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人権派弁護士が生まれなくなる/司法修習生の給費制維持を
救援新聞 2010年9月5日号
給費制廃止に反対する司法修習生、若手弁護士でつくる「ビギナーズ・ネット」黒澤いつき弁護士に聞く
言論弾圧事件や、働く人の権利を守りたたかう未来の弁護士が破産寸前の多重債務者に――この11月から、司法修習生への給費(給与)制が廃止されようとしています。人権意識の高い人が弁護士、裁判官、検察官になれなくなるおそれがあります。この問題について若手弁護士や司法修習生などで組織する司法修習生の給費制維持のための若手ネットワーク「ビギナーズ・ネット」事務局の黒澤いつき弁護士に話をうかがいました。
――司法修習生とはなんですか?
弁護士、裁判官、検察官になるためには、法科大学院を卒業した後に司法試験に合格し、さらに1年間の研修を受けます。この最後の研修が司法修習で、修習生は公務員に任用されます。徹底的に研修させるため、この間の海外渡航は禁止され、アルバイトなどの兼業もできません。そこで、修習期間の生活費保障ということで、公務員の初任給程度の給料(現状23万円)が出ています。
研修期間は、裁判官や検察官、弁護士の横について実務を学びます。実際の事件の捜査にも携わり、逮捕された被疑者の弁解録取書を取ったり、警察に捜査の指揮をすることもあります。裁判の修習では、判決文の起案をしたりもします。事件記録を相当読み込まないと判決を書くことができないので、当然夜遅くまで残ることもあります。こうして司法実務の技術を徒弟制のように身に着けていくのです。
修習生の生活
破産ギリギリ
――給与が出ないと修習生は?
今年11月に給費制が廃止され、新たに貸与制(年間300万円を貸与)になります。しか
し、法科大学院に通う学生の半分以上が、学費を奨学金でまかなっていて、日弁連の調査では、教育ローンの額は平均320万円となっています。修習期間中にさらに借金を300万円上積みされるので、破産ラインを軽く超えてくる人もいます。しかも、生活レベルをギリギリまで下げてなんとか320万円に押さえているというのが実態です。
さらに修習生は全国に配置されますが、引越費用はすべて自費です。くわえて、弁護士事務所への就職活動のために都市に出て、交通費も自費です。これまで給与があったからやりくりできたわけで、無給となれば本当に悲惨です。
司法民主化に
不可欠な制度
弁護士や裁判官になるために、経済的リスクを背負うとなれば躊躇(ちゅうちょ)す
る人も当然出てきます。実際に法科大学院の入学希望者は、この7年間で5分の1に減っており、若い人たちが法曹という仕事に夢をもてない国になっていることは間違いないです。給費制廃止は、この流れに拍車をかけることになります。
お金持ちの人に人権感覚がないということではなく、お金がないと法律家になれないことのほうが問題です。刑事事件ほど「儲け」と直結しない、しかも重大な人権にから
む事件はありません。弁護士が冤罪事件・弾圧事件にすぐさま駆けつけられるのは、被疑者国選弁護等の近年の改革の成果もありますが、「基本的人権の擁護と社会正義の実現」という弁護士の本旨を忘れない情熱と、その情熱をいかんなく発揮できるだけの最低限の生活基盤があるからこそだと思います。冤罪・弾圧事件のみならず、公害事件、労働事件等々、重大な人権問題ほどお金とは無縁ですが、どんなに弱者に共感できる人権感覚を持っていても、自分が破産寸前などという緊張状態では、採算度外視の闘争に身を投じるだけの経済的・精神的余裕は残念ながら期待できません。「権利の守り手」である弁護士を失う国民の人権はどうなるのか、という重大な問題なのです。
司法試験で合格する人の大半が弁護士になります。いわゆる法曹三者の中で弁護士は、唯一「裁かれる側」に立ちます。国家権力と対立する立場ですから、権力にとって
は脅威なわけです。司法修習制度というのは、国家が自らと対立するものであっても国の予算で育てなければ司法の民主的発展はありえないという発想に立つ、戦後民主主義の財産です。給費制の廃止は、この発想を骨抜きにするものです。
――いま、どんな運動を。
私たちのネットワークは、現在約600人。司法修習生や若手弁護士を中心に、人づてで組織を広げています。法律家を目指す若者がかわいそうだからということにとどまらず、日本の民主主義の発展のための課題なんだということを訴えたいと思っています。
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<参照>
私たちは司法修習生の給費制維持を求めます!(ビギナーズ・ネット)
http://www.beginners-net.com/index.html
日弁連が取り組む重要課題/司法修習給費制維持を!(日弁連)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/special_theme/kiyuuhiseiizi.html
署名用紙はこちら ⇒
http://www.nichibenren.or.jp/ja/special_theme/data/kyufu_syomei.pdf
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【関連記事】
司法修習生の給費制存続を 高崎で弁護士らパレード(東京新聞)
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