事務局では、審査申し立ての手続きについて説明を受けました。本来であれば告訴・告発人でなければ審査の申し立てはできないのですが、小沢一郎は国会議員という立場であり、なおかつ被疑事実も「政治資金規正法違反」という公金に関わる問題であるため、全国民が被害者という立場で申し立てを行うことができることを確認しました。(ただし、検察審査会側の判断によっては申し立てを却下する場合もあるとのことでした。)」
との記述がある。
検察審査会事務局のこの運用が正しいのかどうかについても疑義が提示されている。
マスゴミは、検察審査会をあたかも最終的な司法判断を下す最高機関であるかのような報道を展開している。しかし、検察審査会はそもそも検察庁の判断を審査する機関であって、事案に対する最終的な司法判断を示す機関ではない。
仮に検察審査会が二度「起訴相当」の議決を行い、公判による司法判断を得ることになったとしても、そのこと自体で白黒を判定することは間違っている。民主主義社会の大原則に「無罪推定原則」がある以上、万が一、起訴という事態が生じたとしても、「無罪推定原則」により被起訴者の人権を損なう言動は厳に慎まれなければならない。
本ブログ記事「小沢一郎氏の「政治とカネ」問題研究第2回」に記述したように、小沢一郎氏の資金管理団体「陸山会」の収支報告に刑事上問題になる要因はまったく存在しない。検察審査会の議決が審査補助員にどのような弁護士を起用するのかによって大きく左右されてしまう現状、ならびに検察審査会が重要事実を把握できていない可能性が高いことを踏まえて、検察審査会のあり方を抜本的に見直すべきであることは当然である。
マスゴミは「政治とカネ」問題を大きく取り上げておきながら、それぞれの問題の詳細を一切報道しない。検察審査会の審査補助員、申立人などの重大な疑惑を報道することもせずに、小沢一郎氏だけを集中攻撃している。マスゴミのこのような非合理的行動そのものが、「政治とカネ」問題をめぐる小沢一郎氏攻撃のいかがわしさを鮮明に物語っている。
このことを踏まえれば、「政治とカネ」をめぐる小沢一郎氏攻撃全体が虚構=「でっちあげ」であると判断せざるを得ない。政治謀略であると考えるのが順当である。小沢一郎氏の「政治とカネ」問題は、その全体が「政治謀略」によって人為的に創作されたものであると言って差し支えないと思われる。
「本シリーズ最終回の第5回」では、菅直人政権の陣容に見られる偏りについて言及する。
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