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民主党代表選挙が小沢一郎氏と菅直人氏の二人で戦われることになったようだ。それ自体はそれでいいのだが、どうも菅さんは今の日本が直面している課題のことをよく分かってはいられないように見える。今日の立候補表明の記者会見でアフガニスタンへの補助金をNGOが引き出す手続きが煩雑だからもっと簡単なものにしたいと言われていた。こういったことの改善は、担当の官僚がその気になればいつでも改善できる。政治家、それも一国の首相であれば、もっと本質的な問題に手を付けることが出来るし、そうしなければいけない。 日本の危機とは、推定200兆円から300兆円以上にもなるはずの日本が保有している米国債をアメリカ政府が踏み倒す工作をしているはずだと言うことなのだ。以下、なぜそういうことが言えるか理由を述べる。 1. 日本は昭和40年代から米国債を大量に買ってきた。ある時期には発行された米国債の半分を日本一国で引き受けていた。1970年ごろから日本はアメリカに次ぐGDPの規模を誇り、世界第2位の経済大国として主に対米貿易を行ってきたのだから、米国債を大量に買ってきた歴史は40年ほどにもなる。仮に1年に5兆円の米国債を買ってきたとしても200兆円になる。小泉政権下では1年で10兆円以上の米国債買いを外国為替会計を使ってやったのだから、この200兆円という数字はかなり控えめな数値だ。日本の多くの著名人が200兆円から300兆円は米国債を日本は持っていると明言している。 2. ところが、日本政府は、政府や民間部門が持っている米国債の量を公表していない。代わりに公表しているのが米国政府でその量は中国が持っている米国債と同じぐらいとされ、約70兆円とされる。中国が改革開放政策を始めたのはこの20年ほどだ。つまり、中国が対米貿易を大規模に始めたのもこの20年に満たない。しかも、中国がアメリカに輸出しているものはまだ多くは軽工業製品であり、金額的には安価なものが多い。つまり、中国は日本と同等に米国債を多額に買う動機がそもそもない。実際、アメリカ政府が公表している中国が持っている米国債の量は70兆円ほどだ。だから、中国が持っている米国債の金額としては70兆円規模でいいのかもしれないが、日本が持っている米国債の金額としてはあまりに少ないのだ。この10年ぐらいのアメリカの対日貿易赤字額は年500億ドルほどだ。つまり、毎年5兆円ほどの米国債が日本によって買われているはずで、このことから言っても、日本が政府部門や民間部門全体として持っている米国債の量は200兆円規模になるはずだ。 3. 仮に200兆円の米国債を持っているとして、その利率が3%だとすると、年に6兆円が利子として入ってくる計算になる。利率が2%としても4兆円であり、かなりの金額だ。米国政府が言うとおり70兆円だとしても、年に1兆円以上の利子収入があるはずだが、米国債からの利子収入という報道はほとんどない。自分が読んだ記憶があるのは数か月前一度あるだけで、しかもネット上での記事だ。紙媒体の記事ではない。税収不足が恒常化しているのに、なぜ、米国債からの利子収入が話題に上らないのか、非常に疑問だ。 4. 太平洋戦争において日本は敗戦国でありアメリカは戦勝国だ。戦勝国が敗戦国にさまざまな賠償を求めるのはごく普通のことだったが、アメリカやイギリス等は日本に対して賠償を求めていない。だから、その代わりとして何らかの利権を要求した可能性は強くある。多分その一つが日本政府及び日本企業による米国債購入だったのではないだろうか? 5. 1980年代から日本の所得税は極端と言っていいほど減税されている。所得税の最高税率は75%から40%へ下がった。その結果、現在の財政赤字定着があると言っていいほどだ。なぜこれほどまで日本政府が税収増に消極的だったかと言えば、一般市民が税金の使い道や政府資産の在り方に関心を持たせないためであったとしか言えない。既に1970年代には巨額な米国債資産を日本は持っていたはずで、それが単に積みあがっているだけになっていることへ疑念を抱いたり、または、米国債につく利子収入がどうなっているかと調査したりする一般市民が出ないように、税の値上げが言い出せなかったはずだ。 6. 同様に日本が持っている米国債から意図的に目をそらさせていたと思えることがある。それが大阪や東京で大地震が起こった時に、その被害が50兆円を大きく超え100兆円規模になるとされるのに、その経済的被害に対してどう対処するかの方策が全く公開されていないことだ。こちらも、その話をすれば当然日本が持っている米国債を売ると言う話になり、いったいいくら米国債を持っているのか、利子収入はどうなっているのかなどについて触れざるを得ないからだ。 橋本龍太郎総理は1997年、米国債の売却を口にだし、その結果、さんざん週刊誌などで中傷を受けた。あのころに比べると現在は何倍も米国債の量は積みあがっていて、もし米国債がある程度多量に売りに出されたら、その影響は計り知れないほど大きくなるはずだ。 今、日本は数年以内に確実に財政破綻すると言われている。その時、日本が保有する米国債をどうするか、それが問われるだろう。最もあり得るシナリオは、単に米国債を持っていることを隠ぺいしてしまうことだ。つまり、在外資産を持ってはいるがそれを使うわけには行かないと言う世論つくりをやって、財政赤字のつけを日本国内に押し付けるわけだ。多分、その結果は、年金制度・国民健康保険制度の破たんという形をとるはずで、現在の生活保護制度がかなり多くの非受給者を作りだし、彼らが多くの場合行き倒れなどの形で犠牲になっているが、それと同じようなことがもっとずっと大規模に起こるだろう。 ただ、こういった政策は非常に多くの抵抗を受けるはずだ。民間企業、特に金融機関も多くの米国債を持っているはずで、彼らが保有している米国債を売りに出さないのはとても不自然なことだ。だから、そのことを指摘する人たちは多く出てくるだろう。そうであれば、話は政府部門が持っている米国債にも波及し、さまざまな問題が表面化するはずだ。 つまり、今首相の立場につく方は、数百兆円にもなるはずの日本が持つ米国債を巡って、そのつけを日本の一般市民に押し付けるのか、または、それ以外の政策をとるかのか、それが問われているのだ。2013年までには必ずかなりの規模で財政再建をしなければいけない。そしてそれが単なる税制改定で終わってしまっては、将来もっと大規模な米国債踏み倒しという事態に日本は直面することになる。菅直人氏はこれらのことを理解されているのだろうか? なお、自分は菅直人氏を非常に優れた政治家だと思っている。一介の市民運動家から首相になったその過程の努力は大変なものがあったであろうし、エイズ薬害事件での活躍は特筆すべきものだ。ただ、今回のような問題には、あまり向いていないように感じるのだ。より政治の裏側を知っている、ある意味百戦錬磨の経験がある小沢一郎氏の活躍される場ではないかと思う。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<134>>
菅直人氏に日本の本当の状況が分かっているのか?
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