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23日朝の1年生議員との懇談会で菅直人首相はこう発言した。「すぐに解散と言う人がいるが、ある程度腰を据えて取り組むには、基本的には3年で(衆参)ダブル選挙になると思っている」(8月24日朝日新聞)細部の表現は新聞によりまちまちで、これより断言的に言ったような報道もある。
しかし、各紙で共通しているのは、「3年間衆議院を解散しない」、「衆参ダブル選挙をする」意向を明言したことだ。結論から先に言うと、この発言は首相としての資質を根底から疑われるほど不見識である。なぜなら、解散権を私物化して、自分の地位の保全のために利用したからだ。
菅首相の見識さえ疑う、不信任の軽視と若手の“買収”!?
問題点をいくつか列挙しよう。
(1)解散は“首相の専権事項”だが、菅首相個人の専権事項ではない。大きな勘違いがそこにはある。戦後の議会史の中で、あるいは明治以来の憲政史上といってもよい。首相自らがこれほど軽々しく「解散」を語ったことはない。もしも55年体制下での発言であれば総辞職は必至。そのまま政権を維持しようとしても当時の野党が許さなかっただろう。
(2)3年間に民意を問う必要が生じないとなぜ断定できるのか。イギリスのサッチャー元首相は、「政治には予期せぬでき事が満載されている」と述べたことがある。政治や経済が予期せぬ重大な局面を迎える可能性が高いだけに一層不用意な発言である。
(3)また、菅政権は、参議院選挙で実質的に不信任されている。
本来ならば、総辞職するか直ちに解散・総選挙を実施して民意を問うのが政治的、道義的な責任の果たし方だ。それなのに、選挙結果を軽視して3年間も自分が政権を担当するような姿勢は許されない。特に、反古にされた公約によって支持を受けた政権であるからなおさらだ。
(4)解散を恐れる新人議員に、解散権不行使を示唆して支持を求めることは、アメを差し出す点で買収と同質である。むしろ公的権限を濫用しているから、より悪質だと言わざるを得ない。実は、そう感じていないところに菅首相の致命的な欠陥があるのではないか。
(5)将来性のある若手政治家を愚弄しているのではないか。もしも私が新人議員として出席していたら猛然と反発したと思う。昔の自民党の領袖は、「常在戦場。解散なんかこわくて政治ができるか」と叱りとばしただろう。だからこそ若手の信頼も集めた。
(6)首相は、「3年間しっかりやりたい」と言ったらしいが、出席者から「何をするのか聞きたかった」 という声があった。当然だろう。“解散権不行使”より、堂々と政策で勝負する方が、若手の尊敬や信頼を得られる。
いわゆるバラマキ政策と同じように、形を変えた利益誘導が菅首相の本性なのか。その疑いが増している。
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