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正論の文字が虚しい。泣いている。
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http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/435632/
【正論】
民主党代表選挙は菅直人首相と小沢一郎前幹事長の一騎打ちとなった。事前に話し合い調整の動きがあったが、決裂した。決裂した原因はまだ表面化していないが、小沢氏側が幹事長職への復帰を求めたのに対し、菅氏側が拒否したというのが真相だろう。かねて菅陣営には、民由合併の際、30人だった小沢グループが160人を誇る軍勢に成長したのは「党のカネで私兵を養成したからだ」という強い不快感がある。
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記事本文の続き ◆政治とカネに頬かぶり
代表選が裏の人事の駆け引きなしで争われるのは結構だが、そもそも3カ月前に辞任した小沢氏が代表選に出る資格があるのか。辞職の原因となった「政治とカネ」について、小沢氏は何ら弁明責任を果たさず、頬かぶりしたまま代表選に出ようというのである。その恥知らずな政治行動に強い憤りを覚える。また、この任期をもって政界を引退すると明言した鳩山前首相が小沢氏を推す理由は「自分を総理にしてくれた恩返し」だという。下劣な発想だ。
各種世論調査では、菅氏の続投は8対2ないし7対3で支持されている。菅氏の業績があったわけでもなく、手腕が期待されているわけでもないが、国民世論は漠然とそれが道理だと考えているのだろう。小沢氏については政権獲得までは賞賛されたが、その後の独裁的な党運営や子分を増やしているが如き政治資金の運営について党内には憤りがある。議員の小沢支持は半分以上に達しているといわれるが、小沢氏の独裁手法を再び望む者は少なかろう。どのぐらいの小沢離れが進むか見ものだ。
菅氏も小沢氏も思い起こしてほしい。
民主党が昨年の衆院選で大勝したのは(1)脱官僚(2)天下り根絶(3)生活第一−のマニフェストに国民が共感したからだ。
◆国家経営の見地もなく
なぜ、脱官僚が必要なのか改めて説明する。
日本の官僚内閣は全国に98の空港を造ったが、肝心のハブ(拠点)空港が存在していないという馬鹿げた結果に責任を取らない。成田に着いても乗り継げるのは日本の4つの地方空港だけ。韓国の仁川空港に着くと日本の36の地方空港に行ける。日本のハブは事実上、仁川に取られたのである。
1980年、神戸港は釜山港の2倍の貨物量を扱った。それが2008年には、釜山港は東京、横浜、大阪、神戸の4港の合計を上回る貨物を扱っている。日本の港が敬遠されるのは、港湾業務の効率の悪さ、内航海運の運賃の高さなどが原因だが、この種の業界団体は日本に2000もある。それぞれ団体の専務理事は天下り役人に占められ、業界の活性化を阻んでいる。天下りがはびこる結果、「国家経営」という観点が失われてしまう。
建設業には国交省の天下りがワンサといるが、そのせいで建設業界には談合が絶えない。その原因は天下り問題と不可分なのだ。無駄金を発生させているだけでなく各種産業の活性化を妨げている。
財務省は補助金の配分、調整機能を持っているが、国家経営の見地はない。昨年、高速道路が飽和状態となり、道路特定財源、5兆4000億円が一般財源化された。一方で、医療費は2200億円が削られた。財務省には、余った道路財源の25分の1を厚労省に回す力はない。牢固たる各省割拠主義を破れないのだ。
そこで、官僚支配から脱するために考え出された方法が、財務省の主計局の機能を持った「国家戦略局」を首相直属の機関として設置し、そこを政治家が握るというものだ。政治家が握れば、国家的発想で財政を動かし、各省割拠主義も打破でき、責任も取れる。
これと合わせて、幹部約600人の人事権を内閣が握り、各省をまたいだ人事運用を行うための「内閣人事局」を設置する。
◆2大公約とも骨抜きに
民主党政権は「政治主導確立法案」の中に国家戦略局を盛り込む一方、内閣人事局設置のための国家公務員法改正を国会に提出したが、まだ成立していない。この「脱官僚」構想の案は、安倍晋三政権時代に生まれ、みんなの党が引き継いでいるが、民主党案は骨抜きの骨抜き。これで政治主導が確立できるとは思えない代物だ。
民主党政権は鳩山、菅の2代にわたって重大公約の2つとも果たさず、6月には「国家公務員退職管理基本方針」の名の下で、天下りの自由を保障した。さらに「官民交流促進のための諸措置」が打ち出された。これは、これまで禁じられていた審議官クラスまで民間に出向してもいいという趣旨だ。
これらはすべて財務省が主導して、新たに作られた規則である。それに従えば、天下り根絶どころか、財務省がカネと人事を支配する巨大な権限を握ることになる。
菅首相は、自分と野田財務相、仙谷官房長官、玄葉政調会長の4人で国家戦略局の役割を果たせばいいと考えているようだが、問題は人ではない。組織を確定しなければ、改革は元の木阿弥になる。民主党は存在意義を失っている。(政治評論家・屋山太郎)
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