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9・14民主党代表選は、「脱小沢」路線を曲げない菅直人首相(63)と、「最後の賭け」に打って出た小沢一郎前幹事長(68)によるガチンコ対決の火ぶたが切られた。すでに、両陣営による死に物狂いの多数派工作が激化しつつある。勝敗のカギを握る新人議員約150人に対する壮絶な強奪合戦。夕刊フジは、政治評論家3氏の分析を踏まえ、「平成の関ヶ原」の行方を探ったところ、「小沢氏やや優位」の情勢のようだ。
衆参両院議員412人の民主党はおおむね7グループに分かれる。このうち、菅首相を支持するのは、菅グループを筆頭に、前原誠司国交相(48)と野田佳彦財務相(53)の両グループを加え、合計で約120人となる。
これに対し、小沢氏支持は、党内最大勢力で「鉄の結束」を誇る小沢グループ約150人が中核。これに、鳩山由紀夫前首相(63)が「小沢氏支持」を表明したことで、約50人の鳩山グループも加勢すれば、単純計算で計約200人になる。
ほかに、旧民社党系と旧社会党系の両グループ計約60人は、現時点で態度を明確にしていない。
ただ、民主党の各グループは自民党の「派閥」と違い、締め付けが弱いうえ、複数のグループに顔を出す“二重国籍”議員が存在。さらに、地方議員や党員・サポーター票も総得票の中で大きなウエートを占めている。
それだけに、どちらが優勢なのか「票読み」をしにくいのが実情だが、本紙では、民主党内事情に詳しい3氏に分析を依頼した。
まず、政治評論家の浅川博忠氏は「現時点で菅首相が有利」としつつ、「告示後まもなく、多数派工作が奏功し始める小沢氏が形勢を逆転する」と読む。
その結果、「鳩山グループは3分の2が小沢氏支持、残りが菅首相支持と分かれる。模様眺めの旧社会、旧民社両グループも小沢氏が水面下で動けば支持に回る」と指摘する。
逆転の背景には、「菅首相陣営に比べて小沢氏の戦い上手というのがある。恫喝したりポストの空手形を示したり、自民党時代から政争は百戦錬磨。このキャリアの違いに尽きる」と話す。
これに対し、「単純計算では小沢氏有利にみえるが、実際は五分五分」とみるのは、政治アナリストの伊藤惇夫氏。浅川氏と同じように、「鳩山グループのかなりの数が小沢氏支持に流れ、小沢氏の盟友、輿石東参院議員会長(74)が動いて、旧社会党系も小沢氏支持に動くだろう」と分析する。
ただ、検察審査会が強制起訴の是非を審査している小沢氏の「政治とカネ」の問題に対し、「世論から『訴追逃れ』などの批判が噴出し、風向きが急変する可能性もある」と指摘する。
政治評論家の森田実氏は代表選を、「政治の役割は国民、世界の人が不幸になる要素をいかに少なくするかだ」という首相の政治信条「最小不幸の社会」になぞらえる。
「要は、支持を決めている議員はいいが、まだ支持を決めていない“無党派層”議員からすれば、自分の選挙や党にとって、マイナスの少ないのはどちらかを基準に選ぶのではないか」としたうえで、こう解説する。
「菅首相は経済対策など無能な『ドン菅』だが、政治とカネを引きずる『小沢首相』が誕生すれば、世論から党全体が袋だたきにされる。つまり、菅首相よりも小沢氏の方が多くの『不幸』をもたらすと判断すれば、菅首相がやや優位になる。ただ、どちらも五十歩百歩。まさに『究極の負の選択』だ」
3氏に共通しているのは、総得票数の3分の2を占める“大票田”の国会議員票が当落を左右するとみている点。残る地方議員や党員・サポーター票は「ほぼ五分五分」との見方だ。
特に、「60人から70人は無党派層」(伊藤氏)という衆参両院の新人議員計約150人が、両陣営による集票合戦の主戦場になるのは必至。菅首相陣営にとって「新人議員の支持を拡大できるかがポイント」(浅川氏)という。
逆に、小沢氏陣営は「政治とカネ」で痛手を負った小沢氏の再登板を嫌う世論など逆風が予想され、「小沢グループ以外のグループからの支持離れを食い止めることができるかどうかだ」(伊藤氏)という。
いずれにしても、代表選は両陣営による熾烈な支持固めに加え、水面下で怪文書が飛び交うネガティブキャンペーンの応酬合戦も予想される。
勝てば官軍。負け組は「粛清の対象となる」(伊藤氏)だけに、「怨念が民主分裂・崩壊の第一歩になる」(森田氏)と断言する。
代表選まであと18日。一体、どちらに軍配があがるのか−。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100827/plt1008271620003-n2.htm
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