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SAFETY JAPAN
2010年 8月17日
「消費税増税」は当面不要。「一般政府消費支出」の「人件費2割カット」で「13兆円の財源確保」が可能。「民主党政権」は「消費税率引き上げ」より「公務員改革」を優先せよ!
■民主党は「やる」といったことをやっていない
このところ、政界では消費税増税論議が参院選前に比べて低調になっている。
やはり、菅直人首相の不用意(というか軽率)な発言によって民主党が参院選で惨敗し、「衆参ねじれ」を招いたことが大きく響いているのだろう。
それも、当然といえば、当然のことだ。
政府には消費税率を引き上げる前にやるべきことがあるからだ。
とりわけ、民主党政権にとっては、そうだ。民主党は自ら「やる」といったことをやっていない。
民主党は、参院選に向けた新しいマニフェストのなかで、昨年(2009年)の衆院選(総選挙)に続き、再び「国家公務員の総人件費を2割削減します」と書いた。
これは重大な文言だと私は考えている。
■「国家公務員の総人件費2割削減」に本腰か
振り返れば、民主党は政権獲得後、昨年の総選挙のマニフェストで掲げた「国家公務員の総人件費の2割削減」に関して目立った成果(実績)を上げていない。
にもかかわらず、今回の参院選のマニフェストでも同じ文言を盛り込んだのだから、好意的に解釈すれば、民主党政権はそれだけ本気だということになるのだろう。
そして、もし政府が本当に「国家公務員の総人件費2割削減」をやるとすれば、消費税増税論議がかすむほどの大きな財源を生み出すことができる。
後述するが、さらにそれと連動する形での地方公務員の人件費削減、および民主党政権お得意の「事業仕分けの精神」に基づく独立行政法人(独法)などの人件費削減も同様に行えば、当分の間は消費税率を引き上げる必要がなくなるほどの財源を捻出できるのだ。
もちろん、一般にそうした認識があるわけではない。
例えば、国家公務員の人件費削減には長い時間がかかる、と信じられている。
■新卒採用を抑制すれば若年層の就職難を助長
その背景には、国家公務員の人件費削減は人員削減を通じてしか行えない、といった考え方が根強く存在していることがある。
実際、政府は退職者を補充せずに新卒採用を抑制することで国家公務員の人件費を減らそうとしている。
しかし、そうしたやり方では時間がかかるだけでなく、新卒者の就職状況をも大きく悪化させてしまう。
ただでさえ大学生や高校生の就職状況は厳しいなかで、公的部門の採用を一気に絞ってしまえば、そのしわ寄せが新卒者に行くのはいうまでもない。
それでは、政府が若年層の就職難を助長するようなものだ。
そんなことをするよりも、政府が短期間に国家公務員の人件費を削減できる方法がある。
それは、国家公務員の給与水準を下げることだ。
■国家公務員の給与は大企業の給与と同水準
国家公務員法では、国家公務員の給与について、こう規定している。
「国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院において、これを勧告することを怠ってはならない」
この考え方に従って、人事院が民間給与を調査し、民間準拠となるように人事院勧告を出して、国家公務員給与を決めているのだ。
だが問題は、その調査対象だ。
人事院は現在、事業所規模50人以上の事業所だけを対象にして民間給与を調査している。
事業規模50人以上ということは、企業規模でいえば、ほぼ大企業だけを調査していることになる。
国家公務員の給与は事実上、大企業の給与と同水準になっているのだ。
■大企業平均と全体平均の格差の分だけ削減せよ
平成21年(2009年)の厚生労働省「賃金センサス」を見ると、企業規模10人以上の全企業の平均年収は442万円に対して、同1000人以上の大企業の平均年収は550万円である。
厚労省の賃金センサスでも規模10人未満の企業は対象外とされているから、規模10人以上の全企業の平均年収442万円は本当の国全体の平均年収よりも高くなっている。
また、企業規模1000人以上の給与は、国家公務員が準拠している事業所規模50人以上よりも高いと考えられる。
したがって、おおざっぱにいえば、賃金センサスにおける企業規模1000人以上と全体平均の格差は、公務員給与と民間平均給与の格差とほぼ同じと考えてよいだろう。
もし政府が「法の精神」に則るなら、国家公務員給与を賃金センサスにおける企業規模1000人以上の賃金と全企業平均の格差の分だけ、削減すべきなのだ。
■国家公務員と地方公務員の人件費は総額27兆円余り
賃金センサスにおける規模10人以上の全企業の平均年収(442万円)は、同1000人以上の大企業の平均年収(550万円)よりも、ちょうど20%低くなっている。
つまりは、法律(国家公務員法)の考え方どおりに、政府が「本当の民間平均の給与水準」に国家公務員給与を合わせれば、民主党のいう「国家公務員の総人件費2割削減」など、すぐにでも実現できるのだ。
一方、民主党からは、国家公務員の人件費は総額5兆円程度しかないのだから、たとえその総人件費を20%削減しても、それによって生み出される財源は1兆円程度に過ぎない、といった声も聞かれる。
ところが、国家公務員の給与が下がれば、当然のことながら、それに連動する地方公務員の給与も下がる。
財務省によれば、平成22年(2010年)の公務部門の人件費(国家公務員と地方公務員の合計)は27兆6000億円である。
■独立行政法人などの人件費も削減対象にすべきだ
これに、民主党政権が事業仕分けの対象にするなど「ムダ」の象徴と位置づけている独法などの人件費も加えてみてはどうか。
すなわち、公務部門の27兆6000億円に、独立行政法人の9300億円、国立大学法人の8900億円、特殊法人の2兆3600億円、認可法人の4200億円を加えると、総額は32兆2000億円に達する。
(ちなみに、各法人の人件費はいずれも山下栄一・参議院議員(公明党)の質問趣意書による政府回答に基づいている)
この総額32兆2000億円を20%カットすれば、6兆円以上(6兆4400億円)の財源を確保できるのだ。
さらに、総務省が中心となって関係府省庁の共同事業として5年ごとに作成する「産業連関表」の平成17年(2005年)版を見ると、もっと驚愕の事実が判明する。
■「一般政府消費支出」の人件費分は総額で約65兆円
「一般政府消費支出(公共事業以外の政府支出)」の総額は91兆円だが、そのほぼすべてを「公務(37兆円)」「教育・研究(17兆円)」「医療・保健・社会保障・介護(37兆円)」の3分野が占めている。
この3分野の人件費比率は、「公務」58%、「教育・研究」83%、「医療・保健・社会保障・介護」81%――。
したがって、おおまかにいえば、各分野の人件費は「公務」21兆円、「教育・研究」14兆円、「医療・保健・社会保障・介護」30兆円、と見ることができる。
そして、それらをすべて足すと、合計で65兆円になる。
つまり、一般政府消費支出のなかで人件費に向かうのは総額65兆円に達する、と考えられるわけだ。
その総額65兆円を20%削減すると、実に13兆円もの財源を確保できる。
■私学助成金のある程度のカットもやむを得ない
菅首相は参院選前に「消費税10%」に言及した。
消費税率を10%に引き上げて得られる財源が12兆5000億円といわれるから、一般政府消費支出の人件費分を2割削減することによって、それ以上の財源を捻出できるのだ。
その削減対象のなかには、私自身に関わりのあるものもある。
私はいま私立大学の教職に就いている。
私立大学の教員の給料というのは、その一部が国の私学助成金で賄われている。私が勤めている大学の規模はさほど大きくないが、それでも教員給料の1割程度が私学助成金から出ているのではないか、と思う。
つまり、私立大学の教員給料の一部にも税金が投入されているわけだ。
政府が公務員給与の削減に踏み切るのであれば、私はそうした私学助成金もある程度カットするのはやむを得ない、と考えている。
■「税金で食っている人たち」が痛みを分かち合おう!
要するに、こういうことだ。
もうこれ以上、政府が民間に「痛み」を押し付けるわけにはいかない。ならば、「税金で食っている人たち」が一律に痛みを分かち合う必要がある。そのコンセンサス(合意)さえできれば、消費税率引き上げと同規模の財政(歳出)カットを行うことができる――。
こう考えると、国家公務員の総人件費2割削減によって出てくる財源は1兆円程度に過ぎないから消費税増税も必要だとする民主党のような考え方と、それを入り口にして「税金で食っている人たち」すべての人件費を一律にある程度カットすることによって消費税増税と同規模の13兆円程度の財源を生み出そうとする発想には、雲泥の差があることが分かるだろう。
私は、消費税増税を持ち出す前に民主党内でまずこういう議論をすべきだった、と思う。
そして、それが国を預かる「政権党」の覚悟だ、とも思う。
■一般政府消費支出の人件費をバッサリ削るべきだ!
そもそも、歴史的な政権交代のきっかけとなった昨年(2009年)の総選挙で民主党は、予算を根っこから洗い直す、といった趣旨の主張を行っていたはずだ。
ところが現実には、民主党政権はそれにほとんど手を付けていない。
はっきり言おう。
民主党政権は、「政治パフォーマンス」と揶揄されるような事業仕分けで個別事業費をチマチマ削るのではなく、特別会計を含めた国家予算を抜本的に洗い直すことによって一般政府消費支出のなかの人件費をバッサリ削るべきなのだ。
もちろん、そうなれば、(国家・地方)公務員に大きなしわ寄せが行くだろう。
しかし、そもそも公務員給与が「本当の民間平均給与」よりも高くてよいのか、といった問題もある。
■公務員のフリンジ・ベネフィットはケタ違いに大きい?
しかも、公務員の「フリンジ・ベネフィット(給与のほかに得られる利益)」は民間と比べてケタ違いに大きい、ともいわれる。
退職金もそう、年金もそう……。福利厚生なども含めれば、公務員は民間より格段に恵まれている。
実際、私は講演などで地方に行く機会が多いのだが、その際に地元の人たち(もちろん、民間人)から「公務員はいいよなぁ」という話ばかりを耳にする。
地方経済の疲弊が進むにつれ、給与の官民格差も拡大している、ともいわれる。
そうしたなかで、菅首相が参院選前にノーテンキに消費税増税などを口にしたものだから、民主党は地方で惨敗したのだ(1人区での負け方を見れば、そのことは明らかだ)。
民主党政権は、消費税増税をいう前に、まず公務員改革を優先して行うべきではないのか。
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