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昨日は、祖母の葬儀があった。日帰りで横浜まで向かう新幹線の車内で、小沢一郎の出馬を知った。祖母とは小学校前の一時期同居していたこともあり、まるであの歌を彷彿とさせるような愛するお婆ちゃんだった。幸いにして多くの人に囲まれながら老後を過ごし、少しずつ老いを深め、享年95歳で亡くなった。亡くなる1ヶ月前に会いに行ったときにも、私を分かってくれ、話をすることができた。その時の、たくあんを美味しそうに食べる顔が、さいごの思い出になった。
なんだか、今でも上空50kmくらいから、こちらを見ているような気がする。数年前までは、かくしゃくとして新聞を読み持論をぶっていた。明るくて、自分も楽しみ人を楽しませることの好きな祖母だった。
そんな祖母の思い出に浸りながら、やはり大事なのは気持ちなんだなと改めて思った。気持ちのない言葉や約束は、なんの意味もない。むなしいだけのあだ花だ。気持ちのこもったものは、何十年経っても、その過程で良いことばかりじゃなくても、やはり気持ちは伝わり残る。論理的に定義はできなくても、長い年月の中で抽出され人の心に蓄えられる。そういう物語を、南イタリアではストーリアというのだと 最近読んだ小説に書いてあった。
民主党の代表選は、日本の、つまり私たちの最高権力者を決める場だ。もし祖母が元気だったら、テレビにかじりついて見ていただろう。その重要な選挙に、どんな気持ちを持った人が出てくるのか。きれい事は言うつもりもないし空しい。誰でも、自分が一番大事だし楽しくしていたい。けれども、自分も楽しくできれば他人も楽しくしたいのか、生き馬の目を抜いて自分だけ楽しくしたいのか、その差は大きい。
小沢一郎の手法を批判する人は多い。豪腕と言われる所以である。あと一歩間違えれば、阿久根の竹原市長のなりかねないところを、徹底的な民主主義の原理主義で踏みとどまっている。小沢一郎の考えを、一番集約的に表現したのは、今年1月の村上龍のテレビ番組だろう。カンブリア宮殿の動画は今は見られないようだが、詳細を記録してくれたブログがあるので紹介する。
ニコブログ 2010.1.5
カンブリア宮殿「村上龍×小沢一郎〜ニュースが伝えない小沢一郎〜」
メモ&感想
小沢一郎を理想化する気は毛頭ない。が、以下の論点は、小沢の少なくとも15年来の一貫した主張ではないかと思う。
(以下引用 @などは明月の付番)
@村上龍
「党と官邸の関係は本当に重要だと思うんですけども、結局、決定権と責任をセットにして、ここにあるということがなかなか分からないですよね」
小沢一郎
「そうなんですよ。誰が責任者なのか誰が決定したのかが分からないと。だから全部日本の仕組みっていうのは、政界、官界、民間でも、あらゆるところで責任を取らない仕組みになっているんですね。だからそれが僕はいけないと思っている。自民党政権は半世紀続いたんですけど、当初の頃は別にしても、経済復興も発展も順調になってきて、どんどん官僚におんぶに抱っこの政権になってきちゃいましたから。
だから、単なる官僚の皆さんに頼んでおこぼれをもらうみたいな、感じの役割しか政治家はしていなかったんだ。それでも、うまくいっている時は政治家は余計な口を出さない方がいいんですけれども。それが高度成長時代が終わって、世界が変動の時代になると、政治家が1番そういう時に必要なわけですね。政治家が決断し、自分の責任で実行すると」
A村上龍
「僕は今、13歳のハローワークという子供のための職業図鑑みたいなの改訂版みたいなのを作っていてですね、そこに政治家っていうようなコーナーもあるんですが、小沢さんが13歳の子供に向かってですよ、政治家がどういう仕事ですかって聞かれたらどういうふうに答えますか」
小沢一郎
「そうですね、みんなが自分の能力を生かして、いい人生を過ごせるような、社会の仕組みを作ることでしょうね」
村上龍
「もうちょっと具体的にお話しいただいてもいいですか」
小沢一郎
「あんたがたが勉強して学校出ても就職できなきゃ困るでしょ。就職できても途中でクビになっちゃ困るでしょ。就職できるように、仕事がちゃんとあるようにすること。あるいは、病気して働けなくなった時でもちゃんとみんなでケアできるようにすることとか。農家で言えばね、農業をやってても“将来は展望はある”と安心できる、政治家がそういう具体的な仕組みを説明すれば分かると思いますがね」
村上龍
「古いパラダイムを現在に合ったものにするということが基本的に小沢さんのゴールですか」
小沢一郎
「そうです。それがみんなのためだ、僕はそう思ってるということです。制度はですね、仕組みは多数決で変える気になれば変えられますけど、頭の中が、意識が丸っきりその時代から変わってないですよ。それが最大の問題で、民主党の中でも、今までと同じような意識を持っているのがけっこういるんですよ」
B村上龍
「普天間基地を巡る問題で、移設先はどこかどこかってみんな言ってますよね。僕はこれに関しては、どうしてメディアはもっと前の疑問を議論をしないのか。というのは、そもそも、冷戦が終わった今でも、沖縄にアメリカ軍の基地は必要なのか。日本の国益上必要だったら、どんな手を使っても沖縄の人に納得してもらわなきゃいけない、説得しなきゃいけない。もし必要でなかったら、アメリカ軍がちょっとへそを曲げても、必要ありませんから出て行ってくださいとアメリカを説得する、この2つしかないような気がするんですが、どうですか」
小沢一郎
「基本的にそうですね。これは政府が決めることですけれども、1番の問題点は、日本政府、日本内閣がアメリカにものを言えないことですね。特に自民党はずーっとそうだった。外務省が何も言えない、アメリカに。そういうことで私はアメリカがイライラしているんだと思うんです。僕も日米交渉に何度か臨みましたけれども、“日本人は嘘つきだ”ということから始まったんですよ。“なんだかんだいいようなことを言って全然実行しない”と。
そういうのがものすごく嫌われるんですね。やっぱり自己主張はきちんとして、お互いに議論をぶつけ合って、それで譲り合うところは譲り合って、決めたことは守ろうというのが彼らのやり方ですから。日本の場合はあんまり言わない、自分のことを。それでいて実行しないからイライラしちゃう。
だから、今の日米関係を心配する人がいますけれども、僕は民主党政権下でもっとアメリカにざっくばらんに話して、ただ、米軍の基地がそんなにいっぱい兵隊さんが前線にいる必要がないということであるならば、それはそれできちんと言って、“自分たちの国の守りはちゃんとやります”とか“国際貢献はこうします”とか“心配いりません”とか、そういうことを言えばいい。僕はそう思います」
(引用以上)
・ほっといても国民みんなが食っていける時代ではなくなったという時代(パラダイム)認識
・その時代に、普通に働いて普通に生きていけるにはどうしたいいのか
・官僚主導のこれまでのやり方では、絶対にうまくいかない
・アメリカにもの申さなくては、生きていけない
私なりに要約すれば、そういうこと。この点において、(先々では不一致が目に見えているけれども)小沢一郎を、私は支持する。全部一致しなければ支持できない、という贅沢な御仁は、自分で政治家になり実現していただくしかない。少なくとも、こうした認識と思いを持っているという点で、私は小沢一郎を応援したい。
自分の権力維持のためには、国民の生活なんて一顧だにしない官から菅の政権は、一日でも早く潰えて欲しい。原発や集団的安全保障など、いろんな問題が出てくるのは承知のうえで、この民主党代表選では、断固「小沢ガンバレ」と言いたい。
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