http://www.asyura2.com/10/senkyo92/msg/746.html
Tweet |
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100820/242215/
花岡信昭の「我々の国家はどこに向かっているのか」
「小鳩輿」連合軍挙兵、じわじわ固まる菅包囲網
2010年8月20日
政治人生で最後の大勝負となる代表選
記録的な猛暑のなか、お盆明けの政局も一気にヒートアップした。軽井沢で「小沢・鳩山・輿石」連合軍が19日、挙兵したのである。
菅再選支持勢力は23日に決起集会を予定、「親菅派」と「反菅派」の激突構図が浮き彫りになる。
民主党代表選は9月1日告示、14日投票だ。参院選でそこそこの成績をおさめていれば、菅首相の無投票再選もあり得たのだろうが、どうもそういうわけにはいかなくなった。
焦点はいうまでもなく、小沢一郎前幹事長の動き方だ。
例によって、小沢氏は自分の考えを懇切丁寧に説明したりはしない。いきなり行動に移す。
これまでも、8党派連立の細川政権樹立などダイナミックな政治転換を果たしてきた小沢氏だが、おそらくは政治人生で最後の大勝負となるのが、この代表選だ。
小沢氏にとって、選択肢はいくつもある。まず、代表選に小沢氏自身が立候補し、小沢政権誕生で動く。
あるいは、小沢氏の「代理」を立てて、政局の主導権を握る。その場合、海江田万里氏は焦ってプールに早く飛び込みすぎたので、原口一博氏あたりが最有力候補か。
代理政権をつくる場合、小沢氏にとって、自身がかつていみじくも述べたように「軽くてパー」であるほうが望ましい。操縦もたやすくなる。
あるいは、小沢氏が副総理格での入閣を条件に菅首相の再選を容認するという見方もある。なぜ、入閣が必要なのかは後述する
民主衆院は政局安定・解散先送りを優先か
こうした構図とは別に、みんなの党などとの連立工作に動く可能性もある。
その場合、渡辺喜美氏を首相に担ぐことになる。小沢氏には喜美氏の父、渡辺美智雄氏を担ぎ出そうとして失敗した義理がある。
参院で与党過半数に達するには、みんなの党だけでは足りない。その分は、ほかの新党や自民党などから一本釣りして埋めることもできよう。
いずれにしろ、衆参ねじれ構造を抱え、それも、衆院で再議決可能な3分の2に達していないのだから、今後の法案審議は容易ではない。
このままだと、来年度予算審議が混乱し、衆院解散・総選挙に追い込まれるのではないかという観測すら出ている。
予算案本体は衆院の議決が優先されるが、関連法案はそういうわけにはいかない。関連法案が通らなかったら、いくら立派な予算案をつくっても、実際の執行はできない。
来春には統一地方選も予定されている。展開によっては、統一選と衆院選のダブル選挙になる可能性すらある。
昨年の衆院選で大量当選した民主党議員にとって、自分の身分があぶなくなるような局面はなんとしても回避したいところだ。解散がなければ、あと3年も任期が残っているのである。
菅政権が参院での多数派工作に乗り出せないのであれば、民主党の衆院側には政局安定・解散先送りの思惑が最優先課題となっていくはずだ。
にわかに言及され出した「憲法75条」
以上とはまったく別の次元で、代表選の結果がどうなろうと、小沢氏が「大連立」に向かって動く可能性もある。
民主党内の抵抗が強ければ、小沢系だけで離党し、新党を結成、自民党などとの大連立を結成するというシナリオだ。
筆者などは、普天間や消費税などの難問に決着をつけ、日本をよみがえらせるには、大連立という大胆な手法もあり得ると思う。
参院選の結果、予測不能の領域に入り込んでしまったから、今後の展開はなんともいえない。早く言えば、なんでもありなのだ。
そうした激動政局の予感をバックに、にわかに言及され出したのが「憲法75条」である。
「国務大臣はその在任中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない」というもので、この場合、国務大臣には内閣総理大臣も含まれるというのが定説のようだ。
周知の通り、小沢氏には資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件が突き付けられている。
検察審査会の2度目の議決は代表選後になる見通しだが、2度目も「起訴相当」を議決すると、強制起訴され公判に持ち込まれることになる。
この問題との関連で憲法75条が浮上したのである。
つまりは、首相ないし閣僚になっていれば訴追されないのだ。執行停止の権限を持つといってもいいし、事実上の指揮権発動だとする見方もあろう。
これは国会開会中の国会議員の不逮捕特権とは別次元の話である。
地方議員や党員・サポーターも小沢系強し
「訴追されない」という条項を適用するような局面に至ったら、世論の反発は必至で、そういう展開は考えにくいという見方もあろう。
だが、小沢氏は原理原則主義者の側面を持つ。法律で決まっている通りにして何が悪い、と堂々としているに違いない。
小沢氏が代表選に出馬するとなれば、勝った場合は首相の座に直結するし、仮に負けた場合でも副総理格での入閣が十分に予想できる。
菅首相再選となっても、そうした経緯をたどったのであれば、今度は「脱小沢」などと言ってはいられなくなる。小沢氏の処遇を最大限に考えなくてはなるまい。
軽井沢研修会は小沢系150人、鳩山系60人、それに参院を牛耳る輿石参院議員会長の3氏の連合軍誕生の場といっていい。民主党国会議員413人の半数を超えるのである。
代表選挙はポイント制で行われる。国会議員が1人2ポイントを持ち、地方議員100ポイント(得票によって案分)、党員・サポーター300ポイント(衆院小選挙区別に投票が行われ、1位になった候補がその選挙区の1ポイントを得る)の3段階の合計ポイントで当選者が決まる。
過半数を得た者がいなかったら、上位2人が国会議員だけの決選投票に臨む。
こういうシステムで行われるのだが、地方議員や党員・サポーターも小沢系が強いようだ。
小沢氏は衆院選以来、系列候補に党員・サポーターを獲得するようノルマを課しており、それがこの局面で効果的に作用することになる。
「小鳩輿」3氏が抱く「菅憎し」の思い
鳩山氏は表向き、菅首相再選を支持するような姿勢を取ってきたが、内心はそうではないらしい。
小沢氏とともに同時ダブル辞任を断行するという大決断によって、党の危機を救おうとしたのに、支持率がV字型回復を果たしたと思ったのもつかのま、消費税をめぐる菅首相の発言によって参院選大敗を喫した。
その経緯に怒り心頭ということのようだ。
「今期限りで政界引退」の公約もどこかへ消えてしまった。
それは小沢氏も同様で、菅首相の度重なる面会要請をにべもなくはねつけた。昨年の衆院選マニフェストを断りもなく変更していったことにも怒っている。
輿石氏は輿石氏で、自分の選挙(山梨)ではぎりぎりでやっと当選を果たした。それもこれも菅首相の消費税発言のせいだ、ということになる。
かくして、小沢、鳩山、輿石3氏は「菅憎し」の共通の思いを募らせていったのだ。
若い学生たちに「政治は勘定と感情の世界」などとシャレをまじえて解説しているのだが、まさに「政治はきわめて人間的な行為である」ことの証明ともなる局面だ。
政権の足を引っ張る「左派偏重」的色彩
ここへきて、菅政権の「左派偏重」的な色彩や、その統治能力にさらに疑問を持たれるような場面が続いたことも、この政権の足を引っ張っている。
8月15日、靖国神社に参拝した閣僚は1人もいなかった。
それは個々の判断ならそれでもいいのだが、「参拝せず」を申し合わせたかのように伝えられているのは、強圧的に映る。靖国というのは大方の国民にとって特別の存在なのだ。
これに先立つ日韓併合100年の「菅首相談話」の評判もすこぶる悪い。
「植民地支配がもたらした多大な損害と苦痛」「痛切な反省と心からのおわび」とやってしまったのは、新たな個人請求への道を開きかねないと民主党内にも批判が出ている。
こうしたことは仙谷官房長官の主導で行われたのだが、社会党出身の仙谷氏の「左翼バネ」が働き、菅政権の先行きはあやういと判断して、バタバタとやってのけたのではないか、といった解説も出回る始末だ。
仙谷氏は長い政治経験を踏まえ、戦略・戦術には長けた政治家と見られていたのだが、それにしては、生煮えのままの焦りが目立つ。
代表選に向け保守派や旧民社系も始動
実質GDP(国内総生産)の年率換算0・4%という景気減速のデータが出たとき、菅首相は軽井沢で静養中だった。一国の首相としての強いメッセージが必要な場面といえたが、これにも出遅れた。
代表選の行方ばかりが気になって、統治能力を示せないままだという批判が党内にも強まっているのである。しばらくおとなしくしていた松原仁氏ら党内保守派もそれぞれの立場から発言し始めている。
そうした中で、党内の旧民社党出身グループ(民社協会)は、代表選で支持する候補を決めるための基本姿勢をまとめた。党綱領の策定、国家戦略局の設置、安全保障体制の確立、憲法審査会の始動など、旧民社党らしいスタンスを打ち出している。
民主党内で存在感をなかなか示せない旧民社系グループだが、こうした方針は、代表選の行方を考えると興味深い。「反菅色」がにじみ出ているからだ。
どうやら菅首相包囲網はじわじわと固まりつつあると見ていい。菅首相側はどこまで有効な対応策を打つことができるか。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK92掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。