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日刊ゲンダイ
2010/08/30 掲載
民意を勝手に作り上げる大マスコミ世論調査にダマされるな
何もしない管内閣の支持率が大幅(9.4ポイント増)アップ
世にも奇妙な現象が起きている。小沢前幹事長の民主党代表選出馬表明を受けて実施した大マスコミの緊急世論調査で、管内閣の支持率が大幅に上昇しているのだ。
共同通信調査(27、28日実施)では、内閣支持率は前回(7、8日実施)より9・4ポイント増の48・1%。不支持は8・6ポイント減の36・2%だった。この調査では、「民主党代表に誰がなればよいか」との設問もある。
その結果は菅が69・9%で小沢の15・6%を庄倒した。
その後、毎日や読売がほぼ同時期に実施した調査結果を発表したが、いずれも同じような結果となっている(読売は内閣支持が10ポイント上がって54%まで上昇。毎日は「首相にふさわしい」の設問で、管が78%だった)。
ちょっと待ってほしい。
首相就任から2カ月半。消費税増税発言で参院選に惨敗、執行部はその責任も取らなかった。
円高・株安、雇用悪化の日本経済を取り巻く最悪状況にも有効な手だては何ひとつ打ち出せていない。
そんな内閣の支持率がなぜ上がるのか。支持する理由をみても納得がいかない。「首相を信頼する」が17・9%で、前回よりも6・1ポイントも増えているのだ。
何もしない首相の信頼がなぜ上がるのか。この珍現象を、世論調査の内情に詳しい明大教授の井田正道氏(計量政治学)はこうみる。
「2005年に小泉内閣が郵政解散を打ち出したときと同じ状況ですね。当時も郵政民営化とこれに反対する造反組という対立図式をつくり、解散に踏み切ったところ、ある新聞の調査で支持率は9ポイントも上がったのです。今回も菅内閣の実績ではなく、管vs小沢という対立構図に目が向いてしまった。その結果、小沢アレルギーの強さが管内閣の支持率アップをもたらしたのです」
政権の実態を反映した結果ではないということだ。
「代表(首相)に誰がふさわしいか」という設問も疑問だ。まだ、正式な出馬会見をしたわけでもなく、第3の候補が出るかもしれない。そんな時期に緊急調査を行い、管が圧倒している印象を与えているのだ。
「これまでの世論調査からアンチ小沢の数値が高く出るのは十分予想できる。緊急調査そのものに政治的な思惑があると見られても仕方がない」(メディア関係者)
民意はつくられている──。そうとしか思えない調査結果である。
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