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代表選告示後初の週末となった4日、菅直人首相(63)と小沢一郎前幹事長(68)が東京・新宿駅前でそろって初めての街頭演説会を行った。菅首相は演説直前に、かつての師、故市川房枝さんの「記念会」を訪れたことを明かし「私の政治の原点を忘れず、しっかり頑張り抜く」と原点回帰宣言。「お役所のための行政を根本から変えなければならない」と訴えた。一方の小沢氏は新宿に続き、池袋でも街頭に立つなど精力的な動きで「私は結果を出す」と菅氏との違いをアピールした。
上着を着用し、きっちりとネクタイを締めた小沢氏に対し、菅首相はノーネクタイに白シャツを腕まくりしたラフな姿で登壇した。候補2人そろっての初街頭演説。マイクを握った菅氏は「外交や防衛は中央政府がやるが、維新前に、長州藩や薩摩藩などがやっていたような仕事はすべて地方自治体に移す分権革命。そして官僚、役所のための行政を根本から変えていくこと」。自ら「日本を元気にする薬」と題し、政策を訴えた。
“百戦錬磨”のライバルを意識してか、初心と市民目線を強調した演説だった。出だしではまず、直前に会場近くにある「市川房枝記念会」を訪問したことを報告。「市川先生の選挙責任者を務めたのが私の政治の原点。市川先生の遺影の前で、政財界の癒着問題に対し、原点を忘れずに頑張り抜くと誓ってきました」と話した。
1974年、政治と浄化を訴え、婦人参政権の獲得などに尽力した市川氏に共感し、市民運動家として参院選に担ぎ出した。これがきっかけになって、自らも議員を目指し3度目の挑戦で初当選。その後、議員生活30年で総理にまで上り詰めた。「カネも地盤もなくても、志があって努力をすれば誰でも首相になれることを示せた」と胸を張った。
菅氏はこの日昼過ぎに訪れた同会で、展示室などを見学した後、来場者用の感想ノートに「市川先生の思いをこれからも大切にしていきます」などと書き込み、「内閣総理大臣菅直人」と署名。知人でもある記念会理事から「また書けるといいですね」と激励を受けたという。「(理事から)『市川先生が生きていたら喜んでくれた』と言われ、大変心強い思いをした」と決意を新たにし、演説に臨んでいた。
また、かつての薬害エイズでの功績もアピールした。「厚生相時代に取り組んだ薬害エイズ事件も、私にとってもう1つの政治の原点。(当時のように)官僚の壁を打ち破り、国民のための行政を実現する」。しかし、そんな菅氏の原点回帰宣言に対し、聴衆からは「昔話はいいよ」「もっと具体策を示してくれ」などのヤジが飛んだのも現実。5日は大阪、9日には札幌で演説会を開く。14日の投開票まで小沢氏との熱い戦いは、まだまだ続く。
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