http://www.asyura2.com/10/senkyo92/msg/903.html
Tweet |
http://www.olive-x.com/news_ex/newsdisp.php?n=95478
プロ野球選手にとって打率3割なら、7割は失敗しているのだが、高く評価される。だが、勝率3割なら監督はクビになる。同じ3割でも、打率なら高い評価なのに、勝率では最低の評価になる。野球では打率、勝率、防御率など成績を【率】で表わすものが多い。そしてその率の分母、即ち母集団によって同じ3割でも価値が違う。成績を【率】で評価するとき、その【母集団】によって評価基準が違うのである。
これは何もプロ野球の成績だけではない。経済社会の場合も同じだ。マーケットシェア15%と言っても、日本のビール市場とチョコレート市場では、その意味は全く違う。キリン・アサヒなど大手4社とあとは輸入と地ビールしかないビール市場では、15%は3位争いの数字。一方チョコレート市場はトップが8%前後なので、15%はダントツの数字になる。母集団である国内企業数が違うからこう云うことになる。
何が言いたいかと言えば、【率】とか【%】で表わされる数値は、その母集団が何かと云うことを抜きにしては語れないと言うことである。処が、毎週のように行われるマスメディアによる世論調査では、しばしばこの母集団を無視した数値が走る。野球の成績とかマーケットシェアなどは、その母集団の数値は実数である。だが、世論調査は抜き取りである。だからこそ、その母集団を明確にしなければならない。
マスメディアが行う世論調査(と称している)。コンピュータで無作為に選んだ電話番号を使うRDS法とかRDD法での調査との注釈が付いている。地域別の人口比に応じ、コンピュータが無作為に選んだ電話番号に電話により回答を得る方法である。国勢調査の人口比に近いそうである。この方法や数字を否定しないが、時々、おかしな数字が出てくる。その最たるものが、菅内閣続投支持率である。
7月28日の「連載・コラム」欄にも書いたが、参院選後に毎日新聞が実施した世論調査で、菅内閣を支持する41%、支持しない40%、関心がないが19%である。これは電話回答に応じた母集団1000世帯の率である。処で、新聞では、菅内閣の続投を「支持するが80%」になっている。この数値の母集団については、全く触れていない。と言うことは、電話回答に応じた1000世帯の80%になる。
1000世帯の19%が、関心がないと答えたのである。それで80%が続投支持ということは、菅内閣を支持する41%、支持しない40%と答えたほぼ全員が、続投を支持したことになる。統計学的に有り得ない。では、関心がない世帯を除いた世帯を母集団とする80%が続投を支持したなら、母集団1000世帯の65%である。また菅内閣支持者を母集団だとすると、母集団1000世帯の33%に過ぎない。
もちろん、菅内閣を支持しない40%の中に、菅内閣の続投を支持すると答えた世帯はあるだろう。内閣を支持しないで、内閣の続投を支持する。論理的にあり得ることは、「菅内閣が続けば、民主党政権の崩壊を招く」と考えた場合である。菅内閣の政治に期待するなら、当然「支持する」と答えたはずである。ここから導き出される結論は、菅内閣の政治に期待した続投支持率は25〜41%しかないと言うことだ。
毎日新聞の1週間前に、朝日新聞が実施した世論調査での、菅内閣続投支持率70%も同じだと考えていいだろう。処が、22日TBS番組・時事放談で、民主党の藤井元財務相は、「70%が菅内閣の続投を支持しているのだから、小沢氏は出馬すべきではない」との趣旨のことを話していた。完全にマスメディアによる数字の誤魔化しに引っ掛かっている。政治家ですらこうなのだから、他は推してはかるべしである。
マスメディアの論説委員や政治評論家は数字の意味を理解できていない。だから藤井元財務相と同じく、「国民の7割が続投を支持している」とか「民主党の代表選で、首相をコロコロ代えるのは良くない」と言うことになる。そこには、多くの国民(64%)が望む景気対策(内閣)か、財務省主導による財政規律の菅内閣か、と言う視点はない。それは何故か。彼らは、なんら生活に困っていないからである。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
- 世論誘導に誤魔化された政治家 matuoka yuuji 2010/8/24 15:57:16
(0)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK92掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。