http://www.asyura2.com/10/senkyo93/msg/120.html
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宝くじは当たらないことは知っているが、時々買ってしまうことがある。前に買ったのは、確か「天元突破グレンラガン」を見ていた時だった。
グレンラガンは、いわゆる正義ヒーローロボットアニメ。ストーリーはどうにも納得できない理屈と精神論で、とにかく「正義」が勝つというもの。しかし理屈が変でも派手な音楽と動画でなんだか納得したような気分になる。理屈が変でも正義が勝つというストーリーは確かに気持ちがいい。
私は何故、当たらないと分かってる宝くじを買って金をどぶに捨ててしまったのだろうか。当時を思い出してみると「正義は勝つ」系のドラマを見てる影響は確かに受けていた。宝くじはその一部にすぎない。他にも、なんとなく英会話教室にいこうかと思ってしまったり、自己啓発系の本を立ち読みしてみたりとかしていた。
実際、テレビ、映画、動画の影響力はとても大きい。キャプテン翼が流行ってた当時、近所の公園ではいつも小学生がサッカーをやっていた(前は野球だった)。北斗の拳が流行ってた時は、登下校中の小学生が南斗水鳥拳の真似をしてるのをしょっちゅうみた。
こうしていろんな「努力」をして、それが報われることはあるのだろうか。それは「希望格差社会」という本のアマゾンのレビューをざっと眺めてみるとなんとなく伺い知ることができる。そこに書き込まれた様々な感想や体験談から、努力しても無駄な社会を実感する人がかなりいることを感じる。(こんな本のレビューにわざわざ「なんとか投資で成功した」という体験談を書き込みにくる人がいるのも興味深い。)
こうして報われない努力をしてきた人の多くはうつ病になる。そこでうつ病の歴史について調べてみるとこんな記述をみつけた
気分障害
http://www.medicomps.jp/syosai/9784260005678.html
出版社:医学書院
編 集:上島国利 樋口輝彦 野村総一郎 大野 裕
神庭重信 尾崎紀夫
ジャンル:精神医学
判 型:B5
発行年:2008年
ISBN:9784260005678
税込価格:16,800円
-----引用開始----
精神医学の歴史を繙くと,気分障害とみなされる病態は,ヒポクラテスの時代から記述があり,古くより知られたものであった。しかし統合失調症ほどその病像は特異ではなく,経過予後も良好であり,比較的理解しやすい疾患として精神医学者の興味関心をひくことが少なかったように思われる。その結果気分障害に関する科学的知見は集積されず,その本態,原因,治療法などに関する知識は不足していた。
ところが昨今,気分障害の患者の急増が注目されている。この理由として,さまざまな要因が推測されるが,社会状況や価値観の変化など環境的要因も大きく影響していよう。なかでも成果主義の導入など働く人々を取り巻く環境は厳しさを増し,産業精神医学の領域では気分障害への対応は最大の関心事となっている。また20歳代,30歳代の若年層には,従来型うつ病とは異なる心性をもった現代型うつ病が出現するようになった。
-----引用終了----
どうやら、ある種類のうつ病は最近出現するようになったもので、紀元前の時代には今ほどひどいうつ病はなかったようだ。
なんの報酬も得られないまま、投資や努力を続けたら疲れてしまうのは当然だ。ただ、昔は今ほど「努力したらなんとかなる」という幻想が信じられてなかったのだろうと思う。
ところで、なんの報酬も得られないことを予測できないのは何故なのだろうか(怪しい投資話やマンション購入セールスなんかはすぐに「怪しい」と感じることができるのに)。これについてはプログラマーの間で有名な本 ハッカーと画家 http://practical-scheme.net/trans/hp-j.html という本の1章に参考になることが書いてある。
関係のある部分だけ要約すると、こんなことだ
昔(中世?)、若者は職人達と一緒に仕事をしながら様々なことを学んだ。がんばって仕事や勉強をすることがそのまま評価された。それと比べて今の学校システムは異常だ。故意に社会から子供を隔離している。結果的にフットボールのできるスポーツマンを頂点とした謎な階層社会ができている。この階層構造は社会に出ればなくなってしまうが、それまで勉強好きな人達はGeekと呼ばれて様々ないじめに耐えないといけない。
同じような内容はがWikipediaから(不思議な理由で)削除された「スクールカースト」という項目にも書いてあった(バックアップはyourpediaにある)。
私自身も学生を卒業するまで社会から隔離された不思議な環境に置かれてきた。結果的に怪しい投資話やマンション購入セールスはなんとなく見分けられても、もっと高度な嘘や詐欺は見分けられなかった(新入社員の入社式帰りを狙って絵画などを売りつけるグループがいるみたいですが他の人は体験したことがありますか?私は入社式の後で1時間ぐらい捕まって話しを聞かされました)。
私自身、学生時代に見分けられなかった社会全体を包む重大な嘘の1つに「がんばれば認められる」があった。その後、様々な経験をするまで、こんなセリフを信じてしまうことになる。
小泉純一郎「将来は必ず良くなる。今は痛みに耐えろ!」
佐藤ゆかり「国民全てが投資家になる社会を作ります」(そういえば宝くじも投資の1種だね)
この嘘の害悪は、将来の自分を支える大事なものまで攻撃してしまう点だ。例えば「将来自分は必ず成功する」と信じる人は関西生コンストライキのような「下層」にお金が流れるような運動に反対する。累進課税にも反対する。消費税に賛成する。「自分は勝ち組の側に将来必ずつける」と思いこんでいるからだ。しかし社会と長いこと関わっていると、社会の実態が分かってくる。「キムタクが必ず成功する」ようなドラマは嘘で世襲やコネが非常に重みのある社会が本当の社会の実態だということがわかってくる。それがわかって初めて累進課税に賛成して消費税に反対するようになる。子供の頃から社会の実態に触れる機会があったなら、もっと早くに気がつくはずなのだが、故意に社会から隔離された期間が長いとなかなか身に付いた偏見を修正できない。前回の参議院選挙でみんなの党に投票した人が思いのほか多いのは、こんな人達、偏見をなかな修正できない人達が沢山いることを物語っている。
最近では、多くのドラマやアニメを見てきた自分の感覚は異常に楽観的になっていることを実感している。鉄砲の弾が主人公だけに当たらないなんてことはない。自分の感覚を常に悲観的な方向に補正をかけないと現実と合わないのだ。宝くじは当たらないし株の投資なんて絶対成功しないし、血縁やコネのない自分はストライキがあったら参加する方が得だ。血縁やコネのない人間にどんな水面下の嫌がらせがあるかも知っているし、秘密主義こそ一番得ということを知っている(オープンソースを批判した記事が以前にあったのはこんな理由もある)。
とにかく結論は
自分の感覚を常に悲観的な方向に補正をかけないと現実と合わない
ということだ。
ついでに補足すると、自分の父や祖父は非常に現実に合ったことを多く教えてくれていた。何故父や祖父の助言を無視してTVなぞ見て楽観的すぎる選択をしてきたのだろうと今にして思う。
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