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小沢氏代表選出馬、私は真夏の夜の夢の中
大谷昭宏 2010年08月31日00時00分
http://news.livedoor.com/article/detail/4983521/?p=2
9月の声を聞くようになっても、この猛暑。寝苦しい夜、眠りが浅かったせいか、こんな夢を見たような気がする。果たして夢だったのか、はたまた現なのか――。
197X年、東京地裁の法廷に若い自民党の衆院議員の姿があった。後に40代の若さで党の幹事長になり、その後、党を作っては割り、作っては割り、やがて野党第一党を裏からあやつり、とうとう政権交代を果たす小沢一郎である。法廷で目の前に立つ男こそ、彼が師と慕い、匠と仰ぐ、元総理、田中角栄である。
もちろん事件は言わずと知れたロッキード事件。事件の詳細はここで記す必要はなかろう。日本の憲政史上初めて総理経験者が手錠を嵌められ、法廷に立たされた事件である。だが、傍聴席で小沢の胸に去来していたのは、田中の罪状、闇将軍と呼ばれた男の暴かれて行く金権体質ではない。働きながら夜学に通い、一国の総理にまでなった男に対して官僚、そして官僚上りの政治家が国家の暴力装置、検察権力を駆使して仕掛けた罠のおどろおどろしさだった。
爾来、小沢は田中が最高裁に上告中、無念の死を遂げるまで、東京地裁、東京高裁のすべての公判を傍聴する。田中角栄裁判を1回も欠かさず傍聴した国会議員は小沢一人である。その田中失脚後、小沢は寵愛を受けていた金丸信がやはり、検察権力によって奈落の底に落とされて行く姿を目の当たりにする。そしてその後、彼自身が常に検察のターゲットになる。政治とカネが問題になるたびに、彼の名前はその代表選手のように取り沙汰されるのだ。だが、検察の捜査は、彼の身柄を押さえて田中のときのように訴追、公判までには決して持って行かない。メディアの目には、それは検察の力不足に見えるのだが、彼はそうは思わない。捜査はいつも寸止め。それはまるでネコがネズミをなぶり倒して、飽きたらそこらに放り出して世間にさらしているように見えたのだ。
その間、彼が何度も何度も読み返していたのが憲法75条である。そこには「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため訴追の権利は、害されない」とある。なんのために彼がこの条文を熟読していたのか。たとえて言えば、碁打ちの彼がここになぜ、ポーンと白の石を置くのか、誰もわからなかった。
実は彼なりの深慮と遠謀があったのだ。
そして2009年、いままでネコのようにして彼をいたぶっていた検察が、いよいよ牙を剥いた猛獣となって狂ったようにこの男に襲いかかってきた。検察が頼りしてきた保守体制、55年体制が、政権交代で音を立てて崩れ落ちそうになったときだ。まず総選挙前に検察は彼の秘書を逮捕、立件、衆院選の投票日に合わせるかのように、この秘書を公判に引っ張り出した。だが、これは検察にとって予期せぬ逆バネになってしまう。国民の目には、この様は検察権力の悪あがきにしか見えなかったのだ。結果、裏で小沢が操っていた政党は歴史に残る大勝。検察がまっ青になったのは言うまでもない。あろうことか、検察はもっとも恐れていた権力構造の瓦解に己が手を貸してしまったのだ。このまま、すますわけにはいかない。
リベンジである。2010年、参院選を前に、もともとうさん臭いゼネコンを叩いてほこりを出させ、小沢の秘書だった衆院議員を逮捕。一気に小沢に駆け上がろうと、何度も小沢を引っ張る。だが、これは法曹関係者がそろって口をあんぐり開けてしまうほどのムリ筋捜査。当然、小沢の起訴なんて出来やしない。結果はもちろん不起訴。
しかし、これは実は痛み分けの側面もあった。政治とカネの喧しい世論の前に、ついに小沢は鳩山総理ともども屈辱の辞職、幹事長職という掌中の玉を失う。そして小沢抜きで菅直人が戦った参院選はボロ負け。民主党内に菅ではダメだの声が渦巻いてきた。
そう、いまこそ、なのだ。実は小沢が置いた白石がくっきりとその意味を示し始めたのだ。小沢はこのときを待っていた。菅を潰して総理になるのだ。なんとなれば、だれもが知っているように検察には、まだ奥の手が残っている。検察審査会である。
検審はすで1回、小沢の起訴相当を議決している。いま審議中の2回目の審査でも、前回が全員一致の起訴相当だったことからして、再び起訴相当となる公算が高い。2回、起訴相当が議決されたら、強制起訴、公判を開かざるを得ないのだ。
ここが小沢の勝負どころ。憲法75条である。内閣総理大臣も国務大臣の一人と考えるなら、2回にわたって検審が起訴相当を議決しようと、小沢が自分自身の訴追に同意しない限り起訴はできない。では、小沢は訴追に同意しないのか。とんでもない。小沢はこのときのために長い長い闘いを進めてきたのだ。訴追に同意して裁判に持ち込むのだ。ついに日本の憲政史上、初の総理大臣を裁く裁判が始まる。
とはいえ、天下の東京地検特捜が起訴することもできなかったムリ筋捜査。裁判所が有罪を言い渡すことなんかできるはずもない。1、2回、公判を開いただけで、あっと言う間に無罪を言い渡すに決まっている。いま、まさに、一国の総理大臣に対する検察の許し難い冤罪事件の構図が明らかになるのだ。
検察権力の議会制民主主義への挑戦である。国民の総意でその座にある総理大臣でさえ、冤罪におとしめる組織である。国民にどれほどの冤罪をおっかぶせていることか。国民を守るためにも、こんな組織をに温存させておくわけにはいかない。検事総長をはじめ検察幹部の人事は、憲法で内閣の同意人事と定められている。だが、小沢がこんな危ないことをしてきた検察幹部をそのまま、いまの座に置くわけがない。
雌伏40年、臥薪嘗胆40年、小沢はこの日のために政界を生き抜いてきたのだ。青ざめ、うろたえる検察幹部――。
と、ここまで書いて、まだ私は真夏の夜の夢の中にいる。果たしこれは夢か幻か、それとも現か。夢だとしてもまだ夢の続きがあるような気がするような、しないような……。
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