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民主党代表選挙とは何か (田中良紹の「国会探検」)
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2010/08/post_230.html
英国のように政権交代を繰り返している国の政党は、国政選挙に勝利した党首を党首選挙で交代させる事はしないし、その逆に国政選挙で負けた党首をそのまま続投させる事もしない。政党は国民の投票の結果を受け止め、それによって党首選挙をやったりやらなかったりする。
保守党のサッチャーは14年間、労働党のブレアも13年間党首の座にあった。その間に国政選挙で勝利し続ければ党首選挙は行なわれなかった。党首選挙が行なわれるのは、党首が死ぬか、辞任するか、選挙に負けるか、党内の一定数が要求した場合である。
ところが「民主主義もどき」のこの国ではそう考えない。国政選挙と関係なく党則で決めた任期に従って党首選挙が行われる。中選挙区時代の自民党には5つの派閥があり、その領袖を次々総理に就かせる必要があったから2年ごとに総裁選挙をやった。「歌手1年、総理2年の使い捨て」と自嘲しながら、しかし自民党単独政権時代にはそれが総理を決める唯一の選挙であった。
今も自民党は3年、民主党は2年ごとに党首選挙をやる決まりになっている。そして困った事に小泉総理を誕生させた2001年の自民党総裁選に国民が熱狂した。国民が参加しない、つまり国民主権と関係のない選挙に国民は熱狂したのである。それに味を占めた自民党は自民党総裁選挙をPRの道具と考えるようになった。
ここ数年、自民党総裁選挙には総理になるだけの経験を積んだとは思えない候補者がぞろぞろと出てきて、「口先三寸」の演説を新聞とテレビに連日報道させる茶番が繰り返されてきた。すると民主党にもそれを真似る議員達が出てくる。その連中は「国民に開かれた選挙」と言って、民主主義と関係のない選挙を民主主義であるかのように吹聴する。昔は自嘲気味に語られた「総理と流行歌手」が最近では本当に同レベルになった。
参議院選挙に敗北した民主党が代表選挙を行うのは当然である。国政選挙に敗北した党首がそのまま続投する事は民主主義の考えに反する。辞任をするか、辞任をせずに続投するならまず党内で信を問うべきである。それもやらずに続投させるのは民主党が国政選挙の結果を無視する政党だという話になる。
ところが代表選挙をやると党が分裂すると言う反対論がある。これは「私」の論理である。国民には関係のない話だ。第一、党首選挙をやると分裂するという政党は同じ政党である事の方がおかしい。党首選挙は次の国政選挙に勝つために党首を選び直す選挙である。その度に分裂するというならさっさと分裂してくれた方が国民のためになる。
しかも今回の民主党代表選挙は対立軸がはっきりしている。昨年の衆議院選挙で民主党が掲げたマニフェストを続けるか、やめるかという対立である。思い起こせば自民党の小泉構造改革は「改革なくして成長なし」と言い、@成長重視、A緊縮財政の路線を採った。強い産業をさらに強くすることでその利益を国民に分配するという経済政策だった。
ところが国民は利益の分配を実感できなかった。そこで3年前の参議院選挙に安倍政権は「成長を実感に!」というスローガンを掲げた。これに対して小沢民主党は「国民の生活が第一」を掲げ、それを具体化したのが昨年の衆議院選挙である。強い産業を強くして利益のおこぼれが国民に到達するのを待つ政策ではなく、税金を直接家計に注ぎ込む経済政策を打ち出した。それが「子供手当」、「農家戸別所得補償」、「高校の授業料無料化」などの諸政策である。
これに対して自民党は財源の裏付けのない無責任な「バラマキ」だと批判し、自民党が責任政党である証拠に消費税を10%値上げすると参議院選挙のマニフェストに書き込んだ。すると菅総理は自民党の政策を丸飲みし、「財政健全化」に政治生命を賭けると宣言した。つまり菅民主党は小泉構造改革と同様に@成長重視、A緊縮財政路線なのである。
従って民主党代表選挙はこの10年ほど日本が模索してきた路線対立の決着点になる。同時に政界再編の対立軸を作る選挙にもなりうる。小泉構造改革を支持する政治家は菅民主党と、小泉構造改革に反対する政治家は小沢民主党と手を握る事が出来る。実に意味のある選挙なのである。
それを「選挙で政治空白を作ってはならない」などというバカがいる。そんなことを言えばアメリカ大統領選挙は1年がかりで行われるが、誰一人「政治空白」を問題にする国民はいない。むしろそれだけ時間をかけてくれるから国民も国家の現状や進路に関心を抱くことが出来る。この選挙は国民が参加する選挙ではないが、この国の「分かれ道」を考える貴重な時間を国民にも与えてくれる筈である。
ところが昨夜鳩山前総理が菅総理と会談して「トロイカ」体制の確認を行ったことから、メディアは一斉に代表選挙回避と報道し始めた。しかし「トロイカ」体制を確認したからこそ代表選挙は行われると私は思う。党が分裂することなく代表選挙を戦うための「トロイカ」体制ではないか。選挙を回避したら政治が分かりにくくなるだけの話だ。
投稿者: 田中良紹 日時: 2010年8月31日 17:58
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