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民主党代表選挙は、二転三転した挙句、結局菅直人首相と小沢一郎前幹事長の一騎打ちとなった。告示日の前日(8月31日)に、菅・小沢会談が決裂。30日の段階では、むしろ小沢不出馬の流れとなっていたが、「菅氏の心変わり」(鳩山由紀夫氏)によって、またも一転して全面対決となったらしい。その経緯は、これからの選挙戦で明らかになるはずだが、経緯そのものも選挙に少なからず影響を与えるだろう。
菅首相は「鳩山氏は小沢氏を支持しない」と甘くみていたのではないか
どうやら消費税発言と同じように、菅首相には、大きな勘違いや判断ミスがいくつもあったようだ。
(1)「政治とカネ」の問題を抱え、3ヵ月前に辞めた小沢一郎氏が、代表選挙に立つはずがないと思い込んでいたのではないか。
(2)万が一、小沢氏が出馬した場合でも、鳩山氏が全面支持に回るとは考えていなかったのではないか。
(3)世論調査で示される「続投支持」が積極的支持と錯覚しているのではないか。これは(1)自民党を復活させたくない、(2)小沢氏を復権させたくない、(3)首相がころころ代わるのはよくない、という消極的支持に過ぎないから、「世論は菅氏の味方」と断言することはできない。
(4)世論が反小沢だと、民主党議員、特に若手は、小沢氏を離れると思っていたのではないか。比較的世論の動きに敏感な党員・サポーター票は、菅氏支持に流れると甘く見ていたのではないか。その勘違いのたびに菅氏の態度は強気になったり弱気になったりして迷走した。
菅首相に大きな衝撃を与えたのは、やはり鳩山氏が小沢氏の味方であったこと。おそらく、小沢・鳩山両氏を結びつけたのは、菅首相特有の「あざとさ」だろう。2人は、菅氏に対する深い不信感を共有しているのではないか。
激しい選挙戦による「本格的な民主党」誕生を期待する
この代表選の期間は、2週間と異常に長い。血で血を洗うような権力抗争に発展する恐れもある。民主党にとっては深刻な事態であろう。しかし、私はあえて激しい選挙を期待し、歓迎している。激戦となれば、今までの菅氏の政治的軌跡が白日の下にさらされる。小沢氏の場合も同じである。
そして、民主党のメッキをはぎ、膿みを出し尽くすことも期待できる。2週間という期間は、刀折れ矢尽きるまで戦うほど長いのである。そして、その中から、今までとは異なる本格的な民主党が生み出されるかも知れない。そうなれば、今回の代表選も「禍を転じて福となす」ことができる。
小沢氏は、「百術は一誠にしかず」と言っている。菅氏に対する精一杯の皮肉だろう。菅氏も続投しようとするなら、政略や術策を捨てて「一誠」を本気で心がける必要がある。世論の目は節穴ではない。
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