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2010年8月31日放送のTBSラジオ「ニュース探究ラジオDig」における、山口一臣氏(週刊朝日編集長)・神保哲生氏(ビデオジャーナリスト)・竹内香苗氏(TBSアナウンサー)の話を一部書き起こしました。音声は下記URLから入り、『「菅氏vs小沢氏!民主党代表選挙!」 をポッドキャスティングで聴く』をクリックすれば聞くことができます。当該個所は7:10あたりからです。
8月31日(火)「菅氏vs小沢氏!民主党代表選挙!」
http://www.tbsradio.jp/dig/2010/08/post-333.html
(書き起こしここから)
山口:[前略] 私、色んなところで、「政治とカネ」という言葉自体がインチキワードだというふうに、一人でキャンペーンをやっているんですけれども、確かに小沢さんの問題について、小沢さんが今回は表に出てくることになるわけですけれども、代表選に関してだけではなくて、特に代表選に出ることになってから、新聞とかを読むにつけ、必ず出てくる言葉がこの「政治とカネ」というワードなんですね。ここはやっぱり、政治とカネって私は問いたいのは、具体的に何を指しているんだと、政治とカネの問題っていったい何なんですかと。これに多分、正確に答えられる人ってほとんどいないと思うんですね。
僕、あるテレビ番組で、同じようなことを民主党の議員に対して聞いたんですよ。今、政治とカネっておっしゃいましたけれども、具体的にどういう問題なんですかと。そしたら、例えばですね、いやいやそれは、例えばいま検察審査会で問題になっている案件とか、色々あるじゃないですか、って言うわけですよ。案件とか色々あるじゃないですか、じゃないでしょ。一人の政治家の政治生命を断つかどうかという重要な話なんですよ。じゃあ、そのいまおっしゃいました検察審査会で議論されている問題、案件、いったい何なんですか、と聞きます。それに対して答えられる人って多分、ほぼいないと思いますよ。
正解は、今説明してくださった話です。平成16年に小沢さんの政治資金管理団体である陸山会が約4億円で土地を購入した件が、平成16年の政治資金収支報告書に記載されていなかった。いかにも悪いことをしたみたいですけれども、17年の政治資金収支報告書に記載されていたんです。
竹内:次の年に。
神保:ずれたってこと。
山口:ずれたってことなんです。平成16年の10月に、検察の認定ではそういう土地の取引があった。それが平成17年の1月に記載されていた。3ヵ月ずれてたってだけなんですよ。みなさん、よく冷静に考えて欲しいんですけれども、つまり帳簿に10月にあった取引が1月に書いてあった。3ヵ月ずれていた。全く書いてなかったら、それは問題かもしれません。しかし、ずれて記載されていたということが、私はそれが税金をかけて捜査をして、国会議員を逮捕して、処罰に値するような案件だとはとても思えないんです。思いますか。
竹内:そうですよね。
山口:ずれていただけなんですよ。これは町の不動産屋さんに取材すると、もう誰もが言いますけれども、どこが問題なのかまるでわからないと。つまり、土地に限らずマンションでも何でもいいですけれども、不動産の売買をしたことがある人は、私もマンションを買ったことがありますけれども、であれば誰でも経験するんですよ。つまり、じゃあ、その不動産を買ったというのは、いつの時点なんだろうと。神保さん、私にこの土地を売って下さい、私、買います。口頭で約束をしても民法上は契約は成立するんですね。その時点をもって取引の成立とも言えるし、契約書を交わした時であるかもしれないし、実際にお金を支払った時かもしれないし、もっと土地で言えば、その登記が済んだ時をもって取引が済んだと言えるかもしれないわけですよ。つまり、その取引のあった期間というのは、極めて曖昧なわけですよね。
神保:解釈だってことね。
山口:解釈のしようなんですよ。
[中略]
山口:誤解しないでもらいたいのは、私がなんで繰り返しこの問題を、こんなにしつこく言っているかというと、本当に、そのことよりも大事な議論すべきことがいっぱいあるだろう、ということをみなさんに気がついて欲しいということなんですよ。つまり、例えば具体的に言うと、消費税を上げる上げないという議論だってあるじゃないですか。菅さんは議論すべきだと言っているわけじゃないですか。小沢さんは、国民との約束だから当面は凍結だと言っているわけじゃないですか。そしたら小沢さんに聞くべきは、じゃあ、あなた財源をどうするんですかとか、当面と言っているということは将来は上げるんですかとか、そういうことをやっぱり聞いていかなきゃいけないと思うんですよ。それから日米関係をどうするんですかということだって、やっぱりそれぞれに問い詰めていきたいと思うわけですよ。
だけれども、それ以前にそもそも政治とカネの問題があるからとか、検察審査会の決議が出ていないからということが先に来ちゃうと、そこに行かないじゃないですか。せっかく小沢さんという政治家を、今まではわからないですけど、なんとなく2重権力とか、裏にいるとか言われていた人が、せっかく選挙というところで、表にあぶり出されて舞台に上がって来たわけですよ。そしたら、やっぱりそこでは私たちが問うたり聞きたいというのは、彼の考え方や政策であり、それに対して菅さんはどう考えているのかということであり、どちらが説得力があるのかということをやっぱり聞き耳を立てて聞いて、それで国民として、投票権はないですけども、ジャッジしていきたいなというのが気持ちなんですよね。そのために、私に言わせると、このインチキな政治とカネというのはものすごい邪魔なわけですよ。
神保:じゃあ逆に、政治とカネによって煙幕みたいになっていて、その向こうが見えないというのはその通りだとして、逆にそれによって小沢さんの理念というのが見えなくなっているという面があるとすれば、小沢さんの理念というのはなにか、山口さん的には評価すべきものというのは持っているんですか。
山口:違う違う。それを聞いてみたいから。
神保:まだそこまで行っていないということだね。話が行かないということだ、そこに。
山口:だから、早めにこういう煙幕は取っ払って欲しいな、という気がしてしょうがないです。
神保:生身の小沢一郎がよくわからないと、まだ。逆に言うと、それが邪魔しちゃって。
山口:そうです。
神保:つまり言いたかったのは、90年代の日本改造計画で非常に新自由主義的な政策というか路線を打ち出していた方が、今回の民主党代表の時のマニフェストを見ると、やはり明らかにそういう意味では、路線の転換というのを図っていると見られると。特にそれに対して、なぜそのような転換を図ったのかというような説明もなかったりするので、そうすると、逆に煙幕があるが故に実像が見えないけど、実像が見えないおかけで、小沢一郎さんのそうした面というものも、ちょっと嫌な言い方をすれば、化けの皮が剥がれなかったのかもしれないということもあり得るわけですよね。
山口:そうなんです。全くその通り。
神保:だから煙幕を取っちゃうと、なんだ小沢さんて実はこんなんだったの、ということもあり得るということですよね。
山口:もちろんそうです。だからそのためには、煙幕を早めに取っ払って、彼を晒さないといけないと思うんですよ。それは神保さんがおっしゃるとおり、小沢さんは剛腕でこの国難に向かうためにはあの剛腕が必要だとかということを、テレビでおっしゃっているような人たちもいます。小沢さんという政治家に関しては、色んな伝説めいたこととか、神話めいたことがあるんです。それは本当なのかということだって知りたいじゃないですか。
神保:そっちも一種のフィクションになっちゃってるんだね。政治とカネと同じように、そっちもフィクションになっちゃってる。
山口:だから、ひょっとしたら化けの皮かもしれないし、本物かもしれないし、わからないんですよ。ただ、それが化けの皮か本物かということを見極める前に、インチキな政治とカネという、しかも、今言われている陸山会の件にしろ、西松事件にしろ、これは単に検察が手柄欲しさというか、自分たちの自己利益の追求のために作り上げた虚構であることは、ほぼ間違いないんですよ。来週、全然違いますけど、郵政不正事件で村木厚子さんの判決が出るので、どういう判決が出るか、国民のみなさんはぜひ注目して欲しいと思いますけれども。
神保:大阪地検の特捜部ですけどね。でもこれもひどかったですね。
山口:検察がどういう仕事をするところかということが、はっきりわかると思うんですけれども、いずれにしても村木さんの事件と小沢さんの事件というのは、僕はコインの裏表だと思っているんです。あの時期になんでああいう事件を立件したかということは、全く理解できない。多分、そういう流れの中で作られたイメージや印象に煙幕を張られて、政策とか思想とか考え方とか、この国をどういう形に持って行くのかというところに議論が進んで行かないことは、私たち国民にとって全くの不利益なんで、そこの部分だけはとにかく払拭して欲しい。それで、小沢さんの化けの皮が剥がれれば、それはそれですごくいいことだと思うし。
[中略]
竹内:でもここまで伺って感じたのは、まずその政治とカネってすごい最近言われるけど、ぼんやりしていて、結局その先に議論が進んでいなかったことが、問題だったということは、そうかその先を考えていかなきゃいけないんだな、見ていかなきゃいけないんだなというふうに思いました。今回の代表選。
山口:だから、政治とカネっていう言葉を使う人がいたら、それは具体的にどういうことなんですか、というのを聞いてみるということだと思うんですね。
(書き起こしここまで)
[関連]
山口一臣(週刊朝日編集長)が小沢擁護論を展開。 文藝評論家・山崎行太郎の『毒蛇山荘日記』
http://www.asyura2.com/10/senkyo93/msg/407.html
Twitter / Shoko Egawa: それにしても、テレビ番組のキャスターたちは、小沢氏の名前を出す時には、
必ず「政治とカネ」ってつけないと、おさまりがつかないらしい。
http://twitter.com/amneris84/status/22619607510
郷原信郎氏からの緊急メッセージ。 文藝評論家・山崎行太郎の『毒蛇山荘日記』
http://www.asyura2.com/10/senkyo93/msg/462.html
続:小沢真っ白、100%冤罪、検察審査会に大打撃。石川・大久保・池田各氏も完全無罪−収支報告書を徹底
http://www.asyura2.com/10/senkyo93/msg/648.html
小沢氏代表戦出馬の深謀遠慮を読み解く - ニュース・コメンタリー - ビデオニュース・ドットコム インターネット放送局
http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/001527.php
公認会計士の目から見た陸山会政治資金事件―細野祐二氏(公認会計士)THE JOURNAL
http://www.asyura2.com/10/senkyo80/msg/580.html
[文化放送8/24] 山口一臣氏「岡田大臣は無罪推定がどれほど重いかわかっていない」「検察審査会は検察を審査するところ」
http://www.asyura2.com/10/senkyo93/msg/192.html
検察の不調の原因は? 検察は法執行機関の要として構造的、組織的な犯罪摘発のコーディネーターになるべき - 法と経済のジャーナル Asahi Judiciary
http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/fukabori/2010071900010.html
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