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2010年08月31日
以下に「共同通信」配信の菅・鳩山会談後の共同会見全文を掲載します。
筆者の感想等は後述しますので、お時間の許す方は一読いただければ幸いです。
「共同通信:菅・鳩山会談全文」
民主党代表選をめぐる30日夜の菅直人首相と鳩山由紀夫前首相の共同会見の全文は次の通り。
記者 よろしくお願いします。
鳩山前首相 「私の方から先に申し上げます。先ほど、菅総理とお話をいたしました。ご案内の通り、経済的にも円高などで大変急がれている。こういうときにこそ、党内、挙党態勢を築くことが大変重要である、ことを申し上げました。挙党態勢とは何かを申し上げれば、小沢先生が加わられてから、いわゆるトロイカ体制で今日までやって参ったと。その原点に立ち戻ることが、挙党態勢大変重要ではないかなと。ぜひ、そのことをご理解頂いて、菅総理としても、挙党一致の中で、しっかりとした仕事をしていただけるような環境をつくるために、今こそ、党内一致結束した姿を示すことが大事ではないかということを 申し上げたところでございます。 総理も基本的にその気持ちを示されましたが、そのことは、ご本人から申し述べて頂ければと思います。そして、そのもとで、もしそのことが確認されればということであればと、挙党態勢でいこう、すなわちトロイカ体制というものを重視していこうということであれば、明日、私が責任を持って、菅総理と小沢一郎先生との間の会談の仲介を取りたいと申し上げたところであります。以上です。」
菅首相 「鳩山前総理から、何度にもいろいろご苦労頂きまして、ご足労いただきまして、今の日本の状況、あるいは民主党の状況の中で、今の、鳩山さんご自身が言われましたように、やはりここは、党内で激しい代表選というものが戦われることについて、いろいろと、内外でも議論があるという中で、いろいろとご心配頂きました。
その中で、党が政権にたどり着くことができた大きな要素はもちろん、スタートの最初の最初、鳩山さん、さらには私、それに小沢先生の合流といったことが、大変大きな要素でありまして、そのトロイカ体制の原点、その原点を大事にしてやっていこうではないかと、そういう言葉を鳩山さんからいただきました。 加えてこの間、輿石参院会長もいろいろご苦労頂いている中で、場合によってはトロイカプラス輿石さんを加えた中でやっていこうではないかとのお話をいただきました。
私としては基本的な考え方については全く異存はありませんで、そういうお話をいただいたことについて、そのトロイカ体制あるいはそれに輿石先生を加えた中で、その体制を大事に考えていろいろな活動を進めていくことについて、私自身も、鳩山さんからの提案に同意をいたしたところであります。」
記者 明日小沢氏と首相と会談が行われるということでいいのか。
鳩山氏 「はい。今これからそのことを小沢先生側にお伝えをして、このような結論が出た、トロイカ体制、トロイカプラスワンで行こうではないかという思いを総理からいただいたんで、そのことを前提として、明日私の方から責任を持って小沢先生側にお伝えをして、菅総理と話していただくという段取りをつくりたいと思います。その場合にどういう形になるのか、2人だけになるのか、あるいはさらに1人、2人加わっていくっていうことになるかは、これから決めて参りたいと思います。」
記者 小沢氏サイドから枝野幹事長、仙谷官房長官の交代を求める要望があったと思うが、結論はまとまったのか。
首相 「あのー、鳩山さんからはそういった話はあのー、全く、話そのものにもなってませんし、そういう具体的なことについては全く話もしてませんし、そういう何かこの、要求があってそれに応じた、応じなかったということは全くありません。つまり要求というものそれ自体が、少なくとも鳩山さんから伝えられたということは全くありません。」
記者 はしごを外された形の小沢氏にどうするのか。何らかのポストを提示するか。
鳩山氏 「ポストとかそういう何か取引みたいな話をするつもりはありません。 大事なことは、トロイカ体制、トロイカプラスワンで行くということが大事であって、それを理解していただくことで、私は小沢先生にはご理解いただけるものだ、そのように思っております。」
記者 トロイカ体制で行くということは、代表選後に小沢氏をそれなりのポストで処遇するということで、 菅、鳩山で合意したということか。
首相 「今、申し上げたように、ポストとかですね、そういうことについては、一切話をいたしておりません。この党がまあ成立をし、あるいはこの党が政権にたどりつく、いたるまでの中で、鳩山さん、まあ私も含め、この党をつくるときのメンバーですから、小沢さん、自由党との合併の中でここまで来たわけでありますので、そういう、いわばトロイカ体制、さらには輿石さんを加えた体制、その原点を大事にしようじゃないかということを、鳩山さんに言っていただきまして、そういう意味でトロイカ体制を大事に考えていこうということで、私もまったく異存はないと申し上げました。
ですから、何かこの、ポストを用意したとか、そういうことを約束したとかいうことは、鳩山さんからもそういう話はありませんし、私からも一切そういう話はいたしておりません。」
記者 小沢氏は代表選に出ないと言っているのか。菅さんに理解を得られれば小沢氏は出ないと言っているのか。
鳩山 「出る、出ないの話は明日、当然、小沢、菅会談が行われる時に、その内容によって決められる話であって、今、わたくしがうんぬんする話ではありません。」
記者 政策面でも人事面でも脱小沢は撤回するという考えか。
菅 「今日の話は今申し上 げたように、トロイカ体制、さらには輿石さんを加えたそういう体制の原点を大事にしていこうという考え方でありまして、私が何かこれまで言ったことを変えるとか変えないとかということはまったくそういう議論をしたわけではありません。何度も申し上げるようにそういったトロイカ体制の原点を大事にしていこうというその考え方を鳩山さんのほうから、そういう考え方で一点に一致していこうじゃないかということを言っていただいたので、それについてまったく異存はありませんということを申し上げた、そういう経緯です。」
記者 2人の間で代表選は回避したほうがいいという認識で一致したということでいいのか。
菅氏 「わたくしの立場で言えば、今まさに日本の経済情勢、あるいは予算の編成、さらにはいろいろな外交日程などもあります。またわたくし自身、鳩山政権から引き継がせていただいて3カ月足らずという段階にあります。そういう意味ではいよいよ本格的に政権を新たな段階で動き出しているところでありますから、わたくしとしてそういう形を継続したいという思いはもちろん持っております。しかしそれはわたくしの思いですから、そのことが代表選がどうあるべきかということとはこれはもちろんわたくしの一存で決められる問題ではありませんので、わたくしの思いを聞かれれば今申し上げたことに尽きるところです。」
記者 鳩山さんは軽井沢以来の騒動をどう総括するのか。
鳩山 騒動ではありません。代表選です(むっとした感じで)。(共同通信)
≪ 筆者の感想:
鳩山由紀夫と云う人は、本当に困った宇宙人だ。此処まで代表選に立候補予定の2名(小沢一郎と菅直人)が政治信条・理念・政策、そして政治の実践スタイルで相反した状態の選択選挙である。おそらく、民主党と云う枠組を外した日本の政治史上でも珍しいくらい異なる政治家同士の闘いである。ガチンコ対決の魅力、政治が如何に人間ドラマを演じるかの究極の選択選挙だと思う。
「隷米か親米か(自主独立)」、「官僚主導か政治主導か」、「財政再建重視か景気優先か」、「大企業優先か国民優先か」、「市場原理主義か共生か」、「消費税増税か徹底的無駄削減か」等など、自民党vs社会党の対立軸など足元にも及ばない鮮明な対立軸が浮き彫りにした選挙は日本の政治史上極めて珍しい。
現在の自民党と民主党の対立軸より数段鮮明な選択を話し合いで片づける動きは、極めて不快な流れである。
明日、小沢一郎と菅直人の会談が鳩山・輿石を交え「トロイカプラスワン」で行われることになったようだが、これだけの対立軸は消え去るのだろうか? 筆者は到底消えない対立軸だと思っている。「トロイカプラスワン」の話し合いで、小沢・菅のどちらかが出馬を取りやめるような事態になってしまったら、日本の閉塞した政治状況は一層暗澹たるものになるような気がする。自民党を非難した「密室政治」となんら変わりのないものになってしまう。
現在のマスメディア全体の論調は「脱小沢路線」を菅直人が放棄し、名実ともに挙党態勢を作ると云う約束の元、小沢一郎が出馬を断念するような流れになっているが、出馬を断念するのは菅直人かもしれない。ここはマスメディアの論調に騙されないようにしておく方が賢明だ。
小沢としては、鳩山の労に報いる恩義を感じ、菅との会談に応じることにしたのだろうが、09年マニュフェスト回帰の問題を置き去りに、手打ちをするとは考えられない。逆に菅直人も隷米・官僚主導・財政再建重視・大企業優先・市場原理主義・消費税増税の全てを捨てなければならない。それでは既に菅直人ではなくなるだろう?
選挙情勢から判断して、出馬を断念する可能性が高いのは菅直人である。(この場合、仙谷グループが誰かを擁立する可能性もある)小沢一郎が出馬を断念する主たる理由が見つからない。
民主党が分裂含みになると云う危惧が最優先課題だとすると、これから先、民主党と云う政党はガチンコで代表選が行えない政党ということになる。そんな馬鹿な選択を政権政党がするとなると、逆に分裂した方が余程国家国民の為なのではないだろうか。
しかし、仮に小沢が出馬を回避し、菅が代表で残るとなると奇妙な構図が生まれる。「トロイカプラスワン」による挙党態勢構築のプロセスで、官房長官や幹事長の更迭が当然になる。それは菅直人の「トリプル変節」ということだ。これで国民が納得するだろうか?野党は攻め口が増えたと大喜びだろう?こういう人物は4度目の変節でも平気な資質を持っている事を忘れて貰っては困るのだ。
筆者の読みは、小沢一郎は菅直人との会談には応ずるが、出馬を回避するつもりは毛頭ないと見る。 菅直人の出馬は判らないと言うかどうでも良い(笑)
西岡武夫参議院議長の言葉ではないが「政権(首相)を取った小沢一郎は見たことがない。何をするのか誰も見ていない。それが何で(小沢氏の出馬を巡って党内が)こうなっているのか、不可思議だ。代表選で敗れれば論外だが、もうケリをつけないと、民主党のためだけではなくて、日本の政治のために良くない」と武士道精神、縄文の日本人的な発言をしているが、その通りである! ≫
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