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SEFTY JAPAN
2010年 8月3日
「日本振興銀行事件」の闇。次々に明るみに出る「法令違反疑惑」。問われているのは「木村剛容疑者」を重用した「小泉構造改革」だ!
■メールの削除は木村容疑者の指示か
2010年7月14日、日本振興銀行(以下、振興銀)前会長の木村剛容疑者ら5人が逮捕された。
この3月まで8カ月間にわたって行われた金融庁の立ち入り検査の際に、違法性の高い取引に関する業務メールを削除して隠蔽したという「検査忌避」の疑いがもたれている。
振興銀は「木村銀行」と呼ばれるほど、木村容疑者が絶対的権力者として君臨してきた。
各種報道によれば、同じく逮捕された振興銀前社長の西野達也容疑者も、「木村前会長に業務メールの削除を指示され、やむを得なかった」と罪を認める供述をしているという。
昨年(2009年)6月16日の金融庁による検査開始の直前、振興銀では検査への対応を協議するための会議が開かれたという。
その際、木村容疑者が「都合の悪いメールは消せ」と指示したとされ、その指示で削除されたメールは280通とも700通以上ともいわれている。
問題は、削除されたメールの内容だ。
■出資法違反の「高利貸し」をしていた疑い
振興銀は2008年末ごろに、破綻したSFCG(旧商工ファンド)に売り戻し条件を付けて債権を買い取るという実質的な融資を行っている。
その際の手数料が出資法の定める上限金利の29.2%をはるかに上回る45.7%であったとされる。
仮にそれが事実なら、振興銀は法律違反の「高利貸し」をしていたことなる。
削除されたメールは、その取引に関するものだったという。
ところが、実はもう一種類、削除されたメールがある、とされる。
「中小企業振興ネットワーク」関連のメールが、それだ。
中小企業振興ネットワークというのは、振興銀の融資先を中心に百数十社が参加する中小企業間の「互恵互栄」を図るための会員制の任意団体である。
木村容疑者が主導して設立された。
■ネットワークは「木村帝国」の主要な基盤か
確かに、都市銀行なども融資先を中心とした会員制組織を持っている。
そうした組織は一般に、福利厚生の共有化や勉強会の開催などを行う会員企業の親睦団体という位置づけだ。
しかし、この中小企業振興ネットワークは、どうも単なる親睦団体ではないようなのだ。
実は、このネットワークこそが、「木村帝国」の主要な基盤と見られている。
ネットワークの中心になっているのは、「中小企業○○機構」という名称の数十社とされ、その一部の企業には振興銀から役員も派遣されている。
こうした企業の実態は、いずれもコンサルティング会社のようだ。
では、いったい何をしているのか。
ある振興銀の関連企業によれば、同社は昨年(2009年)冬、同行融資先の保有ビルに本社を移転するように木村容疑者から強要されたという。
■独禁法が禁じる「優越的地位の濫用」に該当?
この取引に代表されるように、ネットワーク企業間で相互に取引させることによって資金の外部流出を防ぎ、各社の業績を高めていったと見られている。
ただし、銀行が個別融資先の取引自体をコントロールするのは、独占禁止法が禁じる「優越的地位の濫用」に当たる。
つまりは、前述の木村容疑者の指示による関連企業の本社移転のような取引は、この独禁法の規定に抵触するのではないか、と見られているのだ。
そもそも木村容疑者は、銀行と融資先企業との株式持ち合いや銀行による融資先企業の事実上の系列化など、従来の銀行と融資先企業との関係を厳しく非難してきたはずだ。
振興銀による独禁法違反が事実だとすれば、木村容疑者は自らの主張と正反対の行動をとっていたことになる。
中小企業振興ネットワークに絡む振興銀の法律違反の疑いはそれだけではない。
■大口融資規制や自己資本比率規制にも抵触か
法律上、銀行が1つの企業グループに融資できるのは自己資本の一定比率まで、である。
この大口融資規制は、銀行が企業グループとの共倒れを防ぐために設けられた。
ところが振興銀は、その大口融資規制を逃れるために、ネットワーク会員企業を通じて「迂回融資」を行っていた、という疑いがもたれている。
振興銀はまた、融資の焦げ付きそうな会員企業に対して、別の会員企業を経由して資金を供給する迂回融資を行っていた可能性もあるという。
これまた、木村容疑者がかねて批判してきた銀行による「不良債権飛ばし」の典型的手法だ。
すなわち、融資の焦げ付きで自己資本が目減りして自己資本比率規制に抵触することを避けるために、振興銀がネットワークを利用して意図的に不良債権を隠していたのではないか、と見られているのだ。
疑惑はまだある。振興銀は会員企業に対して融資の一部を同行株購入に振り向けさせる「見せかけ増資」を行っていたのではないか、といった指摘まで出ているのだ。
■ネットワークが不正融資の温床の可能性も
これが事実なら、事態は深刻だ。
銀行の自己資本比率規制など、何の意味も持たなくなってしまうからだ。
こんなことが許されるなら、銀行はいくらでも自己資本を増やすことができる。
一連の疑惑からいえるのは、中小企業振興ネットワークが振興銀の不正融資の温床になっていた可能性がある、ということだ。
もちろん、司直の手による真相解明はこれからだ。
とはいえ、木村容疑者は小泉政権の竹中平蔵・金融担当大臣の下、金融庁顧問として金融改革を主導するなど、当時の日本の金融行政に深く関わっていた。
その木村容疑者が法律違反の疑いを持たれること自体、日本の金融行政の信頼性を大きく損ないかねない深刻な事態といえよう。
木村容疑者が策定に関わった「金融再生プログラム」や「金融検査マニュアル」とはいったい何だったのか。その意味も改めて問われなければなるまい。
■異例の短期間で開業認可を与えた小泉政権
同時に、わずか8カ月という異例の短期間で振興銀に開業の認可を与えるなど、「木村氏優遇」と見られても仕方のない対応をしてきた小泉政権の金融行政についても改めて問い直す必要があろう。
振り返れば、小泉政権は「民間でできることは民間で」のかけ声の下、それまで中小・零細企業への融資を担ってきた公的金融の縮小を一気に推し進めた。
そうした政治スローガンを掲げた小泉構造改革の象徴の1つが、木村容疑者による振興銀の設立だったともいえる。
振興銀の設立目的について木村容疑者は、銀行の貸し渋りに遭って資金繰りに苦しんでいる中小企業を支援するため、といった趣旨のことを述べている。
しかし、現実に木村容疑者がやってきたことといえば……。もはや、繰り返すまい。
ともあれ、日本振興銀行事件が投げかけているのは、公的金融の機能・役割を(安易に)民間に代替させるという小泉構造改革が果たして正しかったのかどうか、ということだ。
■小泉構造改革の正当性自体に疑問符が付いた
実際、「ミドルリスク・ミドルリターン」という銀行事業モデルを追求する振興銀は、中小企業に対して10%台の金利で融資を行ってきた。
しかし私見によれば、まっとうな商売をしている一般的な中小・零細企業でそれだけの金利負担に耐えられるところは少ないのではないかと思う。
つまりは、振興銀すなわち木村容疑者が提唱するミドルリスク・ミドルリターンの銀行事業モデルなど端から成立し得なかったのではないか、ということだ。
(だからこそ、木村容疑者は法律違反を疑われるような行為に走ってしまったのではないか)
別の言い方をすれば、資金繰りに苦しむ中小・零細企業を支援するためには、やはり公的金融機関による低利融資が必要なのだ。
私は当時から小泉構造改革に反対の立場をとってきたが、今回の事件がその正当性自体に改めて疑問府を付けたと思っている。
いずれにせよ、今回の事件が日本の金融行政に突きつけた意味は大きい。
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