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菅直人首相が「弱点」の安全保障政策をめぐり右往左往している。19日には自衛隊の統合・陸海空4幕僚長と首相官邸で初めて意見交換したが、“勉強不足”をかえって露呈してしまった。年末に改定する「防衛計画の大綱」のたたき台として現実路線の提言を打ち出した諮問機関の報告書も宙づりのまま。米軍普天間飛行場(沖縄県宜(ぎ)野(の)湾(わん)市)の移設問題で自滅した鳩山由紀夫前首相と同じく安保政策が政権のネックとなりつつある。(半沢尚久)
「改めて法律を調べたら自衛隊に対する最高の指揮監督権を有していた…」
首相は4幕僚長との会合の冒頭にこう発言した。折木良一統合幕僚長は「冗談だと思う」とフォローしたが、首相は「予習したら防衛相は自衛官ではないんだそうですね」とも述べており、最高指揮官としての自覚欠如は否めない。
会合のきっかけは今月2日の衆院予算委員会だった。安保通で知られる自民党の石破茂政調会長に「制服組から意見を聞いたのか」と問い詰められ、首相は「機会を見つけて話を聞きたい」と明言した。2週間余りで“公約”は実現されたが、自民党議員は「軍事のプロに耳を傾ける必要性など考えていなかったのだろう」と冷ややかだ。
石破氏は防衛大綱改定を念頭に「基盤的防衛力構想」に代わる新たな概念を採用する考えがあるかどうかもただした。これは必要最小限の防衛力を保有すべきだとする東西冷戦期の構想で、首相の諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」は報告書案で「有効ではない」と明記している。
ところが、首相は「(構想を)ある程度理解できた。(構想を維持すべきだという)立場の人の意見も聞きたい」と答弁した。これでは、基盤的防衛力構想に関して、報告書案をそのまま受け入れるつもりはないと明言したに等しい。
報告書案は、ほかにも安保政策の抜本転換を促す提言をふんだんに盛り込んだが、ことごとく首相の主張と開きがある。
たとえば、報告書案は集団的自衛権をめぐる憲法解釈を「柔軟に変える必要がある」と指摘。非核三原則も、米国の「核の傘」の重要性に触れた上で、三原則のうち「持ち込ませず」の見直しを促している。
ところが、首相は集団的自衛権の解釈を「変える予定はない」と明言した。非核三原則に関しては厳格化に向け、法制化を検討する考えを示唆している。
報告書案提出は6日に予定されていたが、大幅に遅れている。「首相のスタンスと異なり、官邸が扱いに困っている」(政府筋)ようだが、このままでは安保問題への首相の不勉強と無関心をますます世間にさらすことになりかねない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100819/plc1008192247017-n1.htm
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